トヨタ「ヴィッツ」2代目は初代以上のレベルアップを目指し105万円~登場【今日は何の日?2月1日】

トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツ」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日2月1日は、世界戦略車として大ヒットしたトヨタ「ヴィッツ」の2代目が誕生した日だ。2代目ヴィッツは、“速さ、楽しさ、広さ、扱いやすさ、安全性、経済性”のすべてをレベルアップして、乗る人すべてを満足させることを目指した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・トヨタ ヴィッツのすべて、新型ヴィッツのすべて

■世界戦略車ヴィッツを一新した2代目

トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツ」

2005(昭和42)年2月1日、トヨタは世界的なヒットモデルとなった次世代コンパクトカー「ヴィッツ」を6年ぶりにモデルチェンジした。スタイルは初代のイメージを踏襲しつつも、新しいプラットフォームを採用し、性能や燃費、安全性能の向上に加えて室内空間を広げるなどユーティリティも改善した。

トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツ」

コンパクトカーのイメージを刷新した初代ヴィッツ

1999年にデビューしたヴィッツは、“世界に通じるコンパクトクラスの新ベンチマークとなる”をコンセプトに掲げて、プラットフォームや主要コンポーネントすべてを一新した新世代コンパクトカーとして誕生した。

トヨタ初代「ヴィッツ」
1999年にデビューして世界戦略車として大ヒットしたトヨタ初代「ヴィッツ」

従来のシンプルな2ボックススタイルではなく、丸みを帯びた世界に通用する欧州車風のハッチバックスタイルを採用。ロングホイールベース化することで広い室内空間を実現し、さらにワンランク上のインテリアで上質感をアピールした。

パワートレインは、小型・軽量化を図った最高出力70psの1.0L直4 DOHC VVT-i(可変タイミング機構)エンジンと、5速MTと電子制御式4速ATの組み合わせ。さらに世界戦略車に相応しいように走行性能や安全性能も高められ、海外では「ヤリス」とネーミングして世界中で人気を獲得した。

トヨタ初代「ヴィッツ」
トヨタ初代「ヴィッツ」

発売当初から月販1万台を越え、初年度はカローラに続く15万台を達成し、日本と欧州でカー・オブ・ザ・イヤーをW受賞した。ヴィッツの出現が、それまでのコントパクトカーのイメージを一掃。すべてにおいてワンランク上の革新的なコンパクトカーだった。

すべてをレベルアップすることを目指した2代目

トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツ」

2005年2月のこの日、ヴィッツは6年ぶりとなる初めてのモデルチェンジによって2代目へと生まれ変わった。2代目の目標は、初代の高い基本性能をさらにブラッシュアップすることだ。

トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツのグレード別
トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツのグレード別

スタイリングは、初代のコンセプトを継承しながらも、ボディサイズをひと回り大きくしてダイナミックさを強調した。また特徴的な縦長の大型ヘッドランプや塊感の強いフォグランプ、センターグリル形状などで先進性をアピールした。

トヨタ2代目「ヴィッツ」のコクピット
トヨタ2代目「ヴィッツ」のコクピット

ボディタイプは日本仕様が5ドアハッチバック、欧州仕様などでは3ドアハッチバックも採用された。室内は、上品かつ上質に仕上げられ、初代同様に各部に気の利いた小物入れを配置し、クラストップレベルの室内長空間に大型サイズのシートを収めて、その居住性はコンパクトカーのレベルを超えていた。

トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツ」

さらに、衝突安全設計ボディに加えて、SRSサイド&カーテンエアバッグ、頸部への衝撃を緩和するWILコンセプトシートなど、乗員を保護する装備などで安全性能も向上させた。

パワートレインは、1.0L直3 DOHC(71ps)、1.3L直4 DOHC(87ps)、1.5L直4 DOHC(110ps)の3種エンジンとCVTおよび5速MT(一部グレード)の組み合わせ。駆動方式はFFベースで4WDも設定された。

トヨタ2代目「ヴィッツ」
トヨタ2代目「ヴィッツ」のリアビュー

車両価格は、2WD仕様で105万円(1.0L)~159.6万円(1.5L)に設定。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で123万円~186万円に相当する。

全体的にブラッシュアップした2代目は、ライバルのホンダ「フィット」を上回る人気を獲得した。

先行してアイドルストップ機構を採用

2代目ヴィッツデビューの2ヶ月後には、当時としては先進的なアイドルストップ機構を採用した。

トヨタ4代目「クラウン」
量産車として初めてアイドルストップを採用した1971年にデビューしたトヨタ4代目「クラウン」。その風貌からクジラクラウンと呼ばれて人気は低迷

アイドルストップが初めて量産車に採用されたのは、1971年の4代目「クラウン」、続いて1981年に「スターレット」だったが、実用性に難があり普及には至らなかった。そして、ハイブリッド以外のAT/CVTで初めてアイドルストップを搭載したのが2代目ヴィッツであり、その後、軽自動車を中心に燃費低減の必須アイテムとして爆発的に普及した。

ところが、アイドルストップで先行していたトヨタが、最近ヴィッツの後継車である「ヤリス」や「カローラ」、「RAV4」などアイドルストップを採用しておらず、今後も採用しない方向に舵を切ったようである。

トヨタ「ヤリス」
2020年に4代目「ヴィッツ」改めトヨタ「ヤリス」としてデビュー

アイドルストップは、条件にもよるが燃費で3%~5%程度の燃費向上が期待できるが、一方でアイドルストップは頻繁に停止/始動を繰り返すので、耐久性に優れたスターターや高性能のバッテリーが必要。その分イニシャルコスト(価格)は5万円程度高くなり、またバッテリー交換を通常のバッテリーの倍の頻度で行なわなければならない。

そう考えると、アイドルストップで燃費は良くなりCO2は下がるが、ユーザー目線でトータルの維持費を試算すれば決して有利とはならないのだ。これが、トヨタがアイドルストップを採用しなくなった理由だと思われる。

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コンパクトカーの歴史を変えたと言われて大ヒットした初代ヴィッツ、続いた2代目も順調にヒットした。大ヒットの初代に続く2代目のクルマづくりは難しいが、ヴィッツの2代目は見事に進化型のモデルチェンジをしたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…