マツダ「CX-80」で雪上攻め、ペラシャAWDの威力を見よ!【清水和夫試乗スノーロード編】

CX-80×清水和夫スノーテスト
CX-80×清水和夫スノーテスト
国際モータージャーナリスト・清水和夫氏の試乗動画『StartYourEnginesX』紹介、まずはマツダCX-80「スノーロード編」をお届けする。現役ラリードライバーでもある清水氏の雪タップリな中での評価はどうだ?
IMPRESSION:清水和夫(Kazuo SHIMIZU)/MOVIE:StartYourEnginesX/PHOTO:三栄・ マツダ CX-80のすべて/ASSIST:永光やすの(Yasuno NAGAMITSU)

71歳現役ラリースト・清水和夫がCX-80を雪上で攻める!

CX-80×清水和夫スノーテスト
CX-80×清水和夫スノーテスト

FRベースのプラットフォーム(i-ACTIV AWD)に、3.3Lディーゼル/3.3Lマイルドハイブリッド・ディーゼル/2.5L直4 PHEVの3種にAWDとFR(3.3Lディーゼルのみ)を設定するCX-80。さて、5種の走行モード(ノーマル/スポーツ/オフロード/トーイング(要トレーラーヒッチ装着)/EV ※グレードにより異なる)を備えるMAZDA INTELLIGENT DRIVE SELECT(Mi-Drive)も魅力のひとつであるプレミアムSUVのCX-80は、スノードライブでどれくらい楽しませてくれたのか? 動画でしかわからない、清水氏のニヤニヤも見て欲しい!

CX-80×清水和夫スノーテスト
雪の北海道でCX-80をテストしてみた
マツダCX-80清水和夫試乗

CX-80にスライドドア仕様があればマツダの“アルヴェル”や“LM”になれる!【清水和夫試乗 オンロード編】

マツダ・ラージ群の日本の長男、CX-80は、国際モータージャーナリスト・清水和夫氏が2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーで最高得点を入れたお気に入り。その最大の理由は「直6ディーゼルのAWD」という好物てんこ盛りだから。そんなCX-80に念願の公道試乗ができた。清水さんド直球のコイツはどう評価したのか? スノーロード編に続き、高速、ワインディング編をお届けする。 IMPRESSION:清水和夫(Kazuo SHIMIZU)/MOVIE:StartYourEnginesX/PHOTO:三栄・マツダCX-80のすべて/ASSIST:永光やすの(Yasuno NAGAMITSU)

EVモードは航続距離67kmくらいか

CX-80×清水和夫スノーテスト
CX-80×清水和夫スノーテスト

まずは一般道でCX-80 PHEV(プラグインハイブリッド)、2.5Lエンジンと129kW(175ps)モーターだ。さっきまで電気が残っていてバッテリーに力があったので、ずっとEVモードで走ってこられた。バッテリー容量は17.8kWhなので、航続距離は67kmくらいと言われている。

CX-80×清水和夫スノーテスト
街中ではEVモード、ワインディングではオフロードモードがいいかな

つい最近、この辺で三菱アウトランダーPHEVの試乗会もあったが、アウトランダーはバッテリーがもうちょっと大きいのか、EV走行は100kmくらいできるようになっていた。ただ、アウトランダーの場合はハイブリッドなのでフロントもモーター、リヤもリヤデフのところにモーターが付いているので、前後モーター4駆。

このCX-80はPHEVだが、トランスミッションの中に129kW(175ps、最大トルク270Nm)のモーターは入っているが、基本的にはペラシャフト付きの4駆。FRベースなので主駆動輪はリヤ。トランスファーからフロントのデフの方に力が流れるが、そこが電子制御のクラッチなので、リヤの滑りとフロントの滑り、タイヤの滑りを見ながらフロントにトルクを流すというタイプ。基本的にトルクは電気と一緒で高いところから低いところに流れるように、速い回転数のところから遅い回転数のところにトルクが流れるので、このクラッチ制御でうまくフロントのトルク配分制御をしている。今日の路面の挙動だとFRチックすぎて、もうちょっと4駆っぽくテールが安定して走ってもいいのかな?なんて思っている。

PHEVはディーゼルに比べて車重は重いが、静かなEVモードは魅力か

もうバッテリーの残量がないのでEV走行はできず。ノーマル/スポーツ/オフロード/EVのドライブモードをオフロードにすると、より前後のトルク配分がフロントにしっかりトルクがかかるような状態。まぁ一般公道なのでスポーツモードは試してもしょうがないので、今日は試乗会場に行くまではノーマルで走ってみる。

車両重量が2.21t(サンルーフ装着車は2.24t)もある。CX-60と違い3列シートなので、そもそも全長4990mmも長い大きなSUV。

CX-80×清水和夫スノーテスト
3列シートのプレミアムなSUV、マツダCX-80

PHEVとディーゼル仕様とを比べて何が違うのかというと、PHEVはモーターだけで走れるEV走行ができるということ。ある国の規制などではエンジンを止めてEV走行で50km以上走れれば、かなり規制上のご利益がもらえる、みたいなところもあったり、あるいは補助金がもらえたり。

CX-80×清水和夫スノーテスト
エンジンは3種。3.3Lディーゼル/3.3Lマイルドハイブリッド・ディーゼル/2.5L直4 PHEV

でも私は個人的にはディーゼルイチ押し! ディーゼルも48Vのマイルドハイブリッドと普通のディーゼルの2種がある。一番シンプルなのはハイブリッドのないディーゼルで、値段も一番安い(3,943,500~5,071,000円[税込])。モーターを使ったハイブリッド走行がいいのか、ディーゼルがいいのか…という話だね。

千歳市内を走っていた時は、まったくエンジンがかからないEVで走ってきたので、静かでトルクもあり、まるでEV車に乗っている感じだった。それはそれで良かったなと思うが、重量がプラグハイブリッドは重い(PHEV:2100kg[7名乗り]/ディーゼル「XD Sパッケージ]:1990kg[FR]/2030kg[AWD])ので、どうしてもサスペンション全体は硬くせざるを得ない。

500Nmの直6ディーゼルでジムカーナっぽいことをしてみた

CX-80×清水和夫スノーテスト
楽しいゾ!

クローズドコースでのCX-80雪上ドライブ、乗っているのはディーゼルなのでトルクは500Nmもある。

おっと~滑るな!

1周目はトラクションコントロールなどの横滑り防止装置DSCは全部ONだ。アイスバーンだとトラコンONでもOFFでもアンダーステアになっちゃう。

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大きいサードシートの4駆がヒラヒラと蝶のように回る!

今度はオフロードモードで走ってみる。これが一番フロントにトルクが行くバージョンだ。でもまぁ~こういう大きいサードシートの4駆がヒラヒラと蝶のように回っている。

今度はスポーツモード。この方がFRチックになるのかな? スポーツモードはオシリが流れるね。

登坂性能を試す

CX-80×清水和夫スノーテスト
登坂性能はどうだ?

ここは12%くらいの登坂性能テスト。ディーゼルエンジンの500Nm! これはプロペラシャフト4駆だから登れる。モーター4駆は意外とトラクション性能の限界があるのでこうはいかない。モーター4駆はあまり過信しない方がいいと思うね。

CX-80×清水和夫スノーテスト
ペラシャ4駆だからできるのであって、モーター4駆ではこうはいかないのだ

1番きついところからの坂道発信はどうか? おおお~ここが限界か!? 1回ホイールスピンさせたら路面がアイスバーンになってダメだ。ディーゼルエンジン+プロペラシャフト4駆、最強!

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1回ホイールスピンするとアイスバーンになっちゃうな

PHEVでワインディングコースを“左足ブレーキ”でいく

CX-80×清水和夫スノーテスト
いいねいいね~!

今度はワインディング。クルマはPHEV。オフロードモードなので一番フロントトルクが大きい状態。まずは路面の確認…アイスバーンがあったらイヤだな(←といいながら顔は笑っている!)。2.5Lの4気筒エンジンっていい音がするね。
左足ブレーキ!! ヴァルター・ロールもアウディのWRC時代にスティグ・ブロンクヴィストから左足ブレーキを習ったって言ってたね♪

ヴァルター・ロール(Walter Röhrl/ワルター・ロールとも表記される)ドイツのレース、ラリードライバー/1980年(フィアット)と1982年(オペル)のWRCドライバーズチャンプ。
スティグ・ブロンクヴィスト("Stig" Lennart Blomqvist)スウェーデンのラリードライバー/1984年アウディでWRCドライバーズチャンプ/左足ブレーキの神と呼ばれる。
CX-80×清水和夫スノーテスト
現役ラリーストのニヤニヤが止まらない!

お~楽しい♪ 『アクセルとブレーキ同時に踏んでいます』なんてアラームが出るよ。
路面をよく読んで、外側のフロントタイヤをアイスバーンの上に乗せないように、とにかく外側のフロントタイヤ命!だから、圧雪っぽいところにタイヤを乗せて路面のμの高いところを使う。FFベースのCX-5だったらどんな走りするんだろ?

マツダが作ったSUVはちょっとプロ向けのクルマだな。普通の人だと乗りこなせないと思うよ。雪上ワインディングはディーゼルで乗りたいなと思うなぁ。

CX-80×清水和夫スノーテスト
ペラシャ4駆だからこその走りを魅せてくれたCX-80

横滑り防止装置はオフにできないが、トラクションコントロールはオフにできる。リヤのタイヤをスリップさせてちょっとオーバーステアにしているっていう感じかな。リヤのタイヤがスリップすると前後のギア比が1%くらい違うというので、トルクはフロントに流れやすくなっているね。

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後半のクローズドコース試乗はクルマの挙動、清水氏のドライビングテクニックも合わせ、動画でぜひ!

【SPECIFICATIONS】
車名:MAZDA CX-80 PHEV
全長×全幅×全高:4990×1890×1710mm
ホイールベース:3120mm
トレッド(前/後):1640/1645mm
車両重量:2210kg
最小回転半径:5.8m
乗車定員:6名
エンジン種類:直列4気筒DOHC
内径×行程:89.0×100.0mm
総排気量:2488cc
エンジン最高出力:138kW(188ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:250Nm(25.5kgm)/4000rpm
モーター最高出力:129kW(175ps)/5500rpm
モーター最大トルク:270Nm(27.5kgm)/400rpm
燃料タンク容量:70L(無鉛レギュラー)
駆動方式:四輪駆動
トランスミッション:8速AT
サスペンション(前/後):ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後):235/50R20/235/50R20
ハイブリッド燃料消費率(WLTCモード):12.9km/L
車両価格(税込):6,391,000〜7,122,500円

車名:MAZDA CX-80 XD(4WD)
全長×全幅×全高:4990×1890×1710(L Packageは1705) mm
ホイールベース:3120mm
トレッド(前/後):1640/1645mm
車両重量:2030-2050kg
最小回転半径:5.8m
乗車定員:6-7名
エンジン種類:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
内径×行程:86.0×94.2mm
総排気量:3283cc
エンジン最高出力:170kW(231ps)/4000-4200rpm
エンジン最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1500-3000rpm
燃料タンク容量:74L(軽油)
駆動方式:四輪駆動
トランスミッション:8速AT
サスペンション(前/後):ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後):235/50R20/235/50R20
WLTCモード燃費:16.8-16.9km/L
車両価格(税込):3,943,500〜5,071,000円
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著者プロフィール

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、N1耐久や全日本ツ…