海外で大人気のピックアップが日本に再上陸「三菱 トライトン」【最新国産新型車 車種別解説 MITSUBISHI TRITON】

日本のSUVのパイオニアと言えるパジェロはピックアップトラックのシャシーに専用キャビンを組み込みスタートした。そのピックアップトラックを先祖にもつのが「三菱 トライトン」。タフでワイルドな風貌ながら、随所にトレンドを散りばめて、都会の風景にもマッチし、オフロードはもちろんオンロードでの操縦性も乗り心地も快適だ。
REPORT:安藤 眞(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:星香

本格派ピックアップながらデイリーユースに不満なし

今や日本でもすっかり定着した〝SUV〞というカテゴリー。そのルーツは複数あるが、ひとつはピックアップトラックだ。アメリカ西海岸を中心に、若者の足として人気の高かったピックアップトラックの荷台にハードシェルを被せたものがクローズドボディのワゴンへと発展し、SUVと呼ばれるクルマになった。

エクステリア

「GSR」はバンパーロワーガーニッシュやスタイリングバー、ホイールアーチモールなどを装備。タフな印象をもちながら野山だけでなく都会の街並みにも似合う。最低地上高は220㎜あり、高い悪路走破性に寄与する。最小回転半径は6.2m。

三菱でもかつて、L200(日本名フォルテ)というピックアップトラックを販売していたが、その4WDシャシーに専用ボディを架装して誕生したのが初代パジェロ。2023年末にデビューした新型トライトンは、言わばその直系血族だ。「と言ってもトラックだし、装備は必要最小限なんでしょ?」という指摘は外れ。ステアリングヒーターや前2席のシートヒーター、リヤヒーターダクトなど快適装備はもとより、コネクティッド機能にも対応。運転支援システムは三菱最新のe-Assistが標準装備となるだけでなく、トレーラー牽引時のスネーキングを防ぐ〝トレーラースタビリティアシスト〞も付いている。

乗降性

「でもリヤサスがリーフ式だし、乗り心地は悪いんじゃない?」という心配も無用。1番リーフに高強度材を使い、枚数を5枚から3枚に減らすことで、板間に発生するフリクションを低減。前側ブッシュは前後入力に対して動きやすく、左右に動きにくくすることで、ショック吸収性と操縦安定性を両立している。加えてフレームは新設計。断面を拡大することで、上下の曲げ剛性を約60%、捩り剛性を約40%高めてり、サスペンションがしっかり仕事をするようになった。ダブルウイッシュボーン式のフロントサスは支持スパンを拡大して剛性をアップ。パワーステアリングにはラックパラレル式の電動パワーステアリングを採用しており、操安性や乗り心地は、モノコックボディ+四輪独立懸架のSUVにも遜色がない。

インストルメントパネル

水平基調により車両感覚を損なわぬように配慮され、悪路などでの取りまわしに貢献する。エアコンパネルやステアリングスイッチなども視認性、操作性の高いデザインでドライビングをサポートする。

エンジンは2.42ℓのディーゼルターボを搭載。2t越えのボディには排気量が小さく思えるが、小ターボと大ターボをリレーして使用するシーケンシャルツインターボを採用しており、発進から最高速まで淀みのない加速性能を発揮する。トランスミッションは6速ATだが、神髄はその下流にある〝スーパーセレクト4WDⅡ〞。

居住性

後輪駆動〜ルセンLSD式4WD〜センターデフロック〜そのローレンジ、と切り替えられ、後輪駆動による低燃費走行からオフロードコースの上級者セクションまで、あらゆる地形に対応できる。しかも電動リヤデフロッまで標準装備されており、悪路走破性としては「これ以上ない」ハードウェアを搭載している。その上、7種類のドライブモードが設定されており、エンジンの応答性やトランスミッションのプログラム、トラクションコントロール制御が路面に応じて最適になるよう選択が可能。悪路初心者でも本格的なオフロード走行を安心して楽しめる。

うれしい装備

室内のポケッテリアの数は多くないが、助手席前には大型のグローブボックスに加えて、上部にリッド付きアッパーボックスが用意される。
フルモデルチェンジ発表    24年2月15日 
月間販売台数      366台(24年6月~11月平均)
WLTCモード燃費    11.3km/ℓ

ラゲッジルーム

購入を検討するにあたって注意すべき点は、車庫証明が取れるかどうか。トライトンは全長が5.3mを越える一方、賃貸駐車場は長さ5mというところも多い。契約してから慌てないよう、5.4m以上の駐車場を確保しておこう。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.165「2025年 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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