2021-2022 MF編集者が”がっかりさせられた”3台

釣りタイトルのようになってしまってすみません。ここでご紹介する3台(4車種)は、どれもクルマとしての完成度は抜群で大変魅力的なものばかり。がっかりさせられたのは、そんな素晴らしいクルマを前にした自分のふがいなさなのです。では、1台ずつそう感じさせられた理由をご紹介します。

1台目:三菱アウトランダーPHEV

「充電設備のない賃貸マンション暮らしにがっかり」

1台目は三菱アウトランダーPHEVです。あまり景気の良い話題がなかった三菱ですが、このクルマは鬱憤を晴らすかのような渾身作でした。外観はより堂々とした雰囲気をまといつつ、内装は質感が大幅にグレードアップ。そんな見た目の進化以上に驚かされたのが、走りの気持ち良さです。

グイグイ曲がる〜すごいぞS-AWC!

プロトタイプの試乗会はサーキット(袖ケ浦フォレストレースウェイ)で行なわれたのですが、2トンの車重があるとは思えない軽快なフットワーク。Rのきついコーナーでもクルマが外に膨らむことなく、立ち上がりでアクセルを踏み込むとグイグイ曲がっていくのです。これは三菱の伝家の宝刀、S-AWCのおかげにほかなりません。プラグインハイブリッドモデルというと、とかく環境性能ばかりがクローズアップされがちですが、アウトランダーPHEVは「走りの楽しさ」というクルマ好きをくすぐる要素を備えている点に大いに感心させられました。

内装の質感は先代から大幅グレードアップ!

そんなアウトランダーPHEVを前にして、私はがっかりさせられました。何にかというと、自分の安月給にです! 私は賃貸マンションに住んでおり、電気自動車を充電する設備がないため、プラグインハイブリッドモデルやEVは購入の対象外にせざるを得ません。40代も後半にさしかかり、一軒家を購入することを検討したこともありました。しかしここ数年は住宅価格が右肩上がりで、一介のサラリーマンに手が届くような物件は皆無! 電気自動車の時代が本格的にやってきたらどうやって充電すればいいのか…と今から不安です。

2台目:マツダCX-5フィールドジャーニー

「アウトドアの素養がないインドア派な自分にがっかり」

2台目は、マツダCX-5フィールドジャーニーです。洗練された都会派SUVというキャラクターを前面に押し出していたCX-5ですが、昨今のアウトドアブームの流れを受けて、オフロードっぽいテイストを採り入れた特別仕様車が追加されました。それがフィールドジャーニーです。

走りがまろやか〜!だったフィールドジャーニー。

17インチホイールにはオールシーズンタイヤが組み合わされるほか、ドライブモードセレクトに「オフロード」モードを設定。内装にライムグリーンの差し色をあしらったり、荷室のフロアボードを裏返すと汚れに強い樹脂製になっていたりと、さまざまな特別装備が加わっています。

ライムグリーンの差し色は、若者には好評だそう。46歳の私も好きです!

走らせてみると、17インチのタイヤのおかげか、19インチを履く上級グレードよりも乗り心地がまろやかなのが好印象。また、フィールドジャーニーの設定と同時に行なわれたマイナーチェンジでは、シートの取り付け部が強化されました。その結果、車両の動きに対して乗員が揺すられる動きが抑えられるようになり、助手席や後席に乗っていても車酔いをしにくくなりました。

こちらはオプション装着車。撮影のために、マツダはわざわざテントをはじめとするグッズを持ち込んで世界観を作り上げていました。私はこれに影響され、2022年のキャンプデビューを誓いました。

そんなCX-5フィールドジャーニーを前にして、私はがっかりさせられました。何にかというと、アウトドアに興味がまったくないという自分の軟弱さ!にです。寒いのも暑いのも嫌いだし、虫も大嫌い。そんな私にとって、フィールドジャーニーは豚に真珠というわけです。しかし、フィールドジャーニーのような楽しいクルマを試乗したことで、2022年こそキャンプに挑戦してみたいという気にさせられました。ヒロシさんのようなぼっちキャンパーを目指したいと思います!

3台目:トヨタGR86/スバルBRZ

「2モデルの走りの違いがわからない鈍感なセンサーにがっかり」

3台目は、トヨタGR86/スバルBRZです。これはもう、乗れば誰でもニコニコしてしまう走りが味わえるスポーツカー。初代と比べると走りが格段に上質になっており、また擬似的なエンジン音をスピーカーから出す「アクティブサウンドコントロール」がドライバーの気持ちを盛り上げてくれます。よくぞこんな時代に2代目を出してくれたものだと、トヨタとスバルの両社には感謝しかありません!

GR86とBRZは走りのキャラが全然違う!とのことですが、私の鈍感センサーは感知できず(涙)。

そんなGR86/BRZを前にして、私はがっかりさせられました。何にかというと、自分の鈍感さにです!

GR86とBRZは、今回、両車の走りのキャラクターをより明確に分けたことが話題となっています。簡単にいうと、ダイレクト感のあるGR86、安定感のあるBRZ…といった具合です。自動車ジャーナリストのインプレを拝読していると、「乗ればすぐに違いがわかる」なんて書いてあります。

ダイレクト感が強いのがGR86…とのこと。そう言われると、そんな気もするような…。

しかし、あまり大きな声では言えませんが、私は両車の違いがよくわからなかったのです! 「GR86の方がちょっと硬い…かなぁ」「BRZの方が安定している…かなぁ」という程度のぼんやりインプレが精一杯でした。自分のセンサーの鈍さときたら! 試乗後、開発スタッフの方に「違いがよくわかりませんでした」と正直にお伝えしたところ、とても悲しそうな顔をされていました。申し訳ありません。私は自動車ジャーナリストには絶対なれないな、とこのとき強く思いました。

でも、GR86/BRZは本当に楽しいクルマだということは鈍感な私でもわかりましたので、購入をご検討の方はご安心ください!

BRZは安定感が強い…とのこと。GR86もBRZも、どっちも楽しかったからオールオッケー!

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著者プロフィール

長野 達郎 近影

長野 達郎

1975年生まれ。小学生の頃、兄が購入していた『カーグラフィック』誌の影響により、クルマへの興味が芽生…