陸海空自衛隊:戦後初の国産小銃「64式7.62mm小銃」は、古くはなったが一部で現役を続ける自動小銃だ

陸上自衛隊での運用の様子。手前の普通科隊員は89式小銃を構え、奥の隊員が持つのが64式小銃。2丁とも機関部には空薬莢受けが取り付けられている。
陸上・海上・航空の3つの自衛隊で使われてきている小銃が「64式7.62mm小銃」だ。先の大戦後初めて国内で開発・生産された自動小銃、アサルトライフル(突撃銃)である。自衛隊の前身組織・警察予備隊の黎明期に不足した火器を補うものとして開発導入されて以来、約60年間使い続けられている。

TEXT&PHOTO:貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)
スリングを右肩に掛け、64式小銃を保持する。抱えているのは基礎的教育訓練を受けている自衛官候補生。写真/陸上自衛隊

戦後初の国産自動小銃

黒光りする大柄な機関部に木製の銃床とグリップ、無骨な箱型の弾倉。いかにも自動小銃、自動ライフル然とした外観は現代のコンパクトな自動小銃から見れば古風な印象を受ける。
64式7.62mm小銃は我が国初の国産自動小銃で、名称どおり1964年に制式採用された。開発元である豊和工業での調査研究は1950年代から始まっていたが、正式な試作は1962年からだったという。

射撃姿勢を模したもの。64式小銃のボリューム感がつかめる。※銃はモデルガンです
64式小銃の左側面。セレクター(単発や連射、安全位置などを選ぶレバー)は機関部右側面にのみ設置されている。※銃はモデルガンです

自衛隊の前身組織である警察予備隊が作られた1950年代には実用的な火器類が不足していた。旧軍時代の装備の流用や米軍供与品などを試行していたが劣化して品質や性能が低下したものが多く、安全な運用にはほど遠い実態があったという。きっちりとした小銃の整備が求められ、それを形にしたのが64式小銃だった。主に自衛隊が、そして海上保安庁でも使われた。
64式小銃の本格的な開発に入る前段階、調査や研究時期には米軍のライフル「M14」を導入する考えもあったという。しかしM14では日本人には射撃時の反動が大きすぎるのではないかという懸念があった。結局、欧州各国の小銃を参考に自主開発する方針がとられたという。参考にしたのはスペインの「セトメ・ライフル」やスイスの「Stgw57(SIG510)」などがあったそうだ。多くの試作ののち設計変更などもあり、完成形に至る道のりには苦難の行程があったという。

64式7.62mm小銃。箱型弾倉を装着、二脚を開いて置いた状態。写真/陸上自衛隊

国産新小銃の開発にあたっては、軽機関銃のような使用法も考慮して盛り込まれ、二脚(バイポッド、展開式の脚)を標準装備とした。据えて撃つ手法の多い分隊支援火器のようなイメージでもある。加えて発射速度を落とし、連射時の安定性を高めている。連射性能やその運用方法への工夫のみならず、高い命中精度を狙って設計され、単発射撃時の命中精度も高く、精密射撃や照準眼鏡(スコープ)を装着して狙撃銃としても使用できる。反面、4.4kgと重量がかさむこと、細かい部品の脱落が起きることなど、実用面での欠点も指摘されている。

64式小銃は結局、約20万挺以上が生産、陸上自衛隊や海上自衛隊、航空自衛隊に配備された。
現在でも、陸自では新隊員の教育時期に用いたり予備自衛官が訓練時に使ったりするなど、一部の部隊にまだ置かれている。海自では式典の儀仗の際に登場するシーンが多く見られ、空自では基地警備隊の装備として一部で現役のはずだ。

海上自衛隊でも64式小銃は使われている。観艦式などでの儀仗でみられることが多い。
航空自衛隊でも使われており、基地警備隊では主力火器のひとつになっている。
【64式7.62mm小銃 主要諸元】
 
●口 径:7.62mm
●重 量:4.4kg
●全 長:990mm
●銃身長:450mm
●作動方式:ガス圧利用式、セミ/フル・オート
●発射速度:約500発/分
●装弾数:20発
●製 作:豊和工業

著者プロフィール

貝方士英樹 近影

貝方士英樹

名字は「かいほし」と読む。やや難読名字で、世帯数もごく少数の1964年東京都生まれ。三栄書房(現・三栄…