新型エクストレイル 可変圧縮比ターボエンジンもモーターも新開発のe-POWER その中身

可変圧縮比ターボと新開発モーターを組み合わせた新型エクストレイルのパワートレーン
日産の新型エクストレイルは、グローバルに展開するSUVだ。北米や中国では1.5ℓ直3可変圧縮比(VCR)ターボエンジンにCVTを組み合わせるが、日本仕様はe-POWERのみのラインアップとなる。このe-POWER、エンジンもモーターも新しい意欲作である。
新型エクストレイルが搭載する発電用エンジン、KR15DDT型。ちなみに、KRは可変レシオ=Kahen Ratioの頭文字からきている

搭載するのは「自動車技術者の夢」を実現した発電用エンジン

日産のe-POWERは、いわゆるシリーズハイブリッドである。エンジンで発電し、モーターで駆動する。つまり、100%モーター駆動である。

第一弾は大ヒットした先代ノートに積まれてデビューした。
先代ノートe-POWER:1.2ℓ直3DOHC(HR12DE型)+モーター(EM57型)
その後、セレナ、キックスにも搭載された。

現行ノート/ノート オーラは、e-POWER専用モデルとなり
先代ノートe-POWER:1.2ℓ直3DOHC(HR12DE型)+モーター(EM47型)へと進化した。またリヤにMM48型という新しいモーターを載せた4WDも設定されている。

さて、そして新型エクストレイルだ。
新型エクストレイルは発電用のエンジンが1.5ℓ直列3気筒DOHC可変圧縮比ターボに進化した。

エンジンスペックは
形式:1.5ℓ直列3気筒DOHCターボ
型式:KR15DDT
排気量:1497cc
ボア×ストローク:84.0mm×90.1mm
圧縮比:8.0-14.0
最高出力:106kW/4400-5000rpm
最大トルク:250Nm/2400-4000rpm
燃料供給:筒内燃料調節噴射
となっている。

このエンジン、同じ可変圧縮比を実現した2.0ℓ直列4気筒DOHCターボの3気筒版と考えればよさそうだ。

4気筒版のスペックは
形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ
型式:KR20DDET
排気量:1970-1997cc
ボア×ストローク:84.0mm×90.1mm
圧縮比:8.0-14.0
最高出力:200kW
最大トルク:390Nm
燃料供給:筒内燃料調節噴射+ポート噴射
である。

KR15DDTをバルクヘッド側(車両広報側)から見る。後方排気でターボチャージャーが見える。

KR20DETTは、燃料供給をDI(筒内燃焼直接噴射)とPFI(ポート噴射)を併用していたが、エクストレイルのKR15DDTはDIのみとなっている。KR20DETTは4気筒だが、ツインスクロールではなく、電子制御ウェイストゲート付きのシングルスクロールターボを使っている。KR15DDTも同様だろう。

KR15DDTのキモはVCRを実現する機構

クランクピンを支点として両側に回転軸を持ったロッカーアームの一端にコンロッドが、もう一端にモーターでレバー比を変更できるリンクレバーが取り付く。モーターが回転するとリンクのレバー比が変わり、コンロッドの大端部位置が上下することで、圧縮比が8.0 (高負荷時) から14.0 (低負荷時) まで連続可変する仕組み。コンロッドの支点がピンからオフセットしているため、サイドスラストが軽減され二次振動がほとんどなくなることからバランサーはなし。ここもVCRのメリットだ。

低負荷時、巡航時は高圧縮比(14.0)で運転し、フル加速時など負荷が高いときは低圧縮比(8.0)で運転する。

e-4ORCEはリヤにサクラと同じMM48型モーターを積む

フロントは新開発のBM46型モーターで駆動する。BM46型はアリアが使う「巻線界磁式」ではなく、通常の交流同期モーター(IPMモーター)である。

バッテリーはもちろんリチウムイオン電池

前席下部に搭載される駆動用のリチウムイオンバッテリーは96セル・容量1.8kWhとハイブリッド用としては大きめだ。ちなみに、ノートe-POWERは1.5kWhである。

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