横浜ゴムがAIによるゴムの配合設計システムを独自に開発。AI利活用構想「ハイコラボ」をさらに推進。

横浜ゴムがAIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムを独自に開発。AI利活用構想「ハイコラボ」をさらに推進

横浜ゴムはこのほど、情報システム開発子会社のハマゴムエイコム(株)の協力を得て、AIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムを独自に開発し、実用を開始したことを発表した。目標とするゴムの物性値を満たす配合をAIが提案するもので、これにより、人が考え付かなかった配合など新たな知見を得ることができ、開発のさらなるスピードアップや、より高性能な商品の開発が期待できる。

配合物性値を指定するとAIが候補となる配合を生成し、目標物性値を満たすゴムの配合を提案することが可能に

横浜ゴムは、情報システム開発子会社のハマゴムエイコム(株)の協力を得て、AIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムを独自に開発し実用を開始する。目標とするゴムの物性値を満たす配合をAIが提案するもので、これにより、今まで人が考え付かなかった配合など新たな知見を得ることができ、開発のさらなるスピードアップや、より高性能な商品の開発が期待される。

今回のシステムは横浜ゴムのAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)※」を推進するために開発。従来の配合物性値予測システムでは、ゴムの配合設計パラメーターを入力するとAIが予測される配合物性値を出力するプロセスであったのに対し、配合物性値を指定するとAIが候補となる配合を生成し、目標物性値を満たすゴムの配合を提案することが可能になった。
※Humans and AI collaborate for digital innovationをもとにした造語で、人とAIとの共同研究所という意味合いも込められている

「HAICoLab(ハイコラボ)」の概念図

AIは数万件ものゴムの配合を学習しており、100種類以上の配合剤を組み合わせて候補となる配合を生成。そのうえで生成した配合の予測物性値と目標物性値とを比較しながら要求された配合を提案する。さらに、基準とする配合や用いたい配合剤の指定のほか、特定の配合を選択しその周辺で配合データを生成することも可能で、人とAIが協奏しながら新たな知見が得られるシステム設計としている。

同社は2020年に、人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力を活かした“人とAIとの協奏”によってデジタル革新を目指す構想として「HAICoLab」を策定。人が設定する仮説に沿ったデータの生成・収集と、AIによる予測・分析・探索を繰り返すことで未踏領域での知見の発見を目指している。これまでにも2020年にゴムの配合物性値予測システム、2021年にタイヤ特性値予測システムを実用化するなど、材料およびタイヤの設計開発プロセスでAIを活用した技術開発を進めてきた。今後はプロセスに加え、製品やサービスなどの革新を目指して全社的にAI利活用を推進し、ユーザーエクスペリエンスの向上、および内閣府が提唱するAIやIoTなどの革新技術により実現する新たな未来社会の姿「Society 5.0」の実現に貢献する。

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