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新型フェアレディZ vs ポルシェ 718ケイマン
ポルシェ・ケイマンは、2005年から販売が開始されたポルシェのミッドシップスポーツカー。現行モデルは2015年発表の3世代目で車名も718ケイマンに変更されている。911が大型化する中、ケイマンこそポルシェ随一のピュアスポーツカーであるとするファンも多い。オープンスポーツカーの718ボクスターとは、ベースやパーツの多くを共用する。
対する新型フェアレディZは、2022年1月に国内発表。6月より発売が開始された。こちらは、1969年登場の初代S30型から連綿と受け継がれ、新型モデルで7代目となる。デビュー当初より特に北米市場で人気が高く、日本を代表するスポーツカーとして歴史を刻んできた一台だ。
フェアレディZは、FRレイアウト、2シーターで、エンジンは、405psのV6 3.0Lターボ一本。一方の718ケイマンは、同じ2シーターながらミッドシップリヤ駆動(MR)レイアウトを採用する。エンジンは、水平対向4気筒ターボ2.0L、2.5L、水平対向6気筒4.0Lとバリエーション豊富だ。両車とも「400ps」を基準とすると、ケイマンGTSがほぼ同スペックなのだが、GTSは約1200万円と二倍近い価格の開きが出てしまうため、ポルシェ 718ケイマンはベースグレードの7DCTで、新型フェアレディZは最上級グレードのVersion ST 9ATで比較してみようと思う。
ボディサイズ比較:フェアレディZと718ケイマンの全長はほぼ同じ
新型フェアレディZ(Version ST 9AT) 全長×全幅×全高:4380mm×1845mm×1315mm ホイールベース:2550mm 車両重量:1620kg 最小回転半径:5.2m 最低地上高:120mm ポルシェ・718ケイマン(ベースグレード 7DCT) 全長×全幅×全高:4405mm×1800mm×1295mm ホイールベース:2475mm 車両重量:1390kg 最小回転半径:5.2m 最低地上高:----mm
両車の全長は、718ケイマンが25mmほど長いに過ぎず、ほぼ近い値。全高は718ケイマンが20mm低い(ちなみにスープラと718ケイマンの全高は同じ)。意外なのは全幅で、フェアレディZの1845mmに対し718ケイマンは1800mmと、45mmもケイマンの方がナローだ。欧州ライバルより国産車の方がナローディメンションというのは珍しい。
ホイールベースは718ケイマンが75mm短い。車両重量はフェアレディZの1620kgに対し、718ケイマンは1390kgと、フェアレディZより230kgも軽量だ。エンジン2気筒分の違いでは、という意見も出そうだが、実は6気筒のGTSの場合でも、車重は1440kgしかない。718ケイマンは、圧倒的に軽量という印象である。
パワートレーン比較:フェアレディZは全車400psの大台へ
新型フェアレディZ 形式:V型6気筒DOHCツインターボ 型式:VR30DDTT ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm 排気量:2997cc 圧縮比:10.3 最高出力:298kW(405ps)/6400rpm 最大トルク:475Nm(48.4kgm)/1600-5600rpm 燃費消費率(WLTC):10.2km/l 使用燃料:プレミアム タンク容量:62ℓ トランスミッション:9AT ポルシェ・718ケイマン 形式:水平対向4気筒DOHCターボ 型式:GPF ボア×ストローク:91.0mm×76.4mm 排気量:1998cc 圧縮比:――― 最高出力:220kW(300ps)/6500rpm 最大トルク:380Nm(43.8kgm)/2150-4500rpm 燃費消費率(WLTC):----km/l 使用燃料:プレミアム タンク容量:54ℓ トランスミッション:7DCT
フェアレディZは、新型でパワーユニットを一新した。VQ37(V6 3.7L NA)から、VR30 (V6 3.0lターボ)へ。大排気量NAからダウンサイジングターボへと変更したのだ。パワーは336psから405psへ、トルクは365Nmから475Nmへ、大幅に引き上げられた。
718ケイマンはベースグレードの場合、4気筒2.0Lでしかないため、パワーは300ps、トルクは380Nmと、数値的にはフェアレディZに大きく及ばない。とはいえ、2.0Lターボとしてはかなりの高出力には違いないし、乗ってみると「ポルシェは馬力以上に速い」というのも実感できるはず。
2.5LのケイマンSは350ps、6気筒4.0L搭載のGTS4.0は400psのスペックだから、パフォーマンス数値で見れば、GTS4.0がフェアレディZの本来のライバルということになるだろう。GTS4.0は、6気筒、4,0Lから、294kW(400ps)、430Nmを発揮する(PDKの場合)。
フェアレディZは、多くのグレードでAT、MTをセレクトできる。ATは先代の7ATから二段飛びの9ATとなったことが話題だ。MTは6MTを採用する。ATとMTは同価格だ。
一方、718ケイマンのトランスミッションは、7速DCTのPDKと6MTを全グレードでセレクトできる。6MTが標準仕様で、PDKを選ぶには50万円程度(グレードによる)のエクストラコストが必要だ。
タイヤ&ホイールを比較:標準仕様はZが19インチ、718ケイマンは18インチ
新型フェアレディZ タイヤ フロント:255/40R19 96W リヤ:275/35R19 96W ホイール フロント:19×9.5J リヤ:19×10J ポルシェ 718ケイマン タイヤ フロント:235/45ZR18 リヤ:265/45ZR18 ホイール フロント:18×8J リヤ:18×9J
標準仕様のホイールは、フェアレディZが前後19インチで、718ケイマンは前後18インチ。タイヤ幅もケイマンの方が細く、扁平率も低い。ケイマンの方が穏当でコントローラブルな印象のタイヤを履くということだ。とは言いつつも、718ケイマンは、フェアレディZ超えの20インチをオプションで装着できるということから、20インチを履きこなすキャパシティを持っていることが伺えるのだ。
フェアレディZのホイールは、レイズ製でフロント9.5J、リヤ10J。タイヤはブリヂストン POTENZA S007。ケイマンは、標準仕様の場合、フロント8J、リヤ9J。撮影車は、ピレリ P-ZEROを履く。
コックピット&インテリアを比較:それぞれの伝統を感じさせるインテリア
いずれもタイトなスポーツカーポジションを採る。フェアレディZは、伝統的に配置されるアナログ三連メーターと、フルデジタルメーターとなったメインメーターパネルが融合している点が、新型「RZ34」の個性だ。プラットフォーム踏襲ということで、旧型に対して構造物の大規模なレイアウト変更は行われていない模様だ。
ポルシェ・718ケイマンは、すべてのポルシェに共通する、やはりポルシェ流の伝統を感じさせるデザインだ。水平の取りやすいインパネ。左右のパッセンジャーを直線的に隔てるコンソールなど。指針式のアナログメーターも安心感がある。
グレード&価格を比較:フェアレディZの割安感が際立つ
新型フェアレディZ グレード 排気量 T/M 価格 フェアレディZ 3.0Lターボ 6MT 5,241,500 フェアレディZ 3.0Lターボ 9AT 5,241,500 フェアレディZ Version S 3.0Lターボ 6MT 6,063,200 フェアレディZ Version T 3.0Lターボ 9AT 5,687,000 フェアレディZ Version ST 3.0Lターボ 6MT 6,462,500 フェアレディZ Version ST 3.0Lターボ 9AT 6,462,500 ポルシェ 718ケイマン グレード 排気量 T/M 価格 718ケイマン 2.0Lターボ 6速MT 7,680,000 718ケイマン 2.0Lターボ 7速DCT 8,160,000 718ケイマンT 2.0Lターボ 6速MT 8,820,000 718ケイマンT 2.0Lターボ 7速DCT 9,372,000 718ケイマンS 2.0Lターボ 6速MT 9,670,000 718ケイマンS 2.0Lターボ 7速DCT 10,150,000 718ケイマンGTS4.0 4.0Lターボ 6速MT 11,520,000 718ケイマンGTS4.0 4.0Lターボ 7速DCT 12,072,000
フェアレディZは、全車3.0Lターボの1エンジン。ベースグレードと最上級グレードの「ST」では、6MTと9ATが選べ、中間に「S(MTのみ)」「T(ATのみ)」を用意する。Zのスターティングプライスは5,241,500円であり、全車400psオーバーのパフォーマンスを考えると割安感が感じられる。
718ケイマンは、4気筒2.0Lのベースグレード(6MT)の7,680,000円がスターティングプライス。フェアレディZとは260万円以上の開きがある。同じ400psを有するGTS(PDK)の価格は、12,072,000円。フェアレディZのトップグレード(AT)は6,462,500円だから、その差は5,609,500円に広がる。
馬力数値やボディサイズはほぼ同等の2車ながら、価格帯設定を見れば、やはり718ケイマンの格上感は否めない。フェアレディZ購入者がケイマンを横目に検討するとなればやはり2.0Lのベースグレードということになるだろう。