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〝スマイル〞のネーミング通り 柔和な表情が所有満足度UP
1993年に登場して以来、ヒンジドアで通してきたワゴンRに、ついにスライドドアを採用したワゴンRスマイル。1700mm以上のスーパーハイトワゴンはスライドドア、それ以下のハイトワゴンはヒンジドアという棲み分けはいつからか自然発生していたが、2016年にダイハツ・ムーヴキャンバスがハイトワゴンながらスライドドアを採用してスマッシュヒット。ワゴンRのユーザーからも、背はそれほど高くなくていいからスライドドアが欲しいという要望は、女性ユーザーを中心に少なからずあったのだという。21年9月に発売したところ予想通りの人気となり、ワゴンRとしては7年ぶりの月間販売台数ナンバー1を獲得。ユーザー満足度も高いようだ。
エクステリア
ボクシーになりがちなハイトワゴンだが各所が丸みを帯びており、楕円形ヘッドランプがもたらすファニーな顔つきなども相まって柔和なルックス。スマイルというネーミングがぴったりだ。スーパーハイトワゴンに比べると背が低く、ウインドウの天地が狭いのでキャビンが小さく見える。スタイリッシュで所有欲を満たしてくれるのだ。
乗降性
インテリアはカラーパネルやステッチ、肌触りのいいファブリックなどを使い、カジュアルで小洒落た仕上がりとなっている。シートアレンジは簡単な操作で後席がフルフラットになるワンタッチダブルフォールディングリヤシートなど、ワゴンRに近いものとなっている。特にユニークで変わった機能はないが、シンプルで自由度が高いので使いやすそうだ。
インストルメントパネル
エンジンは自然吸気とマイルドハイブリッドのみでターボは用意されない。ファミリーユースよりもパーソナルユースに向いており、高速道路を使用したロングドライブよりは、通勤やお買い物など街なかでの使いやすさを重視しているのだろう。それは走らせてみるとより明快になる。一般的な街なかのペースでの発進・加速などは実に軽快で、トルク特性やミッションもそういった実用域にフォーカスしているのがわかる。その一方で、アクセルをめいっぱい踏み込んでいったときにはエンジン音が高まる割には加速の伸びはそれほどでもなく、車両重量とエンジンスペックなりの走りなのだと認識させられる。
居住性
乗り心地はソフトで優しい。それでいて街なかでは素直に走ってくれるのが印象的で運転が楽に感じられる。速度を上げていくとだんだんと動きが鈍くなってきて、スポーティな走りはあまり得意ではないことが伺い知れるが、それもいいインフォメーションだろう。そこそこにしておいてね、とクルマが訴え掛けてくるかのようだ。キビキビとはしていないから、肩の力を抜いて気楽に付き合える。街なか重視のワゴンRスマイルにはぴったりの操縦性なのだ。
うれしい装備
月間登録台数 6971台 ワゴンR/ワゴンRスティングレー含む (21年8月~22年1月平均値) 現行型発表 21年9月 WLTCモード燃費 25.1 km/l ※ハイブリッドのFF車
ラゲッジルーム
ワゴンRよりも世代の新しいプラットフォームを使っているだけあって基本的な性能は高くさらにそれを街なか重視、パーソナルユース向けとして仕立てているワゴンRスマイル。リーズナブルな価格に抑えているものの、意外なほどの実力をもっている。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.140「2022年軽自動車のすべて」の再録です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/140/