日産エクストレイル 街乗りでe-4ORCEは必要? 実燃費はどう?

日産エクストレイル G e-4ORCE 車両本体価格:449万9000円
日産エクストレイルは、発売直後から見事なスタートダッシュを決めている。1.5ℓ直3可変圧縮比ターボに新しいe-POWERを組み合わせた新世代SUVをさっそく借り出してみた。果たしてその実力は?

販売絶好調のエクストレイル

新型エクストレイルの販売が好調だ。8月31日時点で受注台数は1万7000台を突破している。

先行して買えるのは4WDモデル、e-4ORCEである。現状では受注の90%がe-4ORCEだという(当然だ、現在買えるのはe-4ORCEなのだから)。グレード別では最上級のGグレードが65%、Xが33%、Sが2%だ。

今回借り出したのは、Gのe-4ORCE。つまり、最上級グレードである。

新型エクストレイルには、長瀞で行なわれた報道向け試乗会で試乗している(ただし助手席同乗)。印象はすこぶる良かった。そこで今度は実際にステアリングホイールを握るために日産グローバル本社地下駐車場に向かったわけだ。

ボディカラーはサンライズオレンジ/スーパーブラックの2トーン。目にも鮮やかだ。日産はオレンジ色が大好きなのだ。実際に買うとなったら躊躇するが、なかなかいい色だ。そう思う人が多いようで、ここまでの受注では

ブリリアントホワイトパール:26%
ダイヤモンドブラック:20%
ブリリアントホワイトパール/スーパーブラック2トーン:15%
シェルブロンド/スーパーブラック2トーン:14%
ステルスグレー/スーパーブラック2トーン:5%
カーディナルレッド:5%
となっていて、サンライズオレンジは、その他の15%のなかに含まれている(つまり、いい色だ、と思ってもなかなか購入まで至らない)。

いつものように、借り出してさらっと流して都内に戻る。ここまでの燃費は16.2km/ℓだった。

BEVのアリアは、FWDモデルから販売がスタートしてあとからe-4ORCEが登場する。エクストレイルは逆だ。先にe-4ORCEが出てきた。

ノートの場合、当初、FWDモデルの出来が良かったので、「これなら4WDモデルじゃなくてもいい」と思った。それでもあとから4WDモデルが追加されたとき、前後モーターを緻密に制御できるモーター4WDの良さに驚かされた。やっぱり4WDの方がいいな、と。

エクストレイルの場合はどうだろう? エクストレイルの4WDはノートと同じく前後にモーターを積む。リヤモーターは、ノート4WDと同じMM48型交流同期モーターだ。

ノートが単に「e-POWER 4WD」なのに対して、エクストレイルは、「e-4ORCE」を名乗る。e-4ORCEはいまのところアリアとエクストレイルだけに採用されていて、実際に買えるのはエクストレイルだけだ。

全長×全幅×全高:4660mm×1840mm×1720mm ホイールベース:2705mm ボディ色はサンライズオレンジ/スーパーブラックの2トーン

試乗会で開発エンジニアに「e-4ORCEとノート4WDでなにが違うのですか?」と伺うと、e-4ORCEでは制御の緻密さがノートから段違いに上がっているとのこと。そのレベルに達しないとe-4ORCEは名乗れないらしい。

常に4WDに対して懐疑的な筆者(効果も効能もわかっているが、東京住まいで4WDは必要ないのでは……高価だし……と思うことが多い)にとっても、e-4ORCEがいいものであることは、すぐにわかった。

なぜか。借り出した週末は大型で強い台風14号が日本列島を襲っていたからだ。台風から遠く離れた関東圏でも、時折、前方が見えないほどの豪雨に見舞われていた。道路にはところどころ水溜まりができていた。

激しい雨の地域は、ナビ画面に表示される。また冠水などの情報もわかるのは、コネクテッドカーの恩恵だ。

e-4ORCEはこういうときに、威力を発揮する。4輪にかかる荷重や滑り具合をセンシングして瞬時に駆動力を制御する。モーター駆動だからこそできる緻密な制御がe-4ORCEのウリだ。

新型エクストレイルは、「上質」×「タフギア」がセリングポイントだ。今回の試乗では、タフさのありがたみを満喫できた。インテリアのしつらえも、上質だがアウトドアでもガンガン使っていけそうな印象。ラゲッジスペースには1万7800円のディーラーオプションであるラゲッジトレイが敷かれていて、これまたどんなものでも放り込めそうな感じ。

ラゲッジルームは、通常で奥行き930mm。後席を倒せば1940mmまで拡大可能。高さは795mm.

可変圧縮比(VCR)ターボエンジンは?

新型エクストレイルの注目ポイントはe-4ORCEだけではない。
もうひとつの注目点は、新開発の1.5ℓ直3可変圧縮比(VCR)ターボエンジンである。

KR15DDT型エンジンは、e-POWERだから発電専用だ。エンジンの始動〜停止〜再始動は、走行している限り、ドライバーですら気づきにくいほど静かでスムーズ。とはいえ、夜間にオーディオをオフにして走行すると、エンジンが遠くで唸っているのはわかる。それでもノート/ノート オーラの1.2ℓHR12DE型に比べたら格段に静かだ。

メーカーオプションのナッパレザーシートを選ぶと内装色はタンになる。が、このブラックの方が、タフギアのエクストレイルらしいと感じた。

今回の試乗は、ドライブモードをほぼ「AUTO」にセットして行なった(豪雨のなかを走る際は、「SNOW」を選んだこともあった)。

センターのダイヤルで切り替えるドライブモードは基本となる【AUTO】に【SNOW】/【OFF-ROAD】/【SPORT】/【ECO】が加わる。SPORTはダイヤルをひねった後にもう一段階ひねると選択できる。電子式シフトセレクターは前後に動かすタイプ。
e-Pedalオフのときの回生はAUTOが一番弱く、他は同じ。オン時は全モード共通でもっとも減衰力が強くなる。
ダイヤルを回すとメーター内にこのように表示される。

メーター内で車両の状況をモニターできるモードを選んで、走りながら見ていると、力行ー回生、FWDー4WDの制御がじつに細かく行なわれていることがわかる。

今回の試乗では268.5m走って、燃費は15.0km/ℓだった。モード燃費hが18.4km/ℓだから、少し物足りない結果となった(達成率81.5%)。

室内長×幅×高:1990mm×1540mm×1215mm
後席センターにプロペラシャフトを通すトンネルがないから足元が広いのはモーター4WDのメリットのひとつだ。
シートのサイズもたっぷりとしていて座り心地もいい。Gは電動パワーシートとなる。

エクストレイルe-4ORCEに乗ると、e-POWER+4ORCEの最大のポイントは燃費ではなく、モーター駆動と緻密な駆動力制御にあるということがわかる。燃費自体は、たとえばTHS2のRAV4のハイブリッドE-Four(20.6km/ℓ)には及ばない。また、高速道路の巡航は燃費的には得意としていない(100km/hまでは問題なし、それ以上でもノートe-POWERのような急激な燃費悪化はないという)。

エクストレイルの最大の長所である緻密なモーター制御、とくに前後モーターの制御はe-4ORCEでないと味わえない。価格は2WDのGが420万5300円 e-4ORCEが449万9000円。差額は29万3700円である。30万円弱はけっして安いとは言わないが、得られるメリットを考えると、e-4ORCEを選びたくなる。

まだ2WDモデルに乗ったことはないが、e-4ORCEを購入して後悔することはないだろう(2WDモデルに試乗したらまたレポートします)。

モーター駆動に感激してアリアを考えている人は、一度エクストレイルの試乗をしてみることをお勧めする。アリアとはデザインのテイストが異なるが、モーター駆動の気持ち良さはエクストレイルでも充分に味わえる。しかも、「電欠」はなし。しかもe-4ORCEが手に入る。

新型エクストレイルの好調ぶりは、納得だ。

タイヤは235/55R19サイズのハンコックventus S1evo³ SUVを履く。
ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク
リヤサスペンションはマルチリンク式。右にリヤモーター(MM48型)が見える。
フロントサスペンションはストラット式。
最小回転半径:5.4m 最低地上高:185mm 車両重量1900kg 前軸軸重1070kg 後軸軸重830kg
価格は2WDのGが420万5300円 e-4ORCEが449万9000円。差額は29万3700円
日産エクストレイル G e-4ORCE
全長×全幅×全高:4660mm×1840mm×1720mm
ホイールベース:2705mm
車重:1880kg
サスペンション:Fストラット式/Rマルチリンク式 
駆動方式:4WD
エンジン
形式:直列3気筒DOHCターボ
型式:KR15DDT
排気量:1497cc
ボア×ストローク:84.0mm×90.1 mm
圧縮比:8.0-14.0
最高出力:144ps(106kW)/4400-5000pm
最大トルク:250Nm/2400-4000rpm
燃料供給:DI
燃料:レギュラー
燃料タンク:55ℓ
フロントモーター
MM46型交流同期モーター
 最高出力:150kW(204ps)
 最大トルク:330Nm
リヤモーター
MM48型交流同期モーター
 最高出力:100kW(136ps)
 最大トルク:195Nm

燃費:WLTCモード 18.4km/ℓ
 市街地モード16.1km/ℓ
 郊外モード:20.5km/ℓ
 高速道路:18.3km/ℓ
車両本体価格:449万9000円
メーカーオプション41万2500円
アダプティブLEDヘッドライトシステム 1万1000円、クリアビューパッケージ 2万7500円、特別塗装色7万7000円、BOSEプレミアムサウンドシステム+ルーフレール+パノラミックガラスサンルーフ 29万7000円

著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…