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アイドリング時の油圧に注目だ!
油圧計は取り付けた。では、なにを見ればいいのだろうか。
まず、油圧はエンジンオイルの温度と密接に関係がある。油温が上がるほどオイルはさらさらになり、油圧は落ちる。これまでも説明してきたから、真面目な読者諸兄はしっかり覚えていてくれていると思う。
では、高速道路を走ってサービスエリアに入ってアイドリング状態になると? そう。油圧は下がりやすい。そのことを考慮して油圧を見てもらいたい。
GR86では9月中旬の気温で高速巡航すると油温は95~96℃になる。その状態でアイドリングすると油圧は1.0~1.1kg/cm2くらい。
街乗りで油温がもう少し低いと1.2~1.3kg/cm2くらいになる。これは初代86とほぼ同じ値だ。
ちなみに初代86では、エンジンオイルが距離を重ねていくと徐々に油圧が下がってきた。エンジンオイルが吹き抜けた混合気に混ざったガソリンで希釈され、徐々に粘度が下がったことで油圧が下がったと推測できる。
なので、3000kmを目安にオイル交換していたが、油圧が落ちてきたらちょっと早めに交換していた。また、オイルの銘柄によって油圧が下がりやすいものとそうでないものがあり、徐々に油圧が落ちにくいものを入れるようになった。
油圧がすべてではないが、油圧が落ちないオイルの方が性能を維持しているのでは? と推測していたのだ。
というわけで、現在油圧が落ちたときのワーニングは1.0kg/cm2を切った時にピーピー鳴るようにしている。
だが、いまのところほとんど鳴ったことはない。車庫入れ時に回転が下がって鳴るくらいだ。
走行中に油圧が下がることがあるのか、これはエンジンブローに直結するだけに大変重要。それを検証するために油圧計を付けたのだ。
サーキットでも右コーナー・左コーナー・加速中・減速中などさまざまなシチュエーションで油圧を今後確認していく予定。
ストレーナーにゴミが詰まる?
さて、現在GR86/BRZ界隈では、「エンジンオイルのストレーナーにゴミが詰まる」というのが話題になっている。エンジンオイルを吸い上げるストレーナーに異物が詰まって、油圧が低下してエンジンブローしたという。
コレ、本当ならば大変なこと……なのだけど、そもそもこのストレーナーというものは、こういった異物を濾し取るためにあるもの。
異物が詰まってしまわないように、箱型の網になっている。ただ通過するだけのフラットな網ならすぐに詰まってしまいそうだが、そんなこともあろうと側面も吸えるようになっている。さすがスバル。
なので、下面がもし異物で詰まっても、横方向に4面網があるので、そちらからも吸える構造となっている。
その異物とはオイルパンやカバーの液体ガスケットのハミ出たものがちぎれて浮遊しているという。これは間違いなさそう。
そこで「そんなものが浮遊しているのは欠陥だ~」「リコールだ~」と騒いでいるというが、そもそも他車種でもこのガスケットがストレーナーに引っかかるのは珍しくないとプロメカニックは言う。
そして「ストレーナーに浮遊したガスケットが引っかかるということは、オイルフィルターが機能していない! 欠陥だぁ~!」と騒いでいる人もいる。
オイルパンからオイルを吸い上げるストレーナーの先にはオイルポンプがある。まず溜まったオイルをオイルポンプが吸い上げないとオイルを循環できないからである。
ドライサンプならいいが、ウエットサンプだ。すべてのオイルを強制循環しているわけではないので、吸い上げるためにはすぐそこにオイルポンプがないと循環できない。
そのオイルを汲み上げた先にオイルフィルターがあるから、大きなゴミがオイルフィルターに引っかかるわけがない。というか、大きなゴミがオイルポンプに詰まると困るのでストレーナーで大きなゴミを濾しているのである。
若干驚くのは、そういった構造を把握せずに「構造がおかしい」とか、「欠陥だ」とか騒いでいるのがネットのアマチュアの方々だけでなく、クルマのプロにもいるところ。むむぅ。
そもそも本当に油圧が下がってしまうことがあるのかを検証すれば良いハズ(だから油圧計をつけたのである)。
筆者・加茂のGR86は昨年12月納車の極初期モデルですでに7500km走行しているが、そのくらいの距離になるとエンジンブローは時間の問題だというプロもいる。では、本当にブローしてしまうのか? 油圧計を見ながら検証してみたいと思う。
また、そういった構造的な問題の指摘が多いが、そもそもオイルの油量はきっちり入っていたのかも重要だ。量が少なければオイルが片寄って、油圧が下がるのも当然なのだから。
どれくらいの量になると、強いGがかかった時に油圧が下がるのか、ということも加茂号でしっかりと検証していきたい。乞うご期待。