「ダイハツ・タント ファンクロス vs スズキ・スペーシア ギア」軽スーパーハイトワゴンSUV直接対決! サイズは?パワートレーンは?スタイルは?

タントシリーズのマイナーチェンジで追加されたファンクロスは、アウトドアギアテイストなデザインに専用のユーティリティアイテムを備えたSUV的なモデルだ。ライバルとなるのは、これまで唯一のSUVテイスト軽スーパーハイトワゴンだったスズキのスペーシア ギアと言えるだろう。先行するライバルと後を追うニューカマー、その違いをじっくり見ていこう。
REPORT:MotorFan編集部 PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)スペーシア ギア/井上 誠(INOUE Makoto)タント ファンクロス

アウトライン

■スペーシア ギア
2017年12月にフルモデルチェンジした2代目スペーシアに、2018年12月に追加されたSUVモデル。元々ギア感の高かったスペーシアを内外装ともアウトドアテイストを加えたデザインとしたほか、撥水加工のファブリックシートやラゲッジルームのフロアを防汚仕様とするなど、ユーティリティもアウトドアユースに配慮されたものになっている。
軽ワゴンSUVで先行する同社のハスラーの方法論をスーパーハイトワゴンにも当てはめた画期的なモデルとして登場した。

スペーシア ギア HYBRID XZターボ(アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ)
スペーシア ギア HYBRID XZターボ(アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ)

■タント ファンクロス
2022年9月にタントのマイナーチェンジに合わせて登場したニューモデルで、アウトドアギアをイメージさせるデザインが特徴だ。デザインのみならず、撥水加工シートや防水仕様のリヤシートバック、ラゲッジルームランプや後席/ラゲッジ用のUSB端子といった専用ユーティリティを備えるなど、タント、タント カスタムとは異なった世界観やアクティブなライフスタイルを提供する役割を担っている。

タントファンクロスターボ(サンドベージュメタリック×ブラックマイカメタリック)
タントファンクロスターボ(サンドベージュメタリック×ブラックマイカメタリック)

サイズ比較

左:スペーシア ギア/右:タント ファンクロス

■ボディサイズ
軽自動車規格があるため、全長と全幅はどちらもほぼ規格内いっぱいの設定(全長3395mm、全幅1475mm)になっている。違いは全高だが、ターボの有無や駆動方式にかかわらず全グレードで1800mmのスペーシア ギアに対し、タント ファンクロスはFFが1785mm、4WDが1805mmと異なっている。グレードによっては最大20mmの違いになるが、そもそも背の高いスーパーハイトワゴンにあってはそれほど大きな差ではないだろう。

上:スペーシア ギア/下:タント ファンクロス

ホイールベースは両車ともに2460mmと長く、広い室内空間の確保に貢献している。それゆえ、オーバーハングもギリギリまで切り詰められた形になっている。

トレッドはスペーシア ギアがフロント1295mm、リヤが1300mm(4WDは1290mm)。
タント ファンクロスはフロントが1300mm(NAの4WDは1295mm)、リヤは1295mm(4WDは1265mm)。
ほぼ同じ数値だが、前後の広さが逆な点と4WDとの差が大きな違いとなっている。

左:スペーシア ギア/右:タント ファンクロス

最低地上高はどちらも150mmで、最小回転半径はスペーシア ギアが4.4m。タント ファンクロスも4.4mだが、ターボは4.7mとやや大きくなる。駆動方式よりもターボの有無が影響するのは、ターボや配管の取り回しがタイヤの切れ角に影響するのだろうか?

重量はスペーシア ギアが880kg(NA・FF)〜940kg(ターボ・4WD)に対し、タント ファンクロスが920kg(NA・FF)〜990kg(ターボ・4WD)と各グレードで40kg〜50kgスペーシア ギアが軽い。

■室内空間
スペーシア ギアは室内長2155mm×室内幅1345mm×室内高1410mm。
タント ファンクロスは同2125mm×室内幅1350mm×室内高1370mm。
全長と全高ではスペーシア ギアが30〜40mm、全幅ではタント ファンクロスが5mm広い。
ただし、室内空間に関しては計測が自社計測値になるので参考程度と考えた方が良いだろう。いずれにせよ、軽トラックや商用バンほどに数値をシビアに見るレベルの違いではない。

■ホイール・タイヤ
スペーシア ギアはエンジン、駆動方式に関わらず14インチホイールに155/65R14サイズのタイヤを履く。
タント ファンクロスはターボが15インチホイールに165/55R15サイズのタイヤ、14インチホイールにNAに155/65R14のタイヤとスペーシア ギアと同じ設定になっている。
撮影車のタイヤはどちらもダンロップのエナセーブを装着していた。

スペーシア ギアのアルミホイールは色は14インチのガンメタで、8×2本スポークのシンプルな十字デザイン。
タント ファンクロスの15インチアルミホイールはタフトと同じ6本スポークのシルバーを採用している。
車名スペーシア ギアタント ファンクロス
全長3395mm3395mm
全幅1475mm1475mm
全高1800mm1785mm
室内長2155mm2125mm
室内幅1345mm1359mm
室内高1410mm1370mm
ホイールベース2460mm2460mm
トレッド前:1295mm
後:1300mm
前:1300mm
後:1295mm
最低地上高150mm150mm
最小回転半径4.4m4.4m
車両重量890kg940kg
撮影車両に合わせてFFターボで比較

インテリア

スペーシア ギア
タント ファンクロス

■コックピット&インパネ
スペーシア ギアの方がデザインでもギア感が強く、レイアウトや仕様も実用本位に感じられる。一方でタント ファンクロスはオレンジの差し色は配するなどオシャレ感を演出するとともに、電気式パーキングブレーキ採用するなど、後発らしい先進的なスタイリッシュさも備えている。

スペーシア ギア
タントファンクロス

メーターデザインも大きく異なり、円形のアナログスピードメーターに液晶を組み合わせたシンプルなスペーシア ギアに対し、タント ファンクロスはフルデジタルの液晶メーターにインフォメーションディスプレイを採用。デザインや配置はシンプルながら表示される情報量は多い。

■シート
スペーシア ギアはハニカム柄ながらグレーベースのシンプルなデザイン。タント ファンクロスはブラックベースにカモフラージュパターンでコントラストを付けると共にオレンジの差し色をアクセントにしたアクティブなイメージに仕立てられている。
どちらも撥水加工ファブリック表皮を採用して濡れてもサッと拭き取ることができるようになっており、アウトドアユースでの使い勝手を考慮した形だ。
また、スペーシア ギアは後席右側面にアクセサリーソケットを、タント ファンクロスはやはり後席右側面にUSBソケットを備えている。

スペーシア ギア(フロント)
スペーシア ギア(リヤ)
タント ファンクロス(フロント)
タント ファンクロス(リヤ)

ラゲッジルーム

スペーシア ギアのリヤシートはスライド機構を備え、通常時でも最大210mmラゲッジルームを拡大できる。さらにダブルフォールディング機能により、ラゲッジルームをワンタッチで拡大できるだけでなくフラットフロアも実現している。
助手席シートも座面を起こせば背もたれを前倒しできるので、助手席側であればラゲッジルームからダッシュボードまでの長大な収納スペースになる。
開口部とラゲッジルームのフロア高が同じで大きな荷物も載せやすいだけでなく、開口部に2つの切り欠きを設けて自転車などを載せやすくする工夫も施されている。

スペーシア ギア(通常時)
スペーシア ギア(リヤシート格納時)

タント ファンクロスもリヤシートスライドが可能で、スライド量は最大で240mm。今回のマイナーチェンジでシート背面にスライドレバーが新設されたため、ラゲッジルームからのスライドが可能になった。
一方で、リヤシート格納時はラゲッジルームのフロアと倒したシートとで大きな段差が残ることになる。それを解消するのが上下2段調整式デッキボードで、脚を展開すればラゲッジルームはフルフラットになり、加えてアンダーボックスに常時アクセス可能になる。

タント ファンクロス(通常時/デッキボード通常時)
タント ファンクロス(リヤシート格納時/デッキボード通常時)
タント ファンクロス(リヤシート格納時/デッキボード展開時)

フロントシート背面に用意されるテーブルはタント ファンクロスは左右両側、スペーシア ギアは運転席側のみ。スペーシア ギアの助手席側はネットタイプの収納スペースになっている。
フルフラット時の作業性やフロア高についてはスペーシア ギアに軍配が上がるが、タント ファンクロスの外に持ち出すこともできる上下2段調整式デッキボードの使い勝手は面白い。
このデッキボードも含め、両車ともラゲッジルームのフロアとリヤシートバックは防汚仕様になっており、汚れても簡単に掃除できるのが魅力だ。

パワートレーン

スペーシア ギア HYBRID XZターボ
タント ファンクロスターボ

両車ともにエンジンは直列3気筒12バルブDOHCで、排気量は658cc。出力などは大きく変わらない。
ターボとNAを用意し、そのどちらでもFFと4WDを選ぶことができる。また、トランスミッションは全車CVTのみの設定だ。
大きな違いは、スペーシア ギアにはISG(モーター機能付き発電機)とリチウムイオンバッテリーが搭載されたマイルドハイブリッドという点だ。モーターによるクリープ走行や、加速時にモーターのアシストを得ることできる。
モーターの出力は3.1ps(2.3kW)/1000rpm、トルクは5.1kgm(50Nm)/100rpmとなっている。
それぞれの仕様と価格は以下の表のとおり。

グレードスペーシア ギア
ハイブリッドXZ
スペーシア ギア
ハイブリッドXZ
ターボ
タント
ファンクロス
タント
ファンクロスターボ
エンジン型式R06AR06AKFKF
種類水冷直列3気筒
12バルブDOHC
水冷直列3気筒
12バルブDOHC
インタークーラーターボ
水冷直列3気筒
12バルブDOHC
水冷直列3気筒
12バルブDOHC
インタークーラーターボ
ボア×ストローク64.0×68.2mm64.0×68.2mm63.0×70.4mm63.0×70.4mm
排気量658cc658cc658cc658cc
圧縮比9.111.59.011.5
最高出力52ps/6500rpm
47kW/6500rpm
64ps/6000rpm
38kW/6000rpm
52ps/6900rpm
38kW/6900rpm
64ps/6400rpm
47kW/6400rpm
最大トルク6.1kgm/4000rpm
60Nm/4000rpm
10.0kgm/3000rpm
98Nm/3000rpm
6.1kgm/3600rpm
60Nm/3600rpm
10.2kgm/3600rpm
100Nm/3600rpm
燃料タンク容量27L27L30L30L
トランスミッションCVTCVTCVTCVT
駆動方式FF/4WDFF/4WDFF/4WDFF/4WD
タイヤサイズ155/65R14155/65R14155/65R14165/55R15
価格(税込)FF:1,725,900円
4WD:1,845,800円
FF:1,802,900円
4WD:1,922,800円
FF:1,721,500円
4WD:1,842,500円
FF:1,809,500円
4WD:1,930,500円
価格はオプションや特別色を含まず

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