“デュアルブーストハイブリッド”を搭載した新型クラウンの本命「RS」は、明らかにパワフルで“エンジン色が強い”【新型クラウン CROSSOVER RS試乗記】

先行して登場した2.5Lハイブリッドに加えて、新型クラウンの上級バージョンと言える2.4Lターボハイブリッド仕様“RS”への試乗が叶った。これまでトヨタが主力ユニットとしてきたシリーズパラレルハイブリッド(THSⅡ)とはガラリと方式の異なるハイパフォーマンスユニットの仕上がりはいかに。
REPORT:佐野弘宗 PHOTO:高橋 学

従来のハイブリッドとは別物の「デュアルブーストハイブリッド」

全車ハイブリッド&4WDのクラウンクロスオーバーだが、「RS」だけが、2.4Lターボエンジンを採用する高性能グレードだ。外観上の識別点は少ないが写真の10本スポークデザインの21インチは、「RS」のみが採用する。

新型クラウンの第一弾となるクラウンクロスオーバーには、ひとまず2種類のパワートレーンが用意される。“ハイブリッド+リヤモーターの4WD”という点はどちらにも共通するが、より手ごろで、納車開始もひと足早かったのが2.5リッター「シリーズパラレル」ハイブリッドである。

バイトーン(ツートーン)の設定は6色。いずれのカラーの場合も、ボンネットはブラック。強い個性を主張する。

これはカムリやRAV4、ハリアー、レクサスのES300とRX、NXなど、すでに幅広く使われているトヨタの主力ユニットで、つい最近まで「THS II=トヨタハイブリッドシステムII」と呼ばれていたものだ。

バイトーンの場合は「リヤマスク」もブラックに。ハッチバック風のリヤビューながら、独立したトランクを持つ「セダン」である。

そしてもうひとつが、よりパワフルな2.4リッターターボを中心に据えた新開発ハイブリッドで、少し遅れての納車開始となった。で、今回メインに試乗したのも、この「デュアルブーストハイブリッド」のクラウンである。

新しいデュアルブーストハイブリッドは、エンジンだけでなくハイブリッド部分も、従来のシリーズパラレルとは別物と言っていい。おなじみのシリーズパラレルが2つのモーターを内蔵した動力分割装置を使う(クラウンの場合はさらにリヤモーターも加わる)のに対して、新しいデュアルブーストでは2.4リッターターボは82.9ps/292Nmのモーターを内蔵した6速ATを介して前輪を駆動する。対して後輪を駆動するのは80.2ps/169Nmの水冷モーターである。

RSの2.4Lターボは、エンジン最高出力も272psと、186psの2.5L NAに比べて大きく差をつける。

フロントモーターはエンジンを停止しての純粋な電気走行、エンジンの駆動アシスト、停止時の発電、減速時の回生充電……などの役割を担う。デュアルブーストいう呼称も、エンジンをターボチャージャーとモーターの2つ=デュアルでブーストするという意味らしい。

とはいえ、ハイブリッド部分はあくまで1モーター方式なので、モーターが発電機の役割を担っているときには駆動には回せない。よって、エンジンで発電しながらモーターで駆動する……という、いわゆるシリーズハイブリッド走行はできない仕組みだ。

インパネも外観同様、スマートなデザインに。従来からのクラウンらしさは、ステアリングセンターの王冠マークだけだ。

もっとも、リヤにもモーターをもつ今回のクラウンであれば、フロントで発電しながらリヤで駆動すれば、構造的にはシリーズハイブリッド走行も可能ではある。しかし、担当エンジニアによると、今回のクラウンがそういうパターンで走ることはないという。

高すぎず、低すぎない絶妙なシート高

クラウンクロスオーバーに搭載されるハイブリッドのシステム出力は、2.5リッターシリーズパラレルが234ps、新しい2.4リッターデュアルブーストが349ps。実際に乗っても、後者のほうが明らかにパワフルだ。

そして、その構造から想像されるように、エンジン色が強い。そんなキャラクターを強調するように、アクセルペダルを踏み込むと“プオーン”というスポーティな乾いたエンジン音を意図的に聴かせる。とくに今回は箱根のワインディングのみでの短時間試乗だったので、なおさらパワフルなエンジンの存在感が大きかった。

大きめの地上高を確保したクロスオーバーということもあって、伝統的なセダンより見晴らしは良好なのは気持ちいい。と同時に、本格的なSUVとちがって、シートも高すぎず、身長170cm前後だと立ったまま腰を横にずらした高さにシートがある感じ。つまり乗降性もちょうどいい。新型クラウンはユーザーの若返りと国際化をねらって、今回のようなカタチとなり、最終的には4つの車型がそろえられる予定という。

「RS」は、ブラック/イエローブラウンの本革シートを標準装備する。
シート高の設定は、前後席ともに乗降時に負担を感じないちょうど良い高さ。

とはいえ、新型クラウンのなかで、中高年ドライバーや運転手付きのショーファードリブン用途など、伝統的クラウンからの乗り替え需要が最も期待されるのも、このクロスオーバーだそうである。実際のボディ形式もあくまで4ドアセダンなので、リヤシートバックも分厚くしっかりしたつくりで、静粛性も高い。

後席重視のユーザーのためにリヤサポートパッケージを用意する。
クラウン伝統の後席グリップ。

RSには電子制御可変ダンパーを採用する

今回のリヤモーターが水冷式とされているのも、電動4WDとしてはかなり積極的にリヤを駆動する制御ゆえだ。これまで以上にリヤモーターにかかる負担が大きく、さらにパワーも高い。実際、この「E-Fourアドバンスト」は100:0〜20:80の間で、状況に応じて駆動配分する。つまり、走る通常走行時でも2割ほどはリヤを駆動し続けるということだ。対する従来型の2.5リッターシリーズパラレルと組み合わせられる「E-Four」は路面状況のいい直進時は基本的にFFで走る。

デフォルトのメーター画面。シンプルで視認性に優れる。
ECOからCUSTOMまで多彩な走行モードを備える。

そうはいっても、やはり相対的にはフロントの駆動力が大きいFF的な走りなのは、今回のデュアルブーストハイブリッドでも変わらない。ただ、コーナーで意図的にアクセルを深く踏み込むような運転をしたときの後ろから押し出すような感覚は、シリーズパラレルのクラウンにないのは事実である。

また、クラウンのデュアルブーストハイブリッド車は、サスペンションに電子制御可変ダンパーの「NAVI・AVS」を標準装備する。同じ21タイヤを履かせたシリーズパラレルハイブリッド車(減衰力固定の通常サスペンション)と比較すると、大きくうねるような路面での乗り心地は快適だが、ロールが小さいのでステアリング反応は驚くほど俊敏だ。

つまり、可変ダンパーらしい味わいやメリットは確実にある。ただ、細かい不整などではバタつくこともあり、トータルでの快適性や運転感覚の自然さでどっちに軍配を上げるべきか……については、あらためてじっくり乗って試してみたいと思った。

「RS」は電子制御可変ダンパーを採用。うねった路面の快適性でその効果を実感できる。
トヨタ クラウン CROSSOVER RS “Advanced”


全長×全幅×全高 4930mm×1840mm×1540mm
ホイールベース 2850mm
最小回転半径 5.4m
車両重量 1920kg
駆動方式 四輪駆動
サスペンション F:マクファーソンストラット式 R:マルチリンク式
タイヤ 225/45R21

エンジン種類 直列4気筒 
エンジン型式 T24A-FTS
総排気量 2393cc
最高出力 200kW(272ps)/6000rpm
最大トルク 460Nm(46.9kgm)/2000-3000rpm

フロントモーター種類 交流同期電動機
モーター型式 1ZM
最高出力 61kW(82.9ps)
最大トルク 292Nm(29.8kgm)

リヤモーター種類 交流同期電動機
モーター型式 1YM
最高出力 59kW(80.2ps)
最大トルク 169Nm(17.2kgm)

トランスミッション 6AT

燃費消費率(WLTC) 15.7km/l

価格 6,400,000円

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