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走る西松屋! ファミリー装備満載で、ピラーは身長計付き|2代目トヨタ・ポルテ&スペイド
2012年に登場した2代目トヨタ・ポルテ(と兄弟車のスペイド)は、左側に大開口のスライドドア、右側に前後のヒンジドアを備えたコンパクトカーだ。
そんなポルテには、助手席側のBピラーに数本の突起が刻まれている。その正体はなんと身長計! 「柱の傷はおととしの〜♪」という童謡があるが、ポルテの場合は乗る度に我が子の成長度合いを確認することができるわけだ。ゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツがガソリン自動車を発明して以来、約130年にも及ぶ自動車史の中で、身長計がついたクルマはポルテだけではないだろうか。
そんな話だけを聞くとちょっとキワモノと感じられるかもしれないが、実際のポルテはかなり真面目なクルマ。開発主査の方はプロボックス/サクシードにも携わられており、そのときの経験から、ユーザーの使用状況を徹底的に調査、反映させることの重要性を学ばれたそう。その結果、ボックスティッシュを合計5ヶ所(計6箱)収納できたり、フロア高を350mmに抑えて女性でも自転車が積めるように配慮したりと、様々な装備や工夫が盛り込まれていたのだ。身長計は、開発陣のちょっとした遊び心といったところだろう。
まさに「走る西松屋」と呼びたくなるくらいファミリーを意識した装備が満載のポルテ。子育てに奮闘するお父さん・お母さんのことを考えると、2020年の生産終了が惜しまれる。
「針が…遅れて…動くよ…」いっこく堂もビックリ!?のアナログダイヤル|トヨタ・マークXジオ
全盛期のイチロー並みにヒットを連発している最近のトヨタだが、ちょっと前は、きわどいボールに手を出しての凡打もあった。そのうちの1台が、2007年に登場したマークXジオだ(失礼)。マークXと名前はついているものの、セダンのマークXとは関連性のないロールーフミニバン。「立体駐車場に入庫可能」な1550mmの全高で人気を集めたホンダの3代目オデッセイの対抗馬的存在だった。
マークXジオの登場はオデッセイから遅れること3年、ただ背が低いだけでは分が悪いと思ったのだろうか、マークXジオには独自の装備が多数盛り込まれていた。
そのうちの一つが、エアコンのダイヤルだ。風量とモードを調整するためにダイヤルを動かすと、内蔵された針がワンテンポ遅れて動くのである。オーディオのVUメーターのようで、見ているとなんとなく温かみが感じられたのを覚えている。
最近の新型車はデジタル化が著しく、タッチパネルで操作のほとんどを行うフォルクスワーゲン・ゴルフのようなクルマもある。しかし、アナログの良さが再認識されてレコードの売り上げが好調なように、マークXジオのようなダイヤルが再び脚光を浴びる可能性もゼロではない…のかもしれない。
世界よ、これが日本の「わびさび」だ! 天井を障子と波紋で彩る|3代目日産キューブ
2008年に登場した日産の3代目キューブは、デザインが秀逸だった。スピード感や威圧感を強調するクルマが多い中、キューブの佇まいからは「癒やし」や「隙」が感じられた。そして、「和」のイメージを全面に押し出しているのもキューブの特徴だった。
その象徴といえる装備が、ガラスルーフに組み合わされた「SHOJIシェード」だ。SHOJIは、最後の日本男児と呼ばれてPRIDEで活躍した小路晃(しょうじ・あきら)のことではなく、障子のこと。実際には障子紙ではなくラミネートされた不織布のシェードなのだが、完全に遮断するのではなく、障子のごとく光を和らげてくれるのがいい。
天井と言えば、ロールス・ロイスには光ファイバーによって天井に星空を作り出すオプションがある。が、日本人の心に刺さるのは、やはり障子ではないだろうか。そもそも、ロールス・ロイスは高くて買えないし…。
ちなみにキューブは、ガラスルーフを装備していない標準仕様の天井もニクかった。まるで水面に石を投げ入れて発生した波紋のように、同心円の凹凸が刻まれているのだ。
日産にはフェアレディZだけでなく、キューブも復活させていただきたいと願うのは私だけではないだろう。