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信頼できる仲間がいるから安心して仕事が進められる
深い森の中で、かすかに差し込んでくる光。その光をたどるように、見上げると、樹木を伐採する職人の姿がある。空に近い場所で作業をする人々、彼らをかつて空師と呼んでいた。奥深い森、クレーン車が入れない傾斜地、住宅街、どんな場所でも、周辺へのインパクトを最小限に押さえ、植生の営みを後世に繋ぐ。木を切り、森を守る、その2つを同時にこなしているのが上野さんだ。
フィールドワークでは、仲間のプロフェッショナルたちに声を掛けて、チームで作業を行う。みんなが同じ作業をできる能力を持っていて、危険と隣り合わせの作業だからこそ、人間性など、すべてを信頼できるメンバーが集まってくる。今回も長年チームを組んでいる仲間たちの現場となった。空に近い場所での孤独な作業だが、地上にいるグランドワーカーたちのバックアップのおかげで、スムーズに作業が進む。
天空に高くそびえたつ樹木は、少しずつカットされ、地上へと近づいてくる。そして、その役目を終える。
連携プレーでの特殊伐採、高い技術力が冴える現場
フィールドでは役割分担がある。木にのぼりチェーンソーを扱うクライマー、地上でカットした木をロープで巧みに運び出すグランドワーカーたち。それぞれが重要な役割を担い、声をかけながらの連携プレーが続く。クライマーから、どのくらいの木を切り出すかの無線が入り、下で受けるグランドワーカーたちが、ロープの調整を行う。サイズに合わせて、ロープへのテンションを調整し、手元のグリップで落下する衝撃を和らげる。1人が作業している時は、2人がその作業を見守り、作業内容を何重にもチェックしながら、最善のフィールドワーク環境を作り出している。
実用性を考えたらこのクルマになった」という上野さんのクルマは、最新型のトヨタ・ピクシストラック。伐採に特化した職業なので、木を運ぶことはない。そこで、道具を積むことを優先してクルマをセレクト。仲間のクルマを見てみても、同じ様に道具がたくさん積み込まれていた。そして、上野さんはあえて、ピックアップタイプを選んだのだ。
「チェーンソーに加え、ガソリンを運ぶことも多いので、密閉されたワンボックスタイプは選びませんでした。でも、大切な仕事道具を守るためのカバー探しに苦労しました」。
荷台カバーはモト・クラフトのエムシーカバーというパーツ。FRP製で両側が開き、ロック機構も装備されている。雨をしのぐことができて、大切な道具をしっかりとガードしてくれる。仕事道具以外にもキャンプ道具が積み込まれ、ランチ作りの時に活用されているという。
上野さんに今の職業の楽しさを聞いてみると「自然の中で仕事できること」と答えてくれた。そんな仕事内容にフィットしているのも、このコンパクトな軽トラックといえるだろう。自然のなかをグングンと進み、狭い林道も気にしない走行性。その高い機動力にも、上野さんは絶大な信頼を寄せている様子だった。
これからも、仕事道具を満載で、全国各地を走り回る上野さん。ピクシストラックとの生活も続きそうだ。
ほとんどが輸入品の専用ギアたち
樹木のことを知り、伐採まで行う仕事は国内では珍しい職業だが、海外では一般的だという。よって、使われる専用ギアのほとんどが輸入品になる。国内でも古くから「空師」として発展してきたのだが、ツリークライミングなどの技術、チェーンソーの利用など、安全性を高めながら、近代的アイテムを導入してきたのは海外のスタイル。そこで生まれたギアたちが、自分の身を守ってくれることになる。もちろん、そのすべてに信頼を寄せているのだ。
実用的な仕事車だからこそこだわり抜いたセレクト
空師のみが見てきた眺めその美しい景色をシェア
OUTDOORE VEHICLE Vol.4 より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]