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世界で1台のセリカが日本に!
1999年9月20日に発表発売された7代目セリカ。2006年4月に販売終了となるこの最後のセリカがT230系。
7代目セリカは、トレンドを切り拓くデザインと際立つ走りにより、クルマの原点にあるエンタテイメント性を堪能できる新しいスポーツスペシャルティとして登場。その開発では、「見て、見られて、操って楽しい」をテーマに誰もが気持ち良く乗れ、軽快に走る、「ライトな新感覚GT」の具現化を狙っていたという。
GT-FOURもラインアップされていた「戦うセリカ」、先代のT200系から全幅・全長がダウンサイジングされたボディに、エンジンも1.8L自然吸気のみ、駆動方式もFFのみのシンプルな構成で、最軽量モデルは1060kgというモデルだった。
UTEになったZZTセリカ ピックアップ トラック
そんなセリカを令和の時代にピックアップ・ボディにカスタムしたのが茨城県小美玉市のスターダストファクトリー。
2003年式の後期型SS-IIをベースに、Bピラー以降を大きくアレンジし、荷台としたカスタムカーだ。
そのスタイルは、豪州発祥でクーペ ユーティリティと呼ばれるもので、UTE(ユート)とも称される。
乗用車ボディの2ドアクーペの後部をカーゴスペースとしたもので、古くは1930年代から存在する。
一般的なピックアップトラックはキャビンと荷台部分が分離しているが、UTEはボディパネルが一体となっているのが特徴だ。
また、同様のUTEスタイルのクルマたちは1950年代から北米でも、1970年代からはブラジルでも販売されている。
国産モデルとしては、スバル・ブラットやスバル・バハ、スズキ・マイティボーイなどがこのジャンルに入るだろう。


ZZTセリカ ピックアップ トラックを製作したスターダストファクトリーは、公認車検や、ワンオフカスタマイズを得意とするショップ。
古くは東京モーターショーのコンセプトカーの架装(アルシオーネのオープンカーなど)や、ストレッチリムジン、防弾車両の製作をはじめとし、近年はロータリーのスペシャルショップであるRE雨宮の東京オートサロン出品車など、大きな改造がされた車両の公認車検の作業も数多く行っている。
そんなカスタマイズ全振りのショップが、なぜセリカをベースとしたクーペ ユーティリティを作ったのか。


代表の押田氏は「好きだから作ってみたかった」
その理由のひとつにスターダストファクトリーのグループ会社にマリン部門があることがある。この部門ではマリンジェットなどエンジンのオーバーホールやチューニングも業務にあるほか、機体のレンタルも行っている。
これらの業務に付随して濡れ物の運搬があるため、荷台付きのスタイリッシュな車両を作ってみたというわけだ。
おまけにマリンジェットを載せたトレーラーを牽引するためのヒッチも装備。
実際の車両はさすが合法的なルーフカットのオープンカーなどの製作を手掛けるだけに、架装の品質は折り紙付き。
前席後ろの荷台との隔壁であるリアバルクヘッドの作りや、リアゲートのアオリの処理などの仕上がりは純正グレードがあったかのようだ。



ノーマルのセリカはクーペボディ。しかもドアガラスからリアクオーターガラスは一体となって流れるようなグラスエリアを形作るのが長く伝統的な手法として用いられているもの。
しかし、ピックアップスタイルになるにあたり、ドア後ろのハッチゲートやクオーターガラスを取り除く必要がある。
そこで本車両では、太く広い面をもったBピラーを新設。
サイドから見るとクーペスタイルにも似たフォルムとなっている。
実はこのフォルムにはオマージュとなる元ネタがある。
それは1999年、7代目セリカが生まれた年の東京モーターショーにトヨタから出品されたセリカ クルージング デッキ。
スターダストファクトリーのセリカと異なり、デッキ部分に後席が現れる4シーターモデルだが、Bピラーの造形などに、今回の車体のヒントがある。
余談だが、セリカのUTEには、さらに1977年、翌年登場する初代セリカ XXをベースとしリアシートがオープンエアのデッキに設置されたコンセプトカー、トヨタCAL-1という先祖もいる。


しかし、実をいうと、スターダストファクトリー代表の押田氏は「好きだから作ってみたかった」とも。
セリカ クルージング デッキのスタイルに惚れて、自分が乗りたかったから作ってみたというわけだ。
ただし、元ネタとなるセリカ クルージング デッキは4名乗車で、しかもリアウイングのような部分にリアシートのヘッドレストがあるという、なかなかに「ぶっ飛んだ」仕様。公認車検を専門とする立場としては、きちんと公道を走れる仕様にして、ドライブしたいという気持ちもあった。
セリカ クルージング デッキとは異なり、公道を走ることができる仕様に!

そんなこんなで驚くべきことに、乗用車をカスタマイズして荷台のようなスペースを製作して終わり、というわけではなく、実際に車体形状がピックアップの貨物車として登録されたのだ。
写真でも最大積載量200kgというステッカーが貼られているが、これはパロディではなく、道路運送車両法における自家用貨物車だから。
そして、車幅が1730mmあるので1ナンバー登録となっている。




車両が完成し、自家用貨物車として車検を取得したのは2021年だった。
なんとコンプリートカーとして販売中なのだ
その個体が2025年の今、中古車として販売されている。
車両は、埼玉県上尾市のスポーツカー専門店 CarShop LEAD にて展示中だ。
なにしろ世界に1台きりのスペシャルカスタマイズセリカ。気になる人はチェックしてみて欲しい。
Supecifications of ZZTセリカ ピックアップ トラック

セリカ【ZZT231改】
支払総額284万円 ※百円単位は切り捨て表示
グレード SS-II ミッション4速 AT
年式 2003年式 カラー レッド
走行距離 120630 km 駆動方式FF
車検 令和7年10月
主要装備:エアコン / パワーステアリング / パワーウィンドウ / エアバッグ / アルミホイール
チューニング&ドレスアップ・ポイント:ピックアップトラック仕様/公認取得済/パワーエンタープライズ CAMCON EX/ヨコハマ AVS MODEL5 17インチアルミホイール/ETCなど