1980年代、日本の峠道に激震が走った。並み居る大排気量車を次々と屠り、「ナナハンキラー」の異名で恐れられた伝説の二輪車、ヤマハ「RZ250」の登場である。当時の「750cc」というカテゴリーは、厳しい限定解除審査を突破した者のみが許される絶対的な聖域であり、その圧倒的な出力は街中の威厳を独占していた。

しかし、わずか250ccの2ストロークエンジンを心臓に持つこの軽量な刺客は、鋭利なハンドリングと瞬発力を武器に、大排気量車の乗り手たちに驚愕と挫折感を味わわせたのである。

時を経て現代、ヤマハはあのRZ250を彷彿とさせるカラーリングを纏った新型モデルを国内へと解き放った。その名は「XSR155 ABS」である。初期型RZ250のブラックをイメージした外装は、往年のファンには郷愁を、現代のライダーには新鮮な期待感を抱かせる。

ヤマハの軽二輪ネオレトロモデル「XSR155 ABS」

「XSR155 ABS」は、「ファッショナブル」と「走る楽しさ」を高次元で両立させる「二刀流」をコンセプトに開発された。XSRシリーズのアイデンティティである「不変のスタイル」と、現代の「最新コンポーネント」を融合させた“Neo Retro”の思想を色濃く継承している。

心臓部には軽快で扱いやすい総排気量155cc・水冷・4ストローク・SOHC・4バルブエンジンを採用し、軽二輪クラスならではの高い利便性を備えつつ、ライダーの意志のままにより遠くの場所へと出かけられる余裕を実現した。

「XSR155 ABS」の真髄は、自由で気ままな旅へと誘うXSR独自のスタイリングと、エキサイティングな走りを支えるVVA(可変バルブ)搭載エンジンの共演にある。さらに、あらゆる走行シーンにおいて優れた剛性バランスを発揮する軽量スリムな車体や、自由なライディングスタイルを可能にするコンパクトなポジションが、乗り手との一体感を加速させる。

ヤマハの軽二輪ネオレトロモデル「XSR155 ABS ブラックメタリック12(ブラック)」

もともと「XSR125」の軽快さは、若年層やセカンドバイクユーザーを中心に支持されていたが、そこには「さらなる遠方へ」「よりスポーティに」という熱い渇望が渦巻いていた。そのニーズに応えるべく、高速道路の走行すら可能としたこの「XSR155」は、単なるラインナップの拡充に留まるものではない。

軽量コンパクトな車体に牙を隠し、現代の路上で再び大型車を脅かす「復活のナナハンキラー」となり得るのか。その真価は、いまライダーたちの右手に委ねられているのである。

XSR初の軽二輪モデル「XSR155 ABS」の価格(税込)は、539,000円。

XSR155仕様

認定型式/原動機打刻型式8BK-RGB5J/G3Y5E
全長/全幅/全高2,005mm/ 805mm/1,075mm
シート高810mm
軸間距離1,325mm
最低地上高170mm
車両重量137kg
燃料消費率*1WMTCモード値 *248.1km/L(クラス2, サブクラス2-2) 1名乗車時
原動機種類水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
気筒数配列単気筒
総排気量155cm3
内径×行程58.0mm×58.7mm
圧縮比11.6:1
最高出力14kW(19PS)/10,000r/min
最大トルク14N・m(1.4kgf・m)/7,500r/min
始動方式セルフ式
潤滑方式ウェットサンプ
エンジンオイル容量1.05L
燃料タンク容量10L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式フューエルインジェクション
点火方式TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式12V, 5.0Ah(10HR)/YTZ6V
1次減速比/2次減速比3.041 (73/24)/3.428 (48/14)
クラッチ形式湿式, 多板
変速装置/変速方式常時噛合式6速/リターン式
変速比1速:2.833 2速:1.875 3速:1.363 4速:1.142 5速:0.956 6速:0.840
フレーム形式ダイヤモンド
キャスター/トレール25°30′/88mm
タイヤサイズ(前/後)110/70-17M/C(54S)(チューブレス)/140/70-17M/C(66S)(チューブレス)
制動装置形式(前/後)油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後)テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプLED/LED
乗車定員2名