キャラバンやハイエース、ミニバンのルーツはワンボックスだった!【名車が続々誕生した60's〜70'sミニバン&ワゴンのルーツを探る 後編】

これがミニバンのルーツ! バンだけでなく、乗用ワゴンも設定した60〜70年代登場のキャラバンやハイラックス!

チェリーキャブ [1970年]
今でこそ、巷にはミニバン、SUV、ステーションワゴンがあふれているが、この3種のクルマが日本でもてはやされるようになったのは1990年代以降の話だ。ではそれ以前、3種のようなクルマがなかったのかと問われれば、答えはノーである。1960~1970年代、まだ日本の自動車産業が未熟だった頃にも、その種のクルマは確かに存在した。しかも個性的だったのだ

ミニバンのルーツはワンボックス(1)キャラバン

1列目シート下にエンジンを搭載し後輪を駆動するキャブオーバー型のワンボックス。そのほとんどはビジネス向けのバン仕様だったがコーチと呼ぶ乗用ワゴンも設定した。コーチは9人乗りと10人乗りが用意されていた。1997年に初代エルグランドがデビューするが、正式名称はキャラバンエルグランド/ホーミーエルグランドであり、エルグランドはキャラバンの後継モデルとしての色合いが濃かった。

ミニバンのルーツはワンボックス(2)ハイエース

キャラバン宿命のライバルだが、こちらがひと足先にデビュー。使用用途はデリバリーユースの商用バンに加え、トラックまでさまざまに用意されていたが、初代モデルから9人乗りの乗用ワゴンもラインアップしていた。リヤドアはスライド式ではなく前ヒンジのスイングドアを採用。代を重ねるたびに利便性&豪華さが増し、1980年代以降には個人がレジャーカーとして使用することが増えていった。

ミニバンのルーツはワンボックス(3)サニーキャブ

1996年にサニーシリーズに追加されたキャブオーバー型ワンボックス。トラックや商用バンのほか、8人乗りワゴンのコーチも設定された。全長3.8m弱ながら3列シートを装備する。翌年にはチェリー店展開により、チェリーキャブと名称変更。1978年のモデルチェンジでサニーバネット/チェリーバネットとなり、その後バネットに。1991年のバネットセレナへと進化していく。

アウトドアで使えるキャンパーもあり!

1995年にオートフリートップと呼ぶ電動ポップアップルーフを備えたボンゴフレンディが登場したが、はるか以前にも同コンセプトのクルマが存在した。それが1972年のデリカキャンピングバンで、手動ながらポップアップルーフを装備。ルーフにベッドスペースを確保でき、オプションでタープやキッチンも用意されていた。

〜SUV前史、クロカンは産業用〜

日本でSUV誕生のきっかけとなったのは、意外にも自衛隊だ。自衛隊の前身、警察予備隊が作業車をオーダー。入札に応じたのは3社。三菱は本家アメリカのウィルス・ジープをノックダウン生産で、ほかは試作車で、トヨタはジープBJ、日産は4W60型というモデルを用意した。採用されたのは三菱だったが、トヨタ・ジープBJはランドクルーザーに、日産4W60型はパトロール(日本での車名はサファリ)に進化し、一般向けに販売された。三菱ジープも一般販売され、後に登場するパジェロへの礎となったことは間違いない。

カタログ に見るアウトドアの世界観

ワンボックスカーの売れ筋は圧倒的に商用バンだった。だが室内が極めて広いため、いずれは個人ユースも増えることを自動車メーカーも期待していたようだ。その証拠が当時のカタログ。商用とはまったく関係ない、楽しげなワンボックスライフが多く登場している。※年はクルマの当該モデル発売年となります

スタワゴ的ミニバンヒストリー まとめはこちら

STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年4月号 より

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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