マフラーは最低地上高の計測ポイントになるコトもあるので実は注意!【令和版! 車検の◯と× #005】

マフラー交換の【車検基準】マフラーの排気音は細かく正確に測定される!

“新規制”“加速騒音”等々、キーになるワードがポンポン出ることからも、注意点が多いことが想像できるマフラー。車両の年式によって規制が違うなど難しさも気になるポイント。そのアタリも、しっかり確認しておこう。

音量? 排ガス?気になるコトが多いマフラー

チューニングの第一歩として交換されるケースも多いマフラーなどの排気系。見た目の変化はもちろん、サウンドも純正とは明らかに変わるため、交換した実感が大きく満足度の高いアイテムと言えるだろう。しかし変化が大きな部分だけに車検に関係する部分もまた多い。排気音量は当然ながら、エンジンから排出される排気ガスを浄化する役目も担っている排気系は、一歩間違えると環境破壊にも直結してしまうのだ。それだけに規制が多く、また車両の年式によってもその適用が異なっている。そのため年式が異なる車両に乗り換えただけで、それまでセーフだったものがアウトになってしまうこともありえるから、しっかり把握しておきたい部分だ。

[近接排気音]
2016年(平成28年)9月30日までの生産車 96dB〜103dB(車種などによって数値が定められている)
①H23.3.31までの生産車の場合、JASMA認定マフラーはOK
②H22.4.1以降の生産車の場合、後付けマフラーの事前認証(加速走行騒音)が義務化
③2016(平成28年)10月1日以降生産車=新車時の近接排気騒音から±5db以下であること(※車検証に記載されている)

Q.音量について知りた〜い!

A.車両の生産年月日によって音量が決まっている

車検に通るマフラーの音量は、古いクルマほどその基準が緩くなると考えていいだろう。平成10年規制前の車両であれば最大103dB以内であればセーフなのに対し、平成10年規制後の車両は最大でも96dBとなるのだ。また平成22年4月以降の生産車に関しては近接排気騒音だけでなく、加速走行騒音の事前認証を合格したものでなければならないとされている。さらに、平成28年10月以降の生産車に関しては車検証に記載された(車種ごとに異なる)数値から+5dB以内と厳格化されている。そのため、元が静かな車種であればその状態から+5dBまでしか許容されないということになるわけで、爆音系のマフラーはほぼ許されないという状況になっているのだ。

車検証には騒音の規制に関しての記載がある!

音量の測定にも細かな規定が存在する

Q.マフラーにも最低地上高は関係するの?

A.マフラーは最低地上高の計測ポイントになるコトも!

Q.サイレンサー、取り去っても良いですか?

Q.サイレンサー、取り去っても良いですか?

A.インナーサイレンサー付き製品は、ソレを外してはダメ!

ひと昔前のクルマであれば、爆音マフラーでも車検のときにインナーサイレンサーを入れて強制的に音量を下げれば車検OKとなっていた。しかし、平成22年4月1日以降に製造されたクルマに関しては取り外し式のインナーサイレンサーはNGとなっており、どうしてもインナーサイレンサーを使用したい場合は溶接など強固に固定することが必要となっている。そのため、この年式以降のJASMA認定品のマフラーは取り外し式のサイレンサーは採用されておらず、サイレンサーを使用しなくても保安基準に適合する範囲の音量になっている。なお、タイコとも呼ばれる中間に備わるサイレンサーも当然ながら消音効果を持ち合わせているため、取り外してストレート形状にするのもNG。

Q.事前認証って言葉、最近聞きますよね。何のこと?

A.登録機関が性能を確認する、マフラーの新しい制度

事前認証制度とは2010年4月1日以降製造された車両を対象に、その騒音防止性能等をあらかじめ確認する機関を国土交通大臣が登録し、その登録を受けた機関が性能を確認したマフラーには「性能等確認済み表示」を表示する新しい制度のこと。この登録性能等確認機関は日本自動車研究所(JARI)、JQR、日本自動車輸送技術協会(JATA)の3団体となっており、認証を受けたものはいずれかの名前の入ったプレートが装着されている。

Q.触媒ストレート……はナシですよね!?

A.NG! スポーツキャタライザーを考えよう

マフラーは排気音を消音するためのものだが、その前に装着されている触媒は排気ガスを浄化する重要な装置。排気効率だけを考えれば無くしたくなる気持ちも分かるが、当然これはNG。どうしても効率が気になるようであれば、浄化性能はそのままに排気効率をアップさせた車検適合となるスポーツキャタライザーに置き換えよう。ただし、音量が変化する可能性があるので、マフラーとの組み合わせには注意したい。

Q.純正片側出し→左右出しへの変更は問題ナシ!?

A.変更自体は問題なし! でもレイアウトには注意が必要!!

純正では片側出しとなるマフラーを左右出しにレイアウト変更をするというのは車検的には全く問題はない。実際グレードによって片側出しと左右出しマフラーが設定されている車種もあるくらいだから当然と言える。ただし、そのときに注意したいのがレイアウト。純正で設定がある車種であればいいが、片側出ししか設定がない車種ではそもそも逆側にマフラー出口を備えることを考慮したフロア形状になっておらず、取り回しによってはかなり低い位置をマフラーが通ることになり、最低地上高9センチをクリアできなくなる恐れがあるのだ。逆に両側出しを片側出しにするのも問題なし。こちらはレイアウトがシンプルになり軽量化にも繋がるメリットも。

Q.サイド出しに憧れています!

A.平成29年の改正で合法になった!

古いアメ車のマッスルカーなどで見ることがあるサイド出しマフラー。日本ではマフラーの出口は車体から30度以内の角度に規制されており、サイド出しマフラーを後付けすることは許されていなかったが、平成29年に行われた保安基準の改正によってその一文が削除され、サイド出しマフラーが合法となったのだ。もちろん車体側面から大きく外側に飛び出していたり、竹ヤリマフラーのように極端に他の交通の安全を妨げるようなものはNGであるが、マフラーのレイアウトの自由度は以前よりも格段にアップしたと言えるだろう。

※本特集で掲載している車検の情報は、陸運支局ごとの判断などにより見解が異なる場合がありますのでご注意ください。また、 整備不良や不正改造の取り締まりと見解が異なるケースもあるので、ご自身の責任にてカスタマイズを行ってください。

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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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