ガソリン車と同等のパッケージングも秀逸! 軽ワゴンの粋を大きく超えた【三菱 eKクロスEV】

これホントに軽自動車!? 三菱・eKクロスEVの走りは滑らかで、パワフル! 環境うんぬんよりも、走りが最高だった!|新車レビュー

三菱の新型電気自動車「eKクロスEV」。昨今、自動車のEV化が急速に進んでいるが、クルマとしての実力はどうなのか? 気になる新型車を試乗してきた!

軽自動車とは思えない走りの良さに感激

三菱の新型電気自動車「eKクロスEV」のキーポイントは、軽自動車であること。そして航続距離が短いということだ。一充電での航続距離はWLTCモードで180㎞となっている。

EV(電気自動車)といえば一般的に「航続距離が長いほど偉い」とされる風潮もあるが、実は〝大は小を兼ねる"とは限らない。航続距離を伸ばすには、そのぶん大きなバッテリーを搭載する必要があるし、バッテリーは大容量になるほど値段が上がり車両価格アップに直結する。そして大きく重いバッテリーは車両重量を増やすので、電力量消費率(電費)が悪くなる。

そもそも、大容量バッテリーは生産や廃棄に伴う環境負荷が大きくなる(二酸化炭素排出量が増える)ので、「EV化のそもそもの目的である〝低炭素化"に本当に貢献するのか?」という疑問も生まれてくる。

そういうわけで、利用範囲を日常的な単距離移動に定めれば、eKクロスEVのように航続距離を限定する代わりにバッテリーを小さくすることで、車両価格を抑えることができるのだ。

実車に触れて「よくできているな」と感じたのはパッケージング。eKクロスEVはガソリン車のeKクロスをベースにしているが、ガソリン車に比べてパッケージングの犠牲がない。床の高さも荷室容量もガソリン車と同等。正確に言えば荷室床下収納は減っているが、「ガソリン車の4WDモデルと同じ」と聞けば納得の範囲だ。

走りは滑らかかつ爽快で、パワフル。率直に言ってeKクロスEVの価値はここにあると思う。エンジンがないからそれに起因する音や振動は一切なく、モーターが生み出す加速はどんどん速度を増していく新幹線のようにスムーズ。そこに軽自動車の常識は通用しない。

そしてなにより、力強い。モーターは最高出力こそ47 kWと軽自動車の出力上限となっている64㎰(=ターボエンジン搭載車と同じ)だが、最大トルクは195Nmと軽ターボ車の約2倍で、自然吸気エンジンでいえば2.0L車に相当。それをアクセルを踏んだ瞬間から発生するのだから、規格外にトルクフルで乗りやすいのだ。

軽自動車(特に自然吸気エンジン)はちょっと速度域の高い道路になると加速時の音が大きくなり、その割には速度が伸びないので「頑張っている感」が強い。でも、このeKクロスEVなら余裕しゃくしゃく。「これで軽!?」って思うくらいの走行性能に衝撃を受けた。

さらに予想外過ぎたのが、ハンドリングの良さ。バッテリー搭載に伴う車体強化や前後重量バランスの最適化&低重心化などの結果、クラスを超えた気持ち良い曲がり方をする。ハンドルを切るとスッと素直に向きを変え、旋回中の安定感も素晴らしい。これはどう控えめに表現しても、軽ワゴンの常識を塗り替えるコーナリング性能だ。

試乗して感じたeKクロスEVの何よりの魅力は、環境うんぬんではなく、走りの気持ち良さであるということだ。

MITSUBISHI eK X EV(三菱 eKクロスEV)

INTERIOR

POWER TRAIN

WHEEL

充電ポート

eKクロスEVサクラ、どこが違う?

プラットフォームやパワートレーンは共通。内外装のデザインが異なるのは分かるが、最大の違いは日産と三菱のEVに対する考え方。日産は「EVは専用モデルでなければならない」ため、デイズとは別モデルとして展開しているが、三菱は「EVは特別なクルマではない」として、eKシリーズのバリエーションのひとつとして展開している。

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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