新素材探索の精度向上と実験時間短縮を通じて気候変動問題の解決に寄与

日立:三菱ガス化学と共創を通じ、半導体材料などの新素材開発をDX化

素材開発のDX推進に向けた両社の協創
三菱ガス化学と日立は、このたび、三菱ガス化学の機能化学品事業部門において、AIやデータ解析により新材料や代替材料を効率的に探索するマテリアルズ・インフォマティクス※1(以下、MI)など先進のデジタルソリューションを活用し、半導体材料において目標性能を満たす新素材探索の精度を約50%程度向上するほか、新素材探索に必要な実験時間を30~50%短縮することを確認した。

三菱ガス化学の機能化学品事業部門では、日立のLumada※1で展開する「材料開発ソリューション※2」を活用することにより、CO2由来の素材を用いた仮想実験などにおいて、新素材探索の精度向上と実験時間短縮など、素材開発の効率化による環境負荷の軽減に貢献している。

最適組成探索のための仮想実験により、実験回数削減や実験精度向上を実現

これまで、熟練者が手作業で、大量の原材料とその配合比率のパターンから、新規の高機能ポリマーや半導体材料の条件探索をしており、工数を要していた。今回、MIを用いた仮想実験により、新素材に要求される特性を満たす素材の組み合わせの探索に成功した。本技術により、従来、人手での作業で膨大な時間を要していた新素材の条件探索が効率化し、開発期間を大幅に短縮することができた。

電子顕微鏡画像と材料品質の関係性の定量化により、材料品質を安定化

これまで、熟練者の経験をもとに、顕微鏡画像や目視観察などで材料の画像と品質の関係性を定性的に判断していたため、実験結果の再現が困難だった。今回、MIと画像解析技術を用いて、原材料の顕微鏡などの大量画像から材料性能の異常を自動識別することで、製品開発時の最終実験候補の組み合わせを従来手法の約半分程度の時間で見出すことに成功した。本技術により、顕微鏡画像から材料品質を定量的に判断でき、製品開発時の品質安定化を実現した。

研究計画・実験データ・研究プロセスの統一的な蓄積・利活用により、研究者間の情報共有を円滑化

これまで、実験が複数工程に跨るため、研究計画と結果の関係性を把握することが困難だった。今回、実験データを管理するサービスを用いて、研究計画、実験データ、計画・承認・実行などの研究プロセスの統合化・可視化、研究者間での実験情報の共有を実現した。これにより、研究における依頼・承認などのステータス管理や過去の実験データの検索が容易になり、新規樹脂開発の合成に関する実験管理時間を30~50%削減することができた。

※5 Lumada:顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称
※6 「材料開発ソリューション」:MIによる顧客の新材料の開発を支援するサービス。材料開発に関する膨大なシミュレーションデータや実験データの可視化・高速な分析を容易に行うことができるクラウドサービス「材料データ分析環境提供サービス」、日立が材料データを預かり、顧客の研究開発に最適なAIなどを開発し、分析を代行する「材料データ分析サービス」などを提供。

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