直列3気筒660ccのK6A型エンジンが国内デビューしたのは1994年のこと。それ以来、長い間、スズキの軽自動車の主力ユニットとして活躍してきた。その後、大幅なロングストローク化が図られた新世代エンジンとしてR06Aエンジンが新開発され、現在ではスズキの軽自動車は全数、このR06Aエンジンを搭載している。唯一、例外として先代ジムニーのみ、K6Aを搭載し続けていた。
K6A型エンジン
直列3気筒DOHCインタークーラー付ターボ
ボア×ストローク:68.0×60.4mm
圧縮比:8.4
燃料供給:ポート噴射(電子制御燃料噴射装置)
最高出力:47kW(64ps)/6500rpm
最大トルク:103Nm/3500rpm
バルブ駆動:ダイレクト
可変バルブタイミング機構:Intake
K6Aは、シリンダー部にウェットライナー式の鋳鉄製スリーブを用いるアルミ合金製ブロックを採用している。クランクベアリング部分でブロックを上下に分割する構造により、メインベアリング部に高い剛性を確保している。ほかにもローラーチェーンによるカムシャフトの駆動や長めのコンロッドにショートストローククランクなど、レーシングエンジン的な設計手法が目立つが、その出力特性はフレキシビリティに富んだ味付けとなっている。
ジムニーが搭載するのはターボ仕様のみだが、かつてはもちろん自然吸気(NA)仕様も存在した。ターボ仕様も、圧縮比違い、燃料噴射方式違い(DI=燃料筒内直接噴射仕様も存在した)などのバリエーションがあった。エンジン搭載方向も、縦・横どちらのコンフィギュレーションに対応していた。
スズキでK6Aエンジンを最後まで搭載したのがジムニーのみ、と書いたが、じつは、もう1台、K6Aエンジンを積むモデルがある。
それは、ケータハムSEVEN160である。
スズキから供給を受けるK6Aをチューンして、最高出力を58.8kW(80ps)/7000rpm、最大トルクを107Nmままで高めたエンジンを搭載しているのだ。