日本電産がトラクションモーターシステム「E-Axle」第2世代モデルの量産開始を発表。

「E-Axle Ni100Ex(Gen.2)」
日本電産は、電気自動車(EV)用トラクションモータシステム「E-Axle(イーアクスル)」の第2世代(以下、Gen.2)の量産を開始したことを発表した。

日本電産は 2019年4月にモーター、ギヤ、インバーターを一体化させたEV用トラクションモーターシステム「E-Axle(イーアクスル)」を Tier1サプライヤーとして、世界で初めて量産を開始した(以下、Gen.1)。以降、中国の顧客を中心に採用が進み、2022年9月末時点で13車種に搭載されている。(2022年9月末までに52万台以上を生産)2022年の9月26日に中国の広州尼得科汽車駆動系統有限公司で量産が開始された E-Axle Gen.2は、Gen.1 の開発、量産を通じて日本電産が培った磁気回路設計技術、油冷技術等のノウハウを元に、さらなる軽量化・静粛性が実現されている。

E-Axle Gen.2 の特長(Gen.1 100kW モデルとの比較)

①第2世代の高占積巻線技術による磁気回路の小型化、インバーターの小型化により、重量19%減、トルク・出力密度20%向上を達成。
②新開発の 2Way オイル循環方式*1 による冷却能力の向上により、Dy(ジスプロシウム)、Tb(テルビウム)等の重希土類を大幅に削減した磁石を採用。順次重希土類フリー磁石*2 への切り替えを進める。
③部品配置の最適化や新設計のギア採用等により、元々静音性に優れていた前モデル、前々モデルからモーターノイズの6~8dB低減に成功。

E-Axle Gen.2 は 100kW から量産が開始されたが、現在生産中の 200kW、150kW 等の各ラインアップについても順次Gen.2 に切り替えられる予定。

※1 中国におけるオイル冷却技術の特許出願件数 1 位
※2 磁石(強磁性体)は一定以上の温度(キュリー温度)になると磁力が失われるが、ジスプロシウム、テルビウムを添加することで耐熱性を向上させることができる。日本電産の E-Axle Gen.2 は冷却能力の向上により、磁石の温度を下げることに成功しており、これによりジスプロシウム、テルビウムを大幅に削減することができる。

E-Axle Gen.2(100kW)仕様

●ピーク出力: 100kW@350V ,20s ●定格出力:38kW ●出力軸ピークトルク:2400Nm
●出力軸最高回転数:1250rpm ●重量:57kg ●動作電圧:300~460V
●外寸(mm):432.8 x 408.3 x 351.3

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