従来、民生グレードのRCDは、0℃から70℃の動作温度に対応している。今回、新製品は-40℃の低温から最大105℃の高温までの動作範囲をサポートする。新製品は、DDR5では最大5200 MT/秒(メガトランスファ/秒)、DDR4では最大3200MT/秒の転送速度に対応。チャネルスピードを2倍に増強し、レイテンシが低く優れた電源管理のRCDにより、既存のDDR4用途では広い温度範囲により信頼性の向上を実現するとともに、今後の新たなDDR5用途としてDIMMをプリント基板上に物理的にはんだ付けするような組み込み用途への応用も可能になる。
ルネサスのデータセンタ事業部のVice PresidentであるRami Sethi氏は次のように述べている。
「従来の演算と通信を組み合わせたインテリジェントエッジや新たなO-RAN(Open Radio Access Network)のような成長分野では、ネットワークエッジでの過酷な環境に耐えられるサーバコンポーネントが必要となります。ルネサスは、パートナと協力して、このような新市場の成長に寄与する、より広範な温度範囲で確実に動作するRCD製品を開発するべく取り組んでいます」
マイクロンのCore Compute事業部のVice President兼General ManagerのMalcolm Humphrey氏は次のように述べている。
「広範な温度範囲で確実に動作し、厳しい環境条件にも耐えうる幅広い製品を提供するためには、メモリ分野のエコシステムが緊密に連携して取り組まなくてはなりません。マイクロンは、ルネサスをはじめとするパートナとの協業により、インテリジェントエッジにおける次世代メモリのための新たな市場を開拓しようとしています」
ルネサスの産業グレードの動作温度対応メモリインタフェース製品は、タイミング、パワー、5G RF、ベースバンドなどの補完的なルネサス製品と組み合わせることで、無線アクセスやエッジコンピューティングなど様々な用途に向けた包括的なソリューションを構築することができる。ルネサスの「ウィニング・コンビネーション」は、ユーザがより短期間で設計し、より早く市場投入できるよう、動作確認済みのソリューションである。ルネサスでは250種以上のウィニング・コンビネーションを用意している。
ルネサスは、業界で最も長きに渡ってメモリインタフェース製品を提供してきたサプライヤのひとつであり、DIMMの誕生以来、包括的なチップセットソリューションを提供してきた。今回新たに加わった産業グレードの動作温度範囲に対応したDDR5向け RCDは、パワーマネジメントICのP8900、SPDハブのSPD5118、温度センサのTS5111など、他のルネサス製コンポーネントとシームレスに動作するよう最適化されている。同様にDDR4向けRCDは、温度センサのTSE2004と連携する設計となっている。ルネサスのチップセットソリューションを導入するメモリベンダには、完全な相互動作性と確かな品質を保証する。