日立:アルミホットスタンプの量産化に向けてエイチワンと協業を開始

日立ハイテクは、このたびエイチワンと、リサイクル材料の活用が可能なアルミホットスタンプ部品の量産化に向けて協業を開始することを発表した。日立ハイテクは、アルミホットスタンプの量産技術開発を進めるエイチワンとの協業により、2023年度中にアルミホットスタンプ部品の量産供給開始をめざす。

アルミホットスタンプの特徴

アルミ板を加熱し、プレスと同時に急速冷却するプレス技術。熱間でプレスすることで高い成形性を実現しながら、同時に急速冷却(焼入れ)をすることで、寸法精度と強度を高めることが可能。

  • エイチワン商品開発センターで製造したアルミ製のドアインナーパネル
  • アルミホットスタンプ1回プレスで製造後、レーザートリム(縁切り)、ピアス(穴あけ)を実施
  • 材料は板厚1mmのアルミ板、A6022(JIS規格)を使用

エイチワンとの協業について

日立ハイテクは、長年にわたってグローバルに築いてきた取引関係やノウハウを活かし、アルミホットスタンプの基礎技術、リサイクル材料開発、サプライチェーン構築を進めてきた。今回、自動車骨格部品で培った高いプレス技術を擁するエイチワンとの協業を通じて、アルミホットスタンプの量産化に向けた技術開発を推進していく。

<両社の役割について>
  日立ハイテク : 基礎技術・リサイクル材料のサプライチェーンを含めたトータルサポート
  エイチワン : プレス・搬送を含めたアルミホットスタンプの量産技術開発

アルミホットスタンプの着想、技術開発の背景

車両の軽量化ニーズやLCA*でのCO2削減が求められる中、モビリティ分野を中心に入手性とリサイクル性が優れるアルミニウムは今後も需要拡大が予想されている。しかし、自動車などに採用されているアルミ板は、冷間プレスでの成形性が劣るため、その採用は外装パネルなど一部用途に限定されている。また、材料に含まれる化学成分を厳しく管理する必要があるため、新地金の使用比率が高く、市場から回収されるアルミスクラップなどの採用は低比率に留まっている。

一方、アルミホットスタンプは、アルミスクラップなどの再生原料に由来する化学成分や不純物含有量の多いリサイクル材料でも高い成形性が得ることができる。そのため、幅広い用途への採用が期待されることに加え、これに伴うリサイクル率の向上により廃棄物を最大限に再資源化・再利用できると同時に、アルミ板の製造に必要なCO2排出量も削減することができ、循環型社会・脱炭素社会の実現に貢献する。

* LCA:Life Cycle Assessmentとは、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法

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