レガシィ・アウトバック、フォレスターにも搭載される「X-MODE」は、スバルXVも搭載。しかも全車標準(1.6iを除く)である。XVは、近年世界的に人気が高まっているクロスオーバーSUVに分類されるクルマだ。もちろん、スバルだから、シンメトリカルAWD(水平対向+AWD)機構を採用している。しかし、悪路走破性より、街中をおしゃれにカジュアルに乗れる気軽さと、200mmのロードクリアランスやドライバーの高い視点などのSUV性能を両立させているのがこのカテゴリーの特徴だ。
では、SUVらしさを発揮する悪路走破性はどうか?
その性能を担保するのが、X-MODEなのだ。
「雪道での発進時や荒れた山道を登坂する時などタイヤが空転してしまうようなシーンで、あらかじめスイッチをONにしておけば制御が瞬時に介入。エンジン・トランスミッション・AWD・VDCを統合制御し、4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールすることで、スムーズな脱出を実現する」
とスバルは説明する。
かつては、AWDの悪路走破性を高めるに「デフロック」「直結モード」など機械的に4輪への駆動力伝達をロックしてしまうモードが当たり前だったが、X-MODEはスリップしたタイヤに素早くブレーキをかけてトラクションを確保するため、姿勢の乱れを効果的に抑えてくれる。
X-MODEも進化していて、XVは制御に変更が加えられた。
従来のX-MODEはステアリングを切るとリヤタイヤに配分されるトルクが絞られる。そのため悪路の登坂で、ステアリングを切ったまま発進するとスタックする可能性もある。しかし、XVのX-MODEは舵角が与えられてもリヤタイヤにトルクを配分するため、格段に走破性が向上した。
また、下り坂などで車速が急に上がってしまうような場面では「ヒルディセントコントロール」が作動する。ブレーキ操作をきにせずに車速を一定にコントロールしてくれるので、ステアリング操作できることがドライバーにとってのメリットだ。この機能も一部の本格SUV、あるいは高級SUVが装備するものだ。トヨタ・ランドクルーザーでは、「クロールコントロール」という呼称で同様の技術を搭載している。
制御項目を確認してみよう
ECU(エンジン・コントロール・ユニット)
専用トルクマップ設定
低負荷領域:スロットルを遅開き特性にすることで、急激なトルク変化が起こらないようにして低μ路での走破性を高める。
高負荷領域:スロットルを早開き特性にすることで、すばやく最大トルクをだすようにして、悪路走破性を高める。
TCU(トランスミッション・コントロール・ユニット)
専用AWD制御
AWDクラッチの締結力を約25%アップして、あらゆるシチュエーションで前後輪間での差回転発生を抑制し、トラクション性能を高める。
専用変速制御
通常制御時よりもギヤ比をLow側に設定。さらにロックアップ領域を専用に設定し、悪路でのコントロール性を高める。
ESC(スバルの呼称はVDC)
強化LSD制御
左右輪の差回転に対して①差回転発生時のブレーキ昇圧スピードを速める ②差回転発生時のブレーキ減圧タイミングを遅らせる専用制御を行ない、滑りやすい路面でのトラクション性能を高める。
ECUとTCUの制御は0-40km/hで行なわれ、40km/hを超えると解除される。
ヒルディセント制御
急勾配の坂道を降りる際に、アクセルおよびブレーキオフ時の車速を維持するようにブレ—制御を行なう。ブレーキ操作が不要なため、ドライバーがステアリング操作に集中できる。
ヒルディセント制御は0-20km/hで行なわれ、20km/hを超えると解除される。