新型プリウスは通常のハイブリッド(HEV)に加えてプラグインハイブリッド(PHEV)も現行と同様に用意される。HEVは日本市場では今冬、PHEVも2023年春ごろの発売を予定。まず大幅なパワーアップを果たしたPHEVのパワートレーンを紹介しよう。
「プリウスPHV」というモデル名で現行4代目にも設定されているPHEVだが、新型プリウスではエンジンを1.8Lから2.0LのM20A-FXE型に変更して排気量を拡大、加えて駆動用モーターを新開発のハイパワータイプに刷新。新型モーターなどの諸元はまだ発表されていないがシステム最高出力は164kWまでアップ。この結果0-100km/h加速は6.7秒、EV走行可能距離は50%以上向上という開発目標値をクリアしている模様だ。
現行プリウスPHVは1.8Lの2ZR-FXE型エンジンでシステム最高出力は90kW。発電用と駆動用のふたつのモーターとエンジンを遊星歯車を用いた動力分割機構でシームレスに連携させる機構は通常のプリウスと同じだが、エンジンとトランスアクスル間にワンウェイクラッチを追加し、発電用のモーター(ジェネレーター)も駆動に使える機構を備える。新型プリウスのPHEVではこの機構を用いず、新型モーターとバッテリーや制御で高出力化している。
現行プリウスPHVでは荷室床下に搭載されている電池パックを新型では後席下に移動。燃料タンクの位置も変更している。重心高が下がりよりスポーティな走りに貢献するだけではなく、ラゲッジスペース拡大も実現した。
販売の中心となるHEVはプリウスの歴史で初となる、ふたつのエンジン排気量を用意。従来から使用されている1.8Lの2ZR-FXE型に加えて2.0LのM20A-FXE型もラインアップされた。トランスアクスルは現行ノア/ヴォクシーから採用が始まった第5世代ユニットが使われており、M20A-FXE型と第5世代トランスアクスルの組み合わせは国内で初となる(レクサスUXハイブリッドは2.0Lエンジンは同じだがトランスアクスルが異なる)。HEVのシステム最高出力は1.8Lが103kW、2.0Lが144kWで、特に2.0Lは現行型比1.6倍というもの。0-100km/h加速は1.8Lが9.3秒、2.0Lでは7.5秒で、このようにプリウスでもグレードによって異なる性能を持たせたラインアップとなった。
プラットフォームは第2世代TNGAへと進化。従来のGA-Cプラットフォームをベースに高度な結合技術を組み合わせてボディをより高剛性化。全長4600mm(現行+25mm)、全幅1780mm(+20mm)、全高1430mm(−40mm)ホイールベースは現行+50mmの2700mmとなった。詳細はまだ発表されていないが前ストラット、後ろダブルウィッシュボーンのサス形式はそのままでもプラットフォームの進化で設計の自由度が上がり、車両応答性や乗り心地、静粛性の向上を実現したという。
このように究極のエコカーとして進化してきたプリウスが、5代目となる新型でコンセプトを大きく変えた事がわかる。ハンドリングやパワーフィールも当然、これまでとは異なったものとなっているはずだ。