トヨタ新型プリウス、メカニズムの進化は如何に! ふたつのハイブリッドパワートレインを用意

5代目となるトヨタ・プリウスが11月16日、ワールドプレミアとして都内で発表された。商品コンセプト詳細やデザインなどの解説はmotor-fan.jpに譲り、本稿ではメカニズム面での進化を速報でお伝えする。

新型プリウスは通常のハイブリッド(HEV)に加えてプラグインハイブリッド(PHEV)も現行と同様に用意される。HEVは日本市場では今冬、PHEVも2023年春ごろの発売を予定。まず大幅なパワーアップを果たしたPHEVのパワートレーンを紹介しよう。

「プリウスPHV」というモデル名で現行4代目にも設定されているPHEVだが、新型プリウスではエンジンを1.8Lから2.0LのM20A-FXE型に変更して排気量を拡大、加えて駆動用モーターを新開発のハイパワータイプに刷新。新型モーターなどの諸元はまだ発表されていないがシステム最高出力は164kWまでアップ。この結果0-100km/h加速は6.7秒、EV走行可能距離は50%以上向上という開発目標値をクリアしている模様だ。

現行プリウスPHVは1.8Lの2ZR-FXE型エンジンでシステム最高出力は90kW。発電用と駆動用のふたつのモーターとエンジンを遊星歯車を用いた動力分割機構でシームレスに連携させる機構は通常のプリウスと同じだが、エンジンとトランスアクスル間にワンウェイクラッチを追加し、発電用のモーター(ジェネレーター)も駆動に使える機構を備える。新型プリウスのPHEVではこの機構を用いず、新型モーターとバッテリーや制御で高出力化している。

現行プリウスPHVでは荷室床下に搭載されている電池パックを新型では後席下に移動。燃料タンクの位置も変更している。重心高が下がりよりスポーティな走りに貢献するだけではなく、ラゲッジスペース拡大も実現した。

こちらは現行プリウスPHVのパワートレーン構成。荷室下にバッテリーを搭載するため荷室フロアが高くなっている。
新型プリウスPHEVのフロア下をリヤ左側から見る。後席シート下のバッテリーを保護する大型プレートがわかる。

販売の中心となるHEVはプリウスの歴史で初となる、ふたつのエンジン排気量を用意。従来から使用されている1.8Lの2ZR-FXE型に加えて2.0LのM20A-FXE型もラインアップされた。トランスアクスルは現行ノア/ヴォクシーから採用が始まった第5世代ユニットが使われており、M20A-FXE型と第5世代トランスアクスルの組み合わせは国内で初となる(レクサスUXハイブリッドは2.0Lエンジンは同じだがトランスアクスルが異なる)。HEVのシステム最高出力は1.8Lが103kW、2.0Lが144kWで、特に2.0Lは現行型比1.6倍というもの。0-100km/h加速は1.8Lが9.3秒、2.0Lでは7.5秒で、このようにプリウスでもグレードによって異なる性能を持たせたラインアップとなった。

こちらが現行プリウスのパワートレーン構成。ハイブリッドトランスアクスルの体格が少し大きい。

プラットフォームは第2世代TNGAへと進化。従来のGA-Cプラットフォームをベースに高度な結合技術を組み合わせてボディをより高剛性化。全長4600mm(現行+25mm)、全幅1780mm(+20mm)、全高1430mm(−40mm)ホイールベースは現行+50mmの2700mmとなった。詳細はまだ発表されていないが前ストラット、後ろダブルウィッシュボーンのサス形式はそのままでもプラットフォームの進化で設計の自由度が上がり、車両応答性や乗り心地、静粛性の向上を実現したという。

タイヤサイズは19インチも用意。撮影車両のタイヤサイズは195/50-19で細幅+大径タイプ。トレッドもワイド化されておりクロスオーバーのようなブラックのオーバーフェンダーにも注目。
空力性能にもより注力。全高を下げたことでスタイリッシュなデザインと空力性能を両立させた。フロントは空気の乱れをより少なくして滑らかに流れる形状で、リヤには緩やかな絞り形状を与えて空気の流れをスムーズに収束させている。
さらにフロア下には、あえて段差を設けることで空気の流れを発生させ優れた接地性を実現。この形状を「エアロスタビライジングアンダーボデーステップ」と名付けている。
ドライバーシートの表面一部に除電機能を追加。これは走行中に発生した静電気が車両の挙動を乱すという悪影響を抑えるためのもので、トヨタでは以前からバンパーなど一部パーツ裏面にアルミテープを貼ることで同様の効果を狙っていた。今回は「除電スタビライジングプラスシート」と名付けられたシート表皮で静電気を減らしている。
コックピットは「アイランドアーキテクチャー」というコンセプトでデザインされており、圧迫感のない空間と運転に集中しやすいディスプレイまわりで構成。ステアリング径は少し小さくなっている。シフトレバーは一見ストレートゲート風だが現行と同じくジョイスティックタイプ。
テールランプは薄型の一文字というデザインで車両エンブレムをセンターに配置する。イメージはより先進的になった。

このように究極のエコカーとして進化してきたプリウスが、5代目となる新型でコンセプトを大きく変えた事がわかる。ハンドリングやパワーフィールも当然、これまでとは異なったものとなっているはずだ。

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