日本製鉄、「CO₂由来のポリカーボネートジオール一段合成プロセスの開発」がNEDO委託事業に採択

大阪公立大学、日本製鉄、UBEは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/カーボンリサイクル・次世代火力推進事業/カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発」において、「CO2からのポリカーボネートジオール一段合成プロセスの開発」が採択され、2023年4月より、研究開発に着手したことを発表した。

CO₂由来のポリカーボネートジオールを開発

図1 本研究の概要

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、化石燃料の利用に伴うCO2の排出を大幅に削減できる一つの手段として、CO2を炭素資源と捉え、多様な炭素化合物として再利用するカーボンリサイクル技術の確立が期待されている。特に化石燃料の代替として注目されている水素は供給不足なため、水素を必要としない高付加価値の炭素化合物製品は、2030年頃から普及・消費拡大が見込まれている。

今回、NEDOの委託事業として採択されたポリカーボネートジオールは、水素を必要としない高付加価値の炭素化合物を製造する代表的な素材であり、高機能ポリウレタンの原料である。高機能ポリウレタンは、耐久性に優れることから、自動車のシート材などになる合成皮革、屋外壁などの塗料、床のコーティングなどに世界中で広く使われ、今後も需要増が見込まれている。ポリカーボネートジオールの合成は、2段階で行うのが主流であり、環境負荷が高く大きな課題だった。これに対して、本研究開発では、CO2とアルコールの一種であるジオールからポリカーボネートジオールを低環境負荷かつ1段階で合成しようとする画期的なプロセスである。

本研究開発に先立ち、大阪公立大学と日本製鉄は、NEDOの「先導研究プログラム/未踏チャレンジ2050事業」において、小規模反応器でCO2とジオールからポリカーボネートジオールを効率よく合成できる触媒プロセスを開発し、合成に関する基本原理を確認した。本研究開発ではこの先導研究の成果を発展させ、次のフェーズであるベンチ試験設備の設計に繋げるために、より大きな反応器でも性能を確保できるような触媒技術の開発や、プロセス開発をラボベースで行う。ポリカーボネートジオールの世界トップメーカーであるUBEは、研究成果を事業化につなげるために、製品の品質評価や、実用化までの課題抽出、事業性の検討の役割を担う。

図2 本プロジェクトにおける研究開発の分担

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