目次
【実証サービス「ETC2.0 Fleetサービス」の概要】
■背景
物流業界では、貨物量の急増・高齢化などによるドライバー不足が深刻化する中、2024年4月には労働基準法の年間残業時間規制がスタートするなど、労働環境や労働条件を改善し、働き方改革の実現に向けた取り組みが推進されている。しかしながら、実際の業務においては車両を厳密に管理するには手間もかかり、運送事業者には大きな負荷がかかっている。業務効率化のために各種運行管理サービスも広がってきているが、新たな専用のデバイスが必要となることも多く、すべての車両に導入するには運行管理コストが高くなることもあるため、運送事業者にとって大きな悩みのひとつとなっている。
そこで、スマートドライブとパナソニックは、ETC2.0車載器を搭載した車両であれば利用可能な運行管理サービスの実現に向けた共同実証を2021年6月から開始した。既に普及しているETC2.0車載器を活用することで、導入時に新たな専用デバイスを購入するためのコストがかからない、運行管理サービスの実現を目指している。
■内容
「ETC2.0 Fleetサービス」は、ETC2.0車載器に備わっている乗用車の経路情報や急ブレーキを把握する機能と、高速道路・直轄国道合わせて約4,100基ある路側機を連携させて行うサービスである。運行管理の実施により、車の稼働状況や業務状況の可視化を行うことが可能となり、走行履歴も見える化されるため、複数のドライバーの走行ルートを把握することで、配車を最適化するなどドライバーの業務効率化も図ることができる。運行管理業務のデジタル化は、保有車両の台数や形態が適切かを見極めることにもつながり、保有車両台数の削減や配車最適化による業務効率の改善も期待できる。ドライバーにとっても、運転日報の作成を補助する機能により記入の抜け漏れを防ぐことができるなどのメリットがある。
■特徴
[1]ETC2.0システムの活用により、新たな専用デバイスが不要
利用中のETC2.0車載器からデータを取得するため、一般的な運行管理サービスとは異なり、新たな専用デバイスを用意する必要が無く、利用初期の設定や費用の負担が軽くなる。また、本サービスは、国が公共データとして収集した車両の位置情報を民間活用するため、車両位置情報を使った運行管理を低コストで運用することが可能となる。
[2]分かりやすい管理・操作画面で初めてのご利用でも安心
全国で600社以上のお客様の声をもとに進化してきたユーザーインターフェースを採用。初めて利用する人にも負担の少ない管理・操作画面になっている。運転日報の作成補助、走行履歴も一目で把握できる。
[3]働き方改革関連法の強化に対応したかんたん業務管理
多忙な業務に追われる時でも、簡単にドライバーの業務拘束時間の累計を把握して、働き方改革の推進をサポートする。特に、労働基準法の年間残業時間規制が2024年から導入されるにあたり、月293時間の上限に対して一目で拘束時間累計を把握できるようになることで、業務管理の効率化が可能となる。
【「ETC2.0 Fleetサービス」の主な機能】
1. 車両の位置把握
路側機を通過した時の最新車両位置を把握※することができる。渋滞情報も分かり到着時刻の想定が可能となり、荷待ち時間の削減にもつながる。
2. 安全運転管理
急ブレーキをかけた地点を表示することで危険な場所の把握やドライバー毎に最適な安全運転を指導してくれる。
3. 運転日報の作製補助
過去の走行履歴も把握可能となり、手書きでの日報作成の抜け漏れを防ぐ。
4. ドライバーの拘束時間管理
月間の拘束時間累計が上限(293時間)に近づくと注意喚起する。
5. 運行履歴管理
過去の走行ルートや速度も分かりやすく表示。ドライバーの管理や配車計画の検討にも役立つ。
※車両位置や渋滞情報の更新にはタイムラグが発生するため、リアルタイムを保証するものではない。