従来、クルマのデザイン開発では、デザインの検証を行うために複数のモデルが製作されてきた。しかし、製作期間の長さとコストの課題が伴うため、製作可能なモデルのバリエーション数は限られる。そこで、日産のデザイン部門では5年以上前からVRを活用するなど、デザインプロセスのデジタル化が推進されてきた。
本ホールで投影するコンテンツの製作にはゲーミングエンジンを使うことで、時間による光の変化、天候や自然の要素もリアルタイムに高い臨場感と没入感で再現することができ、デジタル上で製作したモデルを様々な市場環境に合わせて検証、確認することが可能になる。デザインを決定するプロセスにおいては、複数のデジタルモデルを実物大で24K LEDスクリーン上に並べ、デザインやカラーの微妙な違いを精度高く再現し比較することができる。また、モデルの位置やアングルをリアルタイムに素早く切り替えることができるため、より迅速な意思決定が可能となる。
実物大のモデルをホールに置くことで、24K LEDスクリーンとフルカラー天井スクリーンの映像がモデルを包み込み、あたかもリアルとデジタルの境界の無い空間をつくり出すことができ、デザイナーのイマジネーションを広げることができる。また、本ホールはオンラインでどこからでもアクセスできるため、デザインを生み出す場所や時間の制約がない新しいクリエーティブハブとなる。世界中のデザイナーがリアルタイムでアイデアの共有ができる、インクルーシブでインタラクティブ、柔軟でクリエイティブな環境を実現し、より創造的で魅力的なデザイン開発が目指される。