エネルギー事情や交通インフラなど、クルマの使われ方は国・地域によって様々だ。アイシンは、BEV、PHEV、HEVなどあらゆる電動車の駆動源となる電動ユニットをフルラインアップでそろえ、BluE Nexus(2019年にアイシンとデンソーの合弁で設立。電動化のための駆動モジュールの開発、適合、販売を行なう)を通じて世界中のユーザーに提供することで、カーボンニュートラルの実現を目指している。
電動ユニットの中で特に注目したのは、2020年代後半に市場投入を計画するXin1 eAxle駆動ユニットだ。モーター、インバーター、トランスミッションに加え、DC-DCコンバーターなど電力変換モジュールと熱マネージメント関連のコンポーネントを追加しながらコンパクトに仕上げている。
パワートレーンに加えて熱管理やブレーキ、空力デバイスを統合制御し、BEVの電費を18%以上向上させることも目指している。担当者は「部品単体ではなく“クルマ目線”で開発できるのが強みであり、評価試験も自社のテストコースでクルマに搭載した状態で行なうことにこだわっている」と言う。さらに、個々のコンポーネントの最適化にとどまらないノウハウの蓄積が、各機能の統合を通した高効率化を可能にするのだろう。
もうひとつのテーマは将来に向けた技術開発の方向性を示した「安心・快適・利便」というキーワード。クルマに乗る前から降りた後に至る一連の“移動体験”において、ユーザーに安全と快適を提供するために様々な技術を統合的に活用していくことを考えているという。
同社の幅広い技術を活用して「“ちょっと欲しいな”と思うようなサポートを提供するというのが、技術開発の柱のひとつ」とのことだ。