目次
買収の背景
電動車両やAIの世界的な普及によるデータセンターの需要が拡大する中で、次世代パワー半導体と呼ばれる化合物半導体を採用する動きが活発化している。化合物半導体は高い性能と耐久性を誇る一方で、製造プロセスにおいてはウェハの欠陥による歩留まり低下が課題となっており、正確かつ効率的な検査が求められている。
HORIBAグループは、中長期経営計画「MLMAP 2028」における注力分野のひとつ「先端材料・半導体」フィールドで、2028年に同分野全体で売上高2,350億円へ成長することをめざしている。フィールドビジョン「持続可能な社会実現に向けて、先端材料・半導体分野への革新的なソリューションで市場を形成する」の実現に向けて、半導体製造プロセスの改善に貢献する包括的な分析ソリューションを提供するためには、化合物半導体ウェハ検査装置の研究開発を強化する必要があった。
ビジネスの特徴と狙い
EtaMax社は、主にフォトルミネッセンス※1という分析技術を用いたウェハ検査装置を展開している。化合物半導体ウェハの均一性評価や微細な欠陥(原子配列の乱れ)の種類を判別するなど、多様なアプリケーションに強みがある。本買収により、HORIBAグループのグローバルなネットワークを生かして事業拡大に取り組む。さらに、EtaMax社が保有するソフトウェア技術とHORIBAグループが持つラマン分光※2やエリプソメトリー※3といったコア技術によるシナジーで、新製品開発とソリューション提案力強化を加速し、化合物半導体ウェハの量産工程における歩留まり向上や品質管理の高度化に貢献する。

【注釈】
※1 フォトルミネッセンス:
サンプルが特定の波長の光を吸収し、その後に放出する光(蛍光)を測定することで、欠陥や不純物の情報などを得られる分析技術
※2 ラマン分光:
サンプルに光を照射し、その散乱光を検出することで、分子構造や性質などを評価する分析技術
※3 エリプソメトリー:
サンプルに対する入射光と反射光の光の振動の変化を測定することで、厚さや性質などを求める分析技術