5Gで利用する高周波は低周波と比較して信号が劣化しやすいという特徴がある。また信号の遅延を抑えるのも需要な課題となっている。
5G・電気電子用途向け「3M グラスバブルズ」は、耐熱温度の高いガラスを数十マイクロメートルサイズの微小中空球に成形した粉末状の添加剤。低い比誘電率(10GHzで1.4-1.5)が特長な上、高い耐圧強度も備え、様々な材料に添加して使用することが可能。中空形状であることから低い比重を有しているため、5G用CCLに「3M グラスバブルズ」を添加すると、一般的に高価な樹脂の使用量を低減し、基板材料のトータルコストを下げることも可能。
【新製品の特長】 ・低誘電率(10GHzで1.4-1.5)と低水分率で、伝搬速度の向上を可能に。 ・小粒径サイズで、基板からコネクタまで様々な形状の素材に使用範囲が広がる。 ・非常に小さい比重で、単位体積当たりのコスト削減を実現。
3M アドバンス・マテリアルズ・ディビジョン責任者:ブライアン・マイヤー氏
「3M グラスバブルズ」は60年以上の歴史を持ちます。この度の技術革新により、5G・電気電子用途特有のニーズに向けた新しいグラスバブルズの設計が可能になりました。新製品は、5Gの高周波用途において、信号遅延を抑えるのに役立ちます。高速無線通信の課題に取り組む設計者に対して、低損失材料を提供できることを喜ばしく思っています。
3M ラボマネージャー:アンドリュー・デスーザ氏
「3M グラスバブルズ」は、グローバルな製造サプライチェーン、R&Dや技術サポートによって、すでに世界中の5G用途のCCLおよびPCBのお客様に使用されています。現在の製品はサブ6GHz帯を対象としており、さらに高い周波数帯を対象にした次世代の3M グラスバブルズソリューションの開発に取り組んでいます。
スリーエム ジャパン 化学製品事業部 事業部長:塩田 晃氏
様々な特長を持つ「3M グラスバブルズ」は、発売当初は素材の軽量化用の添加剤としての用途が多かったのですが、航空宇宙産業、海底開発、建材など用途が広がっていく過程で、強度向上へのニーズが高まりました。今後は通信の発達とともに低誘電率への需要が高まっていくことが予想されます。常に時代のニーズを読み取り、課題解決に導く製品を提供していきたいと考えています。
製品名 | 3M グラスバブルズ S4630 | 3M グラスバブルズ S3240-VS |
真密度 ※1 | 0.46 g/cm3 | 0.32 g/cm3 |
耐圧強度 ※2 | 110.2MPa以上 | 41.4MPa以上 |
D50粒子径(代表値) | 19 µm | 23 µm |
D95粒子径(代表値) | 35 µm | 40 µm |
53μmメッシュ篩い残渣※3 | 0.05 % 以下 | 0.05 % 以下 |
水分率 | 0.35 % 以下 | 0.35 % 以下 |
比誘電率(Dk) @10 GHz | 1.5 | 1.4 |
誘電正接(Df)@10 GHz | 0.005 | 0.004 |
表面処理 | 無し | ビニルシラン |
※1: ヘリウムガスピクノメーターを使用
※2: 3M社内試験方法
※3: 3M社内試験方法:目開き53μmのふるい(ASTM♯270メッシュ)を通した時の、 ふるい残渣