自動車エアバッグ用原糸・基布の主原料であるナイロン66ポリマーは、2018年来粗原料のアジポニトリルの供給不足を背景に需給が逼迫、原料メーカー各社が大幅な値上げを実施した。その後、一旦需給バランスは改善されたが、2021年2月の北米寒波に端を発する供給不足等を背景に世界的に需給バランスが大幅に悪化したのに加え、原油価格の上昇を受け、価格が大幅に高騰している。また、エアバッグ基布のコーティング剤として使用するシリコーン樹脂などの副原料も同様に需給の逼迫から価格が急騰している。さらに、燃料費や電力費、物流経費なども上昇しており、東レのエアバッグ事業を取り巻く環境は厳しさを増している。
このような環境下、東レは「トータルコスト競争力強化(NTC)プロジェクト」を推進し、固定費および比例費のあらゆる項目について徹底的な費用削減・効率化の自助努力を続けてきた。しかしながら、主原料・副原料の価格高騰および輸送費の上昇は、これらの努力で吸収できる範囲を超えており、安定した品質での商品供給や、さらなる高付加価値品の開発・提案をおこなう体制の維持・推進のためにも、今回の値上げ実施を決定した。
今回の値上げに関する詳細は下記の通りである。
対象商品:自動車エアバッグ用ナイロン66原糸および基布
価格改定(値上げ)幅:現行価格から20%前後の値上げ
改定時期:2021年12月出荷分から実施