ルネサス:5Gミリ波用ビームフォーミングICのポートフォリオを拡充し、業界最高レベルの送信出力を実現するトランスミッタ/レシーバ「F5288」「F5268」を発売

ルネサス エレクトロニクスは、5GビームフォーミングICのポートフォリオを拡充し、5Gおよび広帯域無線用途に向け、2x2アンテナアーキテクチャに最適化した二重偏波のミリ波デバイス2製品を発売、量産を開始した。

 新製品は、送受信可能な8チャネル高集積トランスミッタ/レシーバで、n257周波数帯(26.5GHz~29.5GHz)対応「F5288」と、n258/261周波数帯(24.25GHz~27.5GHz)対応「F5268」。5.1mm x 5.1mmの小型BGAパッケージに搭載、1チャネルあたり15.5dBm以上のリニア出力を実現(注1)し、シリコンICとしては業界最高レベルのTx(送信)出力機能を備えている。新製品により、ワイドエリア、マクロセル、スモールセルなどの基地局はもちろん、固定無線アクセス(FWA)ポイントや顧客構内設備(CPE)、その他さまざまな無線インフラ用途に向けて、広帯域の信号に対応可能なコスト効率の高いフェーズドアレイシステムの設計を実現する。
(注1)サブキャリア間隔120kHz、PAR=11.7dBで、400MHzでの5GNRのCP-OFDM波形を使用し、EVM<3%時に定義される線形出力電力レベル

 新製品は、10dBmから16dBmまでプログラム可能なリニア出力レベルで高効率な動作を実現する独自のDynamic Array Power(DAP)技術を採用している。この柔軟性により、幅広い出力要件の移動通信および固定無線の用途に使用できるため、通信業界のユーザはさまざまな用途のアンテナアレイに設計を再利用することにより、設計時間を短縮することができる。

 ルネサスのインダストリアル・コミュニケーション事業部、RF Communications担当Vice PresidentのNaveen Yanduru氏は次のように述べている。
「業界では、都市と郊外の両方において移動通信や固定無線ネットワークを5Gへ転換するに当たり、適用範囲を十分に確保できないことが、依然として最大の課題となっています。ルネサスの新しいビームフォーミングICは、この発展途上の市場のゲームチェンジャとなるものです。この送信出力の高い小型集積ビームフォーミングソリューションにより、通信業界のお客様は長距離無線用の費用対効果の高い基地局やFWAの設計が可能になります」

5Gミリ波ビームフォーミングIC、F5288およびF5268について

 ルネサスのミリ波ビームフォーミングICは、5Gシステムで求められるビームフォーミング機能に対応し、最高レベルのリニアRF出力を高効率で達成する。本ICの二重偏波8チャネルのアーキテクチャにより、対称性が高く超低損失のアンテナ配線ネットワークを実現し、全体的なアンテナ効率の向上と基板コストの削減が可能。また、エクスポーズドダイパッケージにより、ICの裏面からの放熱性が向上し、効率的な熱管理が行える。さらに、基板設計を簡素化し、設計リスクを低減できるようピン配置を設計した。最小限の層数で複雑さを抑えた基板設計により、基板コストの削減と市場投入までの時間短縮につながる。

 また、新製品にはアレイレベルの性能を向上させるルネサスの最先端技術も搭載されている。DAP技術は、高効率を保ちながら柔軟な出力の調整を可能にする。包括的なオンチップセンサネットワークであるArraySense技術を用いることで、ユーザはアレイ運用中のICのパフォーマンスを監視するとともに、修正もリアルタイムで加えられる。高度デジタル制御技術RapidBeamは、複数のビームフォーミングICの同期・非同期制御に同時に対応し、超高速ビームステアリング操作を実現する。

 その他の機能は次の通り。

  • 26.5GHz〜29.5GHz(F5288)および24.25GHz〜27.5GHz(F5268)で動作
  • 温度変化に伴うRF性能の低下を最小限に抑える高度な温度補償技術
  • 真の6ビット分解能での360°の位相制御範囲、さらに0.5dBステップでの最大31.5dBまでのゲイン制御など、最先端の位相とゲイン制御
  • Rx直線性モードの改良により、レシーバのラインアップ選択の柔軟性が向上
  • Rxの雑音指数は、室温では4.5dB以下と低く、95℃までは5.5dB以下を達成

ウィニング・コンビネーションについて

 ルネサスは、ユーザの設計を加速させ、より早く市場に投入できるよう、ルネサス製品のポートフォリオを組み合わせたソリューション「ウィニング・コンビネーション」を開発し提案している。新製品を用いたウィニング・コンビネーションとして、アップダウンコンバータF5728、広帯域ミリ波シンセサイザ8V97003、およびさまざまなルネサスのPMICデバイスと組み合わせた「基地局アンテナ・フロントエンドソリューション」を用意した。

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