電気自動車は車体下部に大型バッテリーを搭載するため、衝突時にバッテリーセルを保護するバッテリーパックと車体構造が必要。構造部材には、一般的にアルミニウムが用いられているが、強度確保のために板厚を厚くせざるをえないため、バッテリー保護部材の軽量化が課題となっていた。
そこでJFEスチールとスズキは、車体構造の最適化による軽量化を目的に、鋼板のみから成るバッテリー保護車体構造の開発を進めた。開発にあたっては、『JFEトポロジー最適化技術』をバッテリー保護部の設計に活用し、バッテリーにかかる荷重が特に大きくなるポール側突時の衝突性能を評価。構造部材に各種超ハイテンを最適配置することで、アルミニウムを用いることなく、衝突性能を満足しながら、バッテリー保護部材の大幅な軽量化達成の目途がついた。
トポロジー最適化技術は、与えられた設計空間から、要求される特性に必要な要素を残存させ、最も効率のよいレイアウトを求めることができる解析方法。一般的なトポロジー最適化技術では、部品単体ごとに最適化を行うため、数百もの部品の間の複雑な荷重の流れを、車体構造に十分に反映するのは困難である。一方で、『JFEトポロジー最適化技術』では、設計空間(部品を配置する空間)を車体の一部として組み込んで解析することで、車体各部への荷重伝達を車体構造に正確に反映できるため、より少ない重量で衝突性能を効率的に向上させることが可能。これまでも、様々な部品の接合位置や形状の最適化に寄与してきた(※)が、鋼板製バッテリー保護車体構造の最適化に適用されるのは、初めての事例となる。
(※) 『JFEトポロジー最適化技術』に関する過去のプレスリリース
『JFEトポロジー最適化技術』が三菱自動車工業株式会社に採用
~自動車車体において初の接合位置最適化技術を開発~
『JFEトポロジー最適化技術』がスズキ株式会社に採用
~自動車車体における部品形状最適化技術を開発~