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V-OPT人気企画のAE86が完全復活!
オーナー“飯田章”のドライブでサーキットを駆け抜ける
1997年から2001年までの4年間、ビデオオプションの人気連載企画「暴走一家・水戸納豆レーシング」で活躍した伝説のAE86。レーシングドライバー飯田章選手の愛機“アキラ86”である。ハチロク乗りの間では伝説的存在として語り継がれるこのマシンが、2022年にサーキットスペックとして完全復活を果たした。
「レースでAE86には乗っていたし、当時から大好きなクルマだったんだ。時代的に安く買えたし、ハチロクをベースにみんなが驚くような最先端の仕様を目指して作ったら面白いかなって」と、飯田選手は当時の製作コンセプトを語る。
心臓部の4A-Gは、TRDのサポートを受けて入手したというグループA用のレーシングパーツで構築された5バルブ仕様。9000rpmオーバーを許容し、NAながら実測で200馬力を絞り出す。AE101の横置きタイプがベースのため、バルクヘッド側にはデスビを避けるための逃げ加工が施されている。
オイル供給方式を、ウエットサンプからフォーミュラアトランティック製のシステムを使ったドライサンプに変更している点も見逃せない。5バルブ搭載というだけでも当時は珍しかったそうだが、さらに作り込みのレベルを上げるために選ばれた手段がこれだった。
エキゾースト環境は、フジツボのタコ足からビーレーシングのワンオフマフラーに繋がるレイアウト。跳ね上げのデュアルテールは飯田選手の好みだったりする。
ブレーキは第二世代GT-R用に販売されていたロータスブレンボのキットを前後にインストール。「マスターバックレスだから、これくらい大容量な方が良いんだよね」とは飯田選手。一方、このビッグキャリパー化によって17インチ未満のホイールが履けなくなり、タイヤ選びに難儀するのが悩みの一つだという。
車高調はDG-5にオーダーしたスペシャル。リヤはコイルオーバー仕様も試したが、ベストなセッティングが見つからなかったため別体式に戻したそうだ。
室内もシンプルかつ上品なメイキング。フロントシートだけでなく、リヤシートやドアトリムなどまでブリッドのファブリックで張り替えた、いわゆるフルブリッド仕様。なお、ボディは一度ドンガラ状態にしてから応力集中部や開口部にスポット増しを行っているが「闇雲に補強するのではなく、ハチロクらしい動きを失わない範囲に留めている」とのこと。
エンジンマネージメントはモーテックM4が担当。メインメーターもモーテックのディスプレイロガーへと置き換え、ここにECUからの情報を一括表示させている。
連載終了後も動態保存していたそうだが、今回サーキットに持ち込むにあたって老舗チューナー“浮谷商会”にてメンテナンスを実施。燃料関係を中心にリフレッシュを図ってきた。その甲斐もあって、トラブルに見舞われることもなくシェイクダウンは終了した。
「ダイレクトイグニッション化やLINK(フルコン)など、試したいチューニングは沢山あるよ。でも、このハチロクはこれで完成しているからさ。やるなら、もう一台ハチロクを買って新しいコンセプトでイジるかなぁ(笑)」。そんな飯田選手のコメントに、アキラ86の全てが集約されているように思えた。
Photo:Akio HIRANO
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