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オーストラリアで行われるWTACにてデモランを予定
ステアリングを握るのはターザン山田だ!
毎年12月にアメリカ・カリフォルニア州のサンダーヒルレースウェイで開催される25時間耐久レース。そこに一昨年、5年ぶりに参戦したのがスプーンで、クラス優勝/総合10位という結果を残したFK8シビックタイプRが日本に上陸。袖ヶ浦フォレストレースウェイで国内初走行を行なった。
「今年9月、オーストラリアで開催されるWTAC(ワールドタイムアタックチャレンジ)に持ち込み、デモランを行なうのですが、その前にマシンの状態をチェックするため、今回の機会を設けました」とスプーン城本さんは言う。
タービンやスロットルの容量アップを図り、冷却性能を高めるために大容量ラジエターやオイルクーラー、試作インタークーラーを装着したK20C型エンジン。25時間という長丁場のレースを戦い抜くため、パワーよりもトルクや耐久性を重視したチューニングが施される。公称スペックは、ノーマル比10ps&8.7kgmアップの330ps&49.5kgm。
スプーンと協力関係にあるアメリカのGo-Tuning社を中心に製作されたマシンのため、ベースは左ハンドルの北米仕様。ダッシュボードに市販車の面影が残るが、各部はレーシングマシンとして作り込まれている。
ミッションは耐久性を考慮してクワイフ製6速シーケンシャルに換装。センタートンネル側面にはHONDATAフラッシュプロが確認できる。このシステムでエンジンとミッションの協調制御を行なうのは、世界初の試みだった。
室内に張り巡らされたロールケージは、NASA(ナショナルオートスポーツアソシエーション)の規定に則ったもの。3Dスキャナでスキャニングした後にデザインされ、室内に組み込まれた。
ドアミラー調整スイッチだけを残して簡略化が図られたドアトリム。サイドバーとの干渉部分を、その形状に合わせてX字にくり抜くなど作り込みが細かい。室内側のドアオープナーは手で持っているワイヤーだ。
足回りは別タンクを持つKW製レース用3ウェイダンパーを軸に、リヤアッパー/ロワ/トーコントロールアームを調整式に変更。ブレーキはParagon製2ピースローターとエンドレス製耐久レース用スペシャルパッドで強化される。
今回のテストドライバー役は現地でレースを戦い、1年半ぶりにそのステアリングを握るターザン山田。袖ヶ浦フォレストレースウェイで走った印象を早速聞いてみると、「まずエンジン。5000rpmくらいが美味しい領域で、上まで回さなくてもレーシングスピードで走れる。高回転を多用しないからエンジンに負担も掛からず、トラブルの可能性が低くなる。それと、ターボなのにパワー特性がマイルド。足回りやデフのセッティングを含めて前輪が空転しないから、タイヤに優しいんだよ。性能的に突出したところがなく、全体的なまとまりが非常に良い1台。耐久レースを熟知したスプーンらしい仕上りだよね」と評価。
WTACでもターザン山田がドライブすることになっているが、今回はあくまでもデモラン。マシンのセッティングも基本的には耐久レース仕様のままなので、タイム狙いの全開アタックとはいかないだろう。
それでも、ブルー×イエローで彩られた色鮮やかなマシンの走りに注目が集まることは確実。オーストラリアのホンダファン、チューニングファンに強烈な印象を与えるはずだ。
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スプーン
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