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ポイントは最先端フルコン“LINK”による制御!
ネガ要素のない制御系チューニング
信者レベルの熱烈的ファンがいる一方で、扱いにくさやトラブルを心配して敬遠されることもあるのがマツダのロータリーエンジン搭載スポーツモデル。
とくにエンジンチューニングを施すと始動性の悪化やアイドリング不良、ストールなど扱いにくさが表面化することも多いが、そんなチューンドロータリーの常識を覆す存在と言えるのが“パンスピード”が手掛けたこの後期型FC3Sだ。
ボンネットの下に収まるエンジンはFD3S用の13B-REWで、ポート形状はパンスピード謹製のサイドポート拡大仕様となる。そこに、HKSのGTIII-4Rタービンをセットすることで実測420psを獲得。オリジナルのVマウントシステムにはワンオフのシュラウド(導風板)も装着され、最大限の冷却効率を追求している。
新時代のチューンドロータリーを実現させた秘密が、ニュージーランド発のフルコンピュータ“LINK G4X Fury”。専用ハーネスをワンオフするのが導入へのハードルとなったが、結果ノーマル以上の、いやまるで今時のスポーツカーのような扱いやすさを手に入れることに成功したのである。
LINKはフルコンなので、純正ECUに依存することなく完全に独立で制御が可能。燃料・点火制御の基本となるのは吸気圧力センサーによるDジェトロ方式で、各種センサーからの信号に応じた補正が加わる。ブースト圧も、エンジンルームに設置されたソレノイドバルブによりLINKが制御しているのでEVCなどのコントローラーは不要。最大ブーストは走行ステージに応じてHi(1.0キロ)とLo(0.8キロ)を任意に切り替え可能となっている。
ストリートでの快適性は維持しながら、サーキット走行も楽しみたいというオーナーからの要望に合わせてエアコンやパワステ、純正スピードメーターなどはしっかり機能させているのもポイント。エアコン作動時のアイドルアップもバッチリで、ノーマルECUを残さずとも不都合は一切なしだ。
パワーパッケージだけでなく、足回りも最新ノウハウを投入してアップデート。新型車高調サスは木下みつひろ選手プロデュースによるもので、従来モデルはタイムアタックに特化していて街乗りでは少し硬い印象もあったが、今作は純正のような乗り心地とコントロール性も追求している。スプリングレートはフロント10kg/mm、リヤ8kg/mmの設定で、ストリートからサーキットまで幅広く対応する。
サスペンションのパフォーマンスを引き出すために、ブレーキパッドも合わせて開発。まずリヤから効き始めてフロントが追い越していくような特性により、ハードなブレーキングでもしっかり4輪を使えるのが特徴だ。駆動系はクラッチがATSカーボンツイン、LSDはオリジナルカーボンを組み合わせる。
「オリジナルコンディションへの拘りも良いと思いますが、純正パーツも年々手に入れにくくなって好調を維持していくのは大変です。そこで古いから…と諦めるのではなく、最新のノウハウでアップデートを図ろうというのがパンスピード流の絶版ロータリーマシンのチューニングです」と説明してくれたのは、パンスピードの佐藤メカニック。
世界に誇れるマツダのロータリーエンジン搭載スポーツモデルを長く快適に楽しみたいオーナーは、要注目と言えるだろう。
●取材協力:パンスピード 埼玉県蓮田市関山2-7-8 TEL:048-764-2040
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