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HKS GR86最速、ターボチューンの深化!
高速コーナー攻略のためにフロントのダウンフォースを強化!
HKSが筑波サーキットを舞台に2021年から続けてきたプロジェクト「HKS Racing Performer GR86サーキットチャレンジ」。
ノーマルエンジン+給排気チューンでいきなり1分1秒286の好タイムを記録し、ターボチューンでアタックした初回には59秒585をマーク。それから着実にタイムアップを積み重ね、2月のAttack筑波2024では56秒135と、55秒台目前まで迫った。そして3月20日に55秒978というタイムを記録し、自らが持つGR86/BRZのコースレコードを更新したのだ。
55秒台の原動力になったのがエアロメイクだ。最速を狙うべく開発されたHKSボディキット タイプRは、フロント片側55mm、リヤ片側65mmのワイド仕様で、そこにスワンネックGTウイングやフロントアンダーパネルなどのスペシャルエアロを追加している。
また、昨年シーズンは、アンダーステア傾向に悩まされたため、今シーズンは主にフロントのダウンフォースアップをメインにセットアップを変更。
具体的には、フロントカナードの大型化やタイヤハウス前の気流を整えるディフレクターの装着、その他、市販モデルではフェンダー内にボーテックジェネレーターが取り付けられているが、それについても取り払うなどの改良が加えられている。この写真は、2月に開催されたAttack筑波2024で撮影したもので、この時のタイムは56秒135だった。
ただ、この仕様でもドライバーの谷口信輝選手いわく、フロントのダウンフォースが足りないということで、その後にフロントアンダーパネルの大型化と、高タウンフォース化に対応できるようにスプリングレート変更なども実施し、最終的には55秒978というタイムをマークしている。
パワーユニットは昨シーズンからのキャリーオーバーで、本体ノーマルのままGTIII-RSタービンをドッキングし、最大ブースト圧1.3キロ時に500psを発揮。ターボ化に伴い、エキゾースト環境やクーリングパートはワンオフのスペシャル品を多数装着している。
一方の室内は、サーキットスペックらしくアンダーコートまで剥がしたドンガラのワンシーター仕様だ。内装パーツは撤去した上で、バッテリーも小型化。これにより、車重は純正から100kg以上絞り込まれている。
シートは、ブリッドの中でもコンペティションモデルに位置づけられるXEROシリーズの中でも、コンパクトなヘッドガードを採用した車検対応モデルXERO VSを装着している。
グローブボックスの中には、制御用のF-CON iSとデータロギング用のモーテック製カラーディスプレイロガーC125をインストール。
ミッションは、現在は生産終了になっている旧タイプのHKS製6速シーケンシャルドグを使用。クラッチはタイムアタック用のスペシャル品だ。
サスペンションは、ハイパーマックスRをベースにした特注タイムアタック仕様。スプリングレートはフロント12kg/mmのリヤ14kg/mmを基本としていたが、55秒978を記録した際には高ダウンフォース仕様に合わせてセッティングを変更したそうだ。また、アーム類などはフルピロ化され、前後ブレーキもエンドレス・レーシングモノ6TAに変更。
ホイールはアドバンレーシングGTビヨンドでサイズは前後とも11J×18+30。そこに295/35R18(アタック時)のアドバンA050(GSコンパウンド)をセットする。
シーズンごとにタイムアップを果たし、確実に進化を続けるHKS Racing Performer GR86。このタイムアタックプロジェクトは、市販パーツの開発の場にもなっているので、結果に裏付けされたタイムアタックパーツが今後HKSから登場することに期待したい。また、GR86/BRZ最速として、どこまでタイムを短縮できるのかにも注目だ。
●取材協力:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235
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