「400メートルを6.5秒で走破する世界最強R35GT-R、見参」最大ブースト5.6キロ! 最高出力2000馬力オーバー!!

2000馬力オーバーでパワーウェイトレシオは脅威の0.65kg/ps!

挙動変化に応じた緻密な制御も採用!

現在、アメリカでR35GT-Rのチューニングが最も盛んな場所といえば、テキサスをおいて他にない。その象徴たるドラッグレースイベントが年に一度開催される『TX2K』だ。

TXはテキサス、2Kは2000の意味だが、主催者であるピーター・ブラッシュはもともとJZA80スープラのマニア。最初は地元テキサスのスープラ仲間を集めてスタートしたイベントだったが、2008年からアメリカでR35のデリバリーが開始されると、ハイパワーチューンに耐え得るタフさと速さが知れ渡り、R35のエントリーが次第に増えていった。

そこにマスタングやコルベット、アウディR8といったライバルも参戦してパワーウォーズが激化。トップランカーとなると3000ps、1/4マイル6秒台がターゲットとなるが、R35はその熾烈な戦いをリードする存在となっている。

そんなテキサスのヒューストンで、90年代からJDMのハイパフォーマンスチューンを手掛け、TX2Kを始めとするドラッグイベントで華々しい成績を上げている専門店が『ザ・ショップ・ヒューストン』だ。

同店を経営する3名の共同オーナーの内、ショップの看板ドラッグマシンである通称“KIMBO(キンボ)”のビルダーとドライバーを務めるのがマック・ブロスナン。マックがこだわりを見せるのが、ノーマルブロックのままVR38の潜在能力を引き出すことだ。

R35トップランカーの多くは、軽量で冷却性にも優れるアルミビレットブロックを使用しており、排気量は4.3Lが主流。極端な例だと5.0Lを超えるケースも存在する。

ショップ・ヒューストンもオリジナルのビレットブロックを展開しているのだが、高額なビレットブロックを購入できるのは一握りのユーザーに過ぎない。マックはグラスルーツ・レーサーの一人として、ノーマルブロックで2000psでもタイムが出せると証明することに力点を置いているのだ。

マックが顧客向けに提供するエンジンメニューは、ステージ1からステージ4まで存在し、ステージ4がデモカーのキンボと同等レベルのチューニング。ストリート向けチューンとの大きな違いはビレットクランクを使った4.1L化だ。

さらに、カスタムスペックのピストン、DLCコートを施したピストンピン、300M合金製コンロッドなどの強化パーツを使い、ヘッド側にも各種加工を実施する。ステンレス製の吸排気バルブ、ブロンズ製のバルブガイド、高耐久のヘッドガスケットなど、2000psに耐えられる部品も特徴的だ。

また、キンボの場合はレースガスを使用する燃料系をツインインジェクターで構築し、オイル供給のドライサンプ化、インタークーラーの水冷化も実施。エンジンの制御は1気筒ごとの補正も可能なモーテックM150を使って精密なキャリブレーションを行なっている。

インテークマニホールドはマッド・スウェーデン製のビレットタイプで、ドライサンプに対応するビレットバルブカバーも装着。インマニは12インジェクター仕様で、タービンの風量に負けない噴射量と緻密な調整に対応している。

スロットルは電子制御式ではなく、機械式のS90ビレットスロットルボディを採用。ターボスマート製のブローオフバルブはエンジンルームに向かって右側がレースポート、左側がパワーゲート60と、レイアウトに応じて使い分けている。

ブースト・ロジックのシングルターボキットを使用し、プレシジョンのNextGen 8803タービンをマウント。フロントバンパーのファンネルからステンレスパイプを通してタービン直前にフレッシュエアを取り入れている。ブースト圧は50psi(約3.5キロ)がローブーストで、最大80psi(約5.6キロ)までかけるという。

クランク軸にはATIのスーパーダンパーを装着して、高回転時の振動を抑制。ベルトで繋がっているのはドライサンプ用のメカニカルオイルポンプだ。ドライサンプはマグナス・モータースポーツのオイルタンクと、R35をRWDに作り変える前提で専用設計されているビレットのオイルパンも使用している。

ナイトラス・アウトレット製の2ステージNOSシステムを搭載。カーボン製の軽量タンクが助手席側に装備されている。

ペンシルベニアにあるシェアラー・ファブリケーション製の水冷インタークーラーを助手席に搭載。チャージパイプ接続部の径は4インチで、ギャレット製のコアを使用している。

メンサーモータースポーツ製のコイルオーバーを使用したサスペンションチューニングは、テネシー州のミラー・レースカーズが担当。前後のショックのすぐ隣りに備わるのがハイトセンサーで、伸び縮みの量を物理的に計測。デービス・テクノロジー製のVPS(ビークル・ポジション・センサー)も備わり、車両の挙動変化をデジタルデータとして記録。ECUの制御にフィードバックすることでトラクションの最適化を図っている。

こうした創意工夫や、壊れては直す…を繰り返した地道なアップデートが功を奏し、キンボは6秒530というベストタイム(終速339.20km/h)を記録。R35のワールドレコードである6秒510にも迫るタイムで、マック曰くノーマルの鋳造ブロックとしては世界最速だ。

タービンセットアップも、大風量のツインタービンをフロントマウントするのが主流の中、不利なシングルターボにも関わらず好タイムを連発。6秒台前半に突入し、問答無用で世界最速と誰もが認める下剋上を実現することを目標に躍進を続けている。

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Photo:Akio HIRANO TEXT:Hideo KOBAYASHI
取材協力:The Shop Houston

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【関連リンク】
The Shop Houston
https://theshophouston.com/

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