「GR86トラスト仕様、本格始動!」スーパーGTドライバーが筑波サーキットで性能検証

GR86はドリフト適合度も大幅にアップしている!?

吸排気チューン仕様が筑波サーキットを走る!

2021年6月の『86 Style with BRZ』に登場したトラストのGR86チューニングコンセプトモデルが、ついに走り出した。

なお、イベント時はT620Z-RXタービンを組み込んだ試作のボルトオンターボ仕様だったが、その後、“市販パーツの開発”を目的に各部をリメイク。吸排気に手を加えたNAファインチューンスペックへと生まれ変わった。

エンジン本体は、吸気系に純正交換エアクリを導入した程度。データ取りを目的としているため、エアクリーナーボックスやラジエターホース等には温度センサーが装着されている。

新型GR86は純正で水冷式オイルクーラーを採用しているが、今回はサーキットの連続周回でも音を上げないようにプロトタイプの空冷式オイルクーラーを追加していた。

排気系は4-2-1レイアウトの高効率EXマニから、160φ砲弾サイレンサーに115φスラッシュカットチタンテールを備えたパワーエクストリーム3へと繋がるレイアウト。重厚なボクサーサウンドを響かせていたのが印象的。

一方、エクステリアを覆うエアロパーツはトラストと“ボルテックス”のダブルネーム仕様だ。高機能スタイリングをピュアに研ぎ澄ましていくシンプルデザインを掲げ、フォーマルな空間にも違和感のないアダルトスポーティを具現化している。

構成はフロントリップスポイラー、サイドスカート、リヤウイング、リヤディフューザーの4点。素材はいずれもウエットカーボンとなる。

リヤのGTウイングは製品化の際に角度調節機構が備えられる他、ボルテックスからは別タイプのモデルも設定予定とのこと。

ホイールは前後共にボルクレーシング新作のNE24(8.5J+42×18インチ)を装着。2×4レイアウトの複雑なツインスポーク仕様は、静止状態においても躍動感を放つ。履きこなしに物足りなさは一切感じない。

足回りは『パフォーマンスダンパー』を軸に構築。スプリングレートは暫定で前後8kg/mmをセット。ZN6型とは車重やトレッド幅が異なるため、減衰力やスプリングレートのセッティングは今後GR86用に煮詰めていく予定だ。デフは純正トルセンのままだ。

ブレーキは前後共にD2ジャパンのキャリパーシステムをインストール。フロントが6ポット+356mmローター、リヤが4ポット+356mmキャリパーという組み合わせだ。

室内はストリート仕様そのもの。ブリッドのフルバケでホールド性を高めた上、試作のGReddyステアリングやシフトノブでドレスアップ済み。

走行テストを担当するのは、スーパーGTシリーズで活躍する松井孝允選手。松井選手はZN6型86ターボ仕様を所有しているだけでなく、トラストのサスペンション開発ドライバーも務める人物。当然、チューニングに対する造詣は深い。

早速、新型GR86の感想を尋ねると「前モデルと比べて、より曲がるクルマになった印象です。懐の深さも広がっていますね。テールが流れるような場面では、流れ出しのスピードこそ変わらないのですが、そこからのコントロール性に余裕がある。このあたりは、ボディ剛性の高さが大きく影響しているのでしょうね。“ドライバーを育てるクルマ”として、最高レベルだと思いますよ。2.4L化の恩恵も非常に大きいですね。リカバリーやアクセルの踏み直しで、太いトルクが追従してくるから運転が楽です」とコメント。

続けて「ドリフトを好むユーザーにも新型GR86は良いと思いますよ。電動パワステの特性が改良されていて、違和感がかなり減っています。前モデルのように、スライドしてカウンターを当てた時に一瞬遅れるようなこともなく、セルフステアも効く。もちろん油圧パワステと完全イコールではありませんが、大幅に進化したポイントと言えます」。

トラストのデモカーについては「1回目のテストとしてはポジティブな結果だと思います。新型GR86の懐の深さを残したまま、さらに旋回性が高まった仕上がりになっていますね。サスペンションは86後期用の製品がベースなのですが、減衰力の調整でかなり良いフィーリングを掴めました。フロントを若干硬くする方がバランスは良かったです。ただし、リヤサスのストロークは前モデル同様に不足しているので、今後リバウンドストロークを増やす方向性で煮詰めていきたいですね」。

なお、トラストは一足先にデビューした新型BRZもすでにデモカーとして導入済みで、今後は2台体制でパーツ開発を進めていくという。

トラスト高橋さんが熱く語る。「現状、装着パーツはほぼ前モデル(ZN6型後期)用ですが、今回はあくまでデータ取りがメイン。我々としましては、流用は考えず、新型に相応しいパーツをイチから新規開発していくつもりです」。デモカーを含め、トラスト流GR86&BRZチューニングの行方に期待したい。

PHOTO:金子信敏
●問い合わせ:トラスト TEL:0479-77-3000

【関連リンク】
トラスト
https://www.trust-power.com/

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