そもそも「ながら運転」ってどんな違反?

ながら運転は、「道路交通法第71条第5号の5」で規制されている行為。同法の条文によれば、運転中にスマートフォンなどを手に持って通話したり、画面を注視したりすることは禁止。違反すると、以下のような重い罰則や反則金などが課せられる。

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バイクの移動中に、イヤホンで音楽を聴くことは違反になるのかを検証

【携帯電話使用等(交通の危険)】
罰則:1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
反則点数:6点
反則金:適用なし
*スマホなど携帯電話の使用など、または手に持って画面を注視し交通の危険を生じさせた場合

【携帯電話使用等(保持)】
罰則:6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
反則点数:3点
反則金:2輪車1万5000円、原付1万2000円(大型車2万5000円、普通車1万8000円)
*スマホなど携帯電話の使用など、または手に持って画面を注視した場合

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クルマの場合も、運転中にスマホを手に持ち、画面を注視すると「ながら運転」で違反になる

ちなみに、2026年4月1日からは自転車についても、スマホなど携帯電話を使ったり、画面を注視する行為は「ながら運転」とみなされ青切符の対象に。反則金1万2000円が科せられる予定だ。

イヤホンを使うのは安全運転義務違反?

では、バイクの運転中に、スマホと接続したイヤホンを耳に入れて音楽を聴くことは、この「ながら運転」に該当するのだろうか? 

これについては、クルマやバイクの運転者の安全義務を定めた「道路交通法第70条」が関連してくる。条文には、以下のような規定がある。

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

つまり、これは運転をするときは、ハンドルやブレーキなどを確実に操作し、「他人に危害を及ぼさない」ような「速度と走行方法をすべき」といった意味だ。バイクの場合では、たとえば、ハンドルを片手で運転する行為なども、この「安全運転義務違反」に該当する可能性がある。

だが、この条文には、イヤホンについての記述はない。そのため、必ずしもイヤホンを使って運転していたからといって、道路交通法違反になるとは限らないといえるだろう。

ただし、たとえば、イヤホンを耳に入れ、大音量で音楽を聴いていたことで、ほかのクルマや歩行者に気づかずに事故を起こした場合などは、「安全運転義務違反」とみなされる可能性もあるので注意したい。

なお、もし安全運転義務違反で取り締まりを受け捕まると、最も軽いケースでも以下の罰則を科せられる。

【安全運転義務違反の罰則】
・違反点数:2点
・反則金:2輪車7000円、原付6000円(大型車1万2000円、普通車9000円)

なお、上記はあくまで人身事故がない場合の「行政上の責任」。もし、怪我人などがいる人身事故になった場合は、事故の種別と責任の程度および負傷の程度に応じ罰則が変わる。行政上では反則点数もさらに重くなり、運転免許の停止・取り消しなどが科せられる場合もある。さらに、懲役・罰金などの「刑事上の責任」、損害賠償という「民事上の責任」も負うケースもある。

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イヤホンを耳に入れ、大音量で音楽を聴いていたことで、ほかのクルマや歩行者に気づかずに事故を起こした場合などは、「安全運転義務違反」とみなされる可能性もある

イヤホン使用は都道府県の条例違反にも注意

また、運転中のイヤホン使用については、多くの都道府県で一定の制限を設けた条例を設定している。規制の内容や罰則などは各都道府県で異なるが、たとえば、東京都の場合、「東京都道路交通細則 第2章 第8条(5)」に以下の規定がある。

「高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」

また、神奈川県でも、「神奈川県道路交通法施行細則 第3章 第11条(5)」には、以下のような規定がある。

「大音量で、又はイヤホン若しくはヘッドホンを使用して音楽等を聴く等安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自動車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと」

これら条例は、いずれも、イヤホンなどを使い、大音量で音楽などを聴くことで、「安全運転に必要な交通関連の音や声が聞こえないような状態で走行すること」を禁止したものだ。

もし、捕まった場合、たとえば、東京都(警視庁)のケースでは、「公安委員会遵守事項違反」となり、以下の反則金が科せられる(反則点数の適用なし)。

【公安委員会遵守事項違反の罰則(警視庁の場合)】
・反則金:2輪車6000円、原付5000円(大型車7000円、普通車6000円)

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都道府県によっては、走行中にイヤホンを使い、大音量で音楽を聴くことを禁止する条例もある

大音量で音楽を聞くのは危険!

以上から考察すると、都道府県の条例などにもよるが、イヤホンを使ってバイクを運転すること自体は即違反とはならないが、大音量で音楽などを聴いていると捕まるケースもあるといえる。

ただし、イヤホンは耳を塞いでしまうため、たとえ音量を大きくしなくても、周囲の音が聞き取りずらくなるのは確かだ。また、ついつい音楽に夢中になることで、注意力が散漫になる場合も考えられる。

とくに、バイクの場合は、ヘルメットを被るうえに、エンジン音や風切り音などもあるため、さらに交通に関する音などが聞こえにくくなる。運転中に音楽を聴きたい場合は、細心の注意を払うべきだろう。

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イヤホンをしてバイクに乗る場合は、エンジン音や風切り音などもあるため、周囲の音が聞きにくくなることが考えられる

音楽を聴くなら周囲の音も聞こえるアイテムを!

そして、どうしても、バイクの運転中にスマホの音楽などを聴きたい場合は、たとえば、骨伝導タイプのイヤホンを使う手もあるだろう。耳を塞がないため、一般的なイヤホンよりも、周囲の音は聞こえやすくなるはずだ。ただし、製品の形状などによっては、ヘルメット内にセットするのが難しいケースもある。

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骨伝導イヤホンの例

ほかにも、ブルーツゥースなどでスマホと接続できるバイク用のインカムを使う手もある。特に、本体ユニットをヘルメットの外側に装着するタイプであれば、耳を塞がないし、ヘルメットを被るときも楽だ。

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ヘルメットの外側に装着できるバイク用インカム(写真はサイン・ハウスの B+COM TALK)
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スマホとブルートゥースで接続できるバイク用インカムの例(写真はサイン・ハウスの B+COM TALK)

もちろん、こうした製品を使う場合でも、大音量はNG。法律で違反となるか否かの前に、あくまで私見だが、かなり危険な走行だと思う。2輪で走るバイクは、不安定になりやすい乗りモノだからだ。

バイクで安全でスムーズに走るには、手足や体などを上手く使うことはもちろん、目や耳から入ってくる情報により、できるだけ早く障害物などを察知し、まさかの時には、可能な限り早期の危険回避などを行うことも重要だ。その意味で、音楽を大音量で聴くことは、周囲からの情報を自ら減らしている行為といえる。

ともあれ、バイクの走行中に音楽を聴く際は、くれぐれも安全第一で、「適度な音量」を心掛けて頂きたい。