約67年続くホンダ伝統のブランド
新型CB400SFは、2022年に惜しまれつつも生産終了となった同名ネイキッドの後継機種で、1959年から続くCBシリーズの最新版だ。

先代モデルは、普通二輪免許を取得する際の教習車としても活躍したから、幅広いライダーにとって馴染み深いバイクだったのではないだろうか。
そんなCB400SFだが、そもそもホンダが最初にCBのネーミングを使ったのは、1959年に登場した125ccモデル「ベンリィCB92スーパースポーツ」だったから、その歴史は約67年間の長きに及ぶといえる。

CBの名を最初に世界へ轟かせたのは、1969年発売の「ドリームCB750フォア」。今に続くホンダ伝統の並列4気筒エンジンをはじめて搭載したモデルだ。

当時の量産車でトップとなる最高出力67PSを発揮し、最高速度は200km/hを達成。まさに高性能な日本車の代表格として大ヒットを記録し、一躍ホンダやCBの名前を世に知らしめた名車中の名車といえる。
レースの技術を市販車へフィードバック
その後、カワサキの「900スーパー4(通称Z1)」など、他メーカーも高性能な4気筒モデルを続々とリリース。ドリームCB750フォアの性能的なアドバンテージは少なくなる。

そこでホンダは、自慢の4気筒エンジンをアップデート。やはり当時画期的だった「DOHC・4バルブ」機構を投入して、燃焼効率や出力などをアップした。1976年には、そのエンジンを搭載したレーシングマシン「RCB1000」で欧州の耐久レースに参戦。年間チャンピオンを獲得し、一躍注目を集める。
そして、これらレース活動で培った技術やノウハウを盛り込んだ市販車が、1978年に欧州などで発売した輸出仕様車「CB900F」だ。翌1979年には、当時の日本で最大排気量となる750cc版の「CB750F」も国内販売を開始。いずれも欧州の耐久レーシングマシンと同じDOHCエンジンを搭載し、「高性能な大排気量モデル」としてのCBを復権させたモデルたちだ。


とくに、CB900Fは、ホンダワークス所属の元WGPライダー、フレディ・スペンサー氏が1982年に北米の最高峰レース「AMAスーパーバイク」に参戦したマシンのベース車両として有名だ。シルバーにブルーのラインが入ったカラーリングを施したレース仕様車が人気となり、1990年代にそれを模したカスタムが大流行したほどだった。
また、国内版のCB750Fは、1980年代に大ヒットしたバイクマンガ「バリバリ伝説」で、主人公・巨摩 郡の愛車として登場。マンガ内では、赤いCB750Fを駆る主人公が大活躍したことで、こちらも大人気のモデルとなった。
そして、これら名車をオマージュしたのが、現行の「CB1000F/SE」。そのスタイルやシルバー×ブルーのカラーリングなどは、当時を知る筆者のようなベテランライダーにとって、まさに「憧れのバイクの復刻版」といえる仕上がりといえるだろう。

1974年登場の400cc版は初の集合マフラー搭載
一方、CB400SFの元祖的モデルといえるのが、1974年発売の「ドリームCB400フォア」だ。

前述のドリームCB750フォアの400cc版となるモデルで、高性能な4気筒エンジンを採用。市販車初となる4in1の集合マフラーなどによるスタイリッシュなフォルムも相まって、若い世代を中心に高い支持を獲得した。
一方、今回新型が登場したCB400SFの初代モデルは1992年に発売された。同年発売の1000cc・大型ネイキッドモデル「CB1000スーパーフォア(以下、CB1000SF)」の400cc版といえるモデルで、1000cc版が持つ迫力のフォルムを継承。最高出力53PSというハイパワーに加え、高回転まで心地よくまわる400cc・水冷4気筒エンジンなどが人気となり、ホンダを代表するロングセラーモデルに成長。排ガス規制の影響で、前述の通り2022年に一旦生産終了となったが、今回見事に復活を果たすことになった。


新型では、6速ミッションと「ホンダE-クラッチ」をマッチング。MT(マニュアル・トランスミッション)車ながら、スタートから加速、停止まで、クラッチレバーを一切使わずに走行できるほか、クラッチレバーを使った走りも選択可能。初心者からベテランまで、幅広いライダーがスポーティで、自在に操る感覚を楽しめる仕様となっている。
また、先代モデルとCB1000SFの関係性と同様、兄貴分となるCB1000Fとリレーションを図ったスタイルも注目。丸目一灯のLEDヘッドライトや角張った形状の燃料タンク、美しいカーブを描く4in1のエキゾーストパイプなどが、レトロかつスパルタンな雰囲気を醸し出している。


CBRシリーズはさらなるスポーツ性能を追求
なお、新型CB400SFには、同系エンジンや車体を持つ兄弟車「CBR400RフォアE-クラッチ」もあり、2026年9月18日に発売予定だ。

こちらは、1980年代から続く「CBR」シリーズに属する最新作。1990年発売の「CBR400RR」以来、約36年ぶりとなる400cc・4気筒のフルカウルモデルとなる。

CBRシリーズは、歴史あるCBシリーズから派生したもので、さらなるスポーツ性能を求めるライダー向けに、レーシングマシンの性能をよりダイレクトに反映していることが特徴だ。元祖は、1983年に登場した「CBR400F」だが、このマシンはまだカウルレス。1986年登場の「CBR250フォア」からフルカウルとなり、現在は、1000ccの「CBR1000RR-Rファイヤーブレード」から250ccの「CBR250RR」まで、さまざまな排気量のフルカウルスポーツを揃えている。



一方、現在のCBシリーズは、カウルレスのネイキッドモデルとして継続。CBRがサーキット走行なども含め、スポーツ性を突き詰めるモデル群なのに対し、CBは、より幅広いライダー向けに街乗りから高速道路、ワインディングなど広範囲で走りを楽しむためのオンロードモデルという位置付けとなっている。
「CB」の名前にはどんな由来がある?
ちなみに、「CB」というネーミングの由来には諸説ある。Cは「MOTOR CYCLE」、Bは「for CLUB MAN RACER」から採ったという説や、単に「CluB Man Race」から名付けられたという説などが知られている。
その正確な由来がどれであれ、半世紀以上にわたるCBの歴史が証明してきたのは、単に速さを追求するだけではなく、誰もがスポーツライディングの歓びや、バイクを所有する誇りを感じられる存在であり続けてきたことだろう。
街乗りからワインディング、そして時にはサーキットまで。時代の変化に合わせて進化し、E-クラッチなどの最新技術も取り入れながら、CBはその時代ごとのライダーに走る楽しさを提供してきた。
そして今回の新型CB400SFの復活は、そんな輝かしいCBの系譜に新たな1ページを刻む出来事といえる。これからもCBは、世代を超えてライダーに「バイクを操る楽しさ」を伝え続けていくに違いない。

