FLYING SPUR(2nd)
先代比135mm前進したフロントアクスル

3代目となる「コンチネンタルGT」から2年後の2019年、ベントレー創業100周年という記念すべきタイミングで登場した4ドアサルーンが2代目(コンチネンタル・フライングスパーから数えると3代目)となる「フライングスパー」だ。
歴代同様ベースとなったのはコンチネンタルGTで、先代に比べてフロントアクスルが135mm前進したフロントエンジン&RWD/AWD用のMSBプラットフォームを採用。その結果、ボディサイズは全長5316mm、全幅1978mm、全高1484mm、ホイールベース3194mmと先代より若干大きくなった。
一方で向上したスーパーフォーミング技術でより表現力が高まったアルミ製ボディパネル、38kg軽量化されたモノコックボディシェルなど各部の軽量化の努力により、車重は4ドアながらGTより23kg重いだけの2437kgに抑えられている。
フラッグシップサルーンの重責も

クリスタルカット・デザインのマトリックスLEDヘッドランプを持つフロントマスク、フロントのパワーライン、リヤのホーンチ、そしてテールへと流れるクーペのようなルーフラインからなるエクステリアは、ステファン・ジーラフ率いるデザイン・チームによるもの。その威風堂々たるデザインは、フライングスパーが従来のラグジュアリードライバーズサルーンでありながら、2020年に生産を終了することが決まっていた「ミュルザンヌ」の後継として、フラッグシップサルーンの重責を担うことも同時に意味していた。
エンジンはGTと同じ最高出力635PS、最大トルク900Nmを発生する6.0リッターW12DOHCツインターボTSIを搭載。これはデュアルマスフライホイールの採用などで15%の効率改善を果たしたうえ、アクティブエンジンマウントを採用して振動、ノイズの低減を図った新世代のもので、ギヤボックスもZF製8速DCTが組み合わされた。
あわせてAWDシステムも前後駆動配分0対100のFRをデフォルトとし、路面環境や後輪のスリップ度合いに応じてフロントにも自動的にトルクを配分(コンフォートモードで最大480Nm、スポーツモードで最大280Nmの駆動トルクがフロントに分配)するアクティブAWDを採用。そこに各車軸のトルクを個々の車輪に配分するブレーキトルクベクタリングも組み合わせることで、あらゆる状況で驚異的なグリップと鋭いフロントレスポンスを実現している。
ベントレーダイナミックライドシステムを装備

そんなフライングスパーのトピックのひとつが、ベントレーとして初めての採用となる4WS「エレクトリックオールホイールステアリング」だ。これは前輪と同相では最大1.5度、逆相では最大4.1度、リヤアクスルがステアすることによっては高速走行時の安定性と市街地での機動性を両立したもので、最小回転半径も約5.5mとD~Eセグメント並みに収まっている。
その他の足まわりは基本的にコンチネンタルGTと同じで、フロントダブルウイッシュボーン、リヤマルチリンクのサスペンションには、前世代比60%増の空気容量を確保した3チャンバーエアスプリングを装備。加えて48Vシステムで電子アクチュエーターユニットを制御し、アンチロールバーの剛性を最適化するベントレーダイナミックライドシステムも装着されており、スポーツサルーンに相応しいハンドリングと、フラッグシップサルーンに相応しい乗り心地を高次元で両立するに至った。
またコクピット自体の意匠はGTと同じだが、左右に広がるウイングデザインがリヤシートまで広がったうえ、EXP10 スピード6で披露された3Dレザー、3Dウッドトリムがオプションで用意されたのも特徴であった。
W12エンジン生産終了を受けて進む電動化

その後、2020年から550PSの4.0リッターV8ツインターボを搭載する「フライングスパーV8」の生産がスタート。さらに2021年には2.9リッターV6 DOHCツインターボと電気モーターを組み合わせでシステム最高出力544PS、最大トルク750Nmを発生。8速トルコンATを介して0-100km/h加速4.3秒、最高速度285km/hとV8にも見劣りしないパフォーマンスを発揮する「フライングスパー・ハイブリッド」が登場する。
そして2023年モデルからは、スタンダードのフライングスパーはV8のみへと移行し、635PSのW12搭載車は「フライングスパー・スピード」と改称。また同スペックながらダブルダイヤモンドフロントグリル、専用デザインの22インチホイール、豪華な専用インテリアを備えた「マリナー」も新たに加わったが、W12エンジンの生産が2024年4月に終了すると、フライングスパー・シリーズも2025年モデルからパワートレインをハイブリッドに統一した第4世代へ進化することとなった。

