連載

【歴史を飾ったライバル対決】

初代、2代目ともカローラに敵わなかったサニー

3代目「サニーvs.カローラ」

1960年代、日本は前例のない高度経済成長を迎え、クルマの数が増えてモータリゼーションに火が付いた。この状況でまず市場が求めたのは、安価で家族が楽しめる1.0Lクラスのファミリーカーだった。

これに応えるため、日産は1966年4月に小型大衆車の初代「ダットサン・サニー1000(B10型)」を、トヨタは半年後の同年11月に初代「カローラ1100(KE10型)」を投入した。カローラは、排気量が100cc大きい“プラス100ccの余裕”を謳って、性能や装備など総合的に優り、販売台数でサニーを圧倒した。

高剛性軽量の日産「サニー1000」 vs.100ccの余裕のトヨタ 「カローラ1100」、モータリゼーションの起爆剤となった大ヒット小型大衆車【歴史を飾ったライバル対決002】

高剛性軽量の日産「サニー1000」 vs.100ccの余裕のトヨタ 「カローラ1100」、モータリゼーションの起爆剤となった大ヒット小型大衆車【歴史を飾ったライバル対決002】

自動車の長い歴史の中で、ライバル車の存在が技術革新を加速させ、競争が技術の飛躍的な進化を実現してきた。本稿では、そんなライバル車を取り上げて紹介する。 第2回は、大衆車という言葉を普及させ、大衆車元年と呼ばれた1966(昭和41)年に誕生した日産自動車「サニー1000」 vs トヨタ「カローラ1100」である。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・サニーVS.カローラのすべて、トヨタ 歴代カローラのすべて

ここからSC戦争と呼ばれたサニーとカローラの熾烈な販売競争が始まった。初代対決の雪辱を図りたいサニーは、わずか3年あまりで初のモデルチェンジを行ない、舞台は第2ラウンド対決を迎えた。

まずサニーが1970年1月に2代目(B110型)に移行。そのキャッチコピーは、“隣りのクルマが小さく見えます”、まさに初代カローラの“プラス100ccの余裕”のお返しだった。同時にボディも大きくして、大型化・上質化を図り、その後も高性能化を進めて対決姿勢を強めた。

一方の「カローラ」は、サニーから4ヶ月遅れの1970年5月に2代目(KE20型)へモデルチェンジした。サニー同様、ホイールベースを50mm伸ばしてボディを拡大し、室内スペースを広げてファミリーカーとしての快適性を追求、さらに排気量を拡大して高性能化も進めた。さらに、高性能モデルの極めつけとして1972年3月にスポーツモデルの初代「カローラレビン/スプリンタートレノ(TE37型)」を追加して、若者層の熱い支持を集めた。

SC対決の第2ラウンドは、ファミリーカーの枠を超えて性能競争となったが、初代対決同様に後発のカローラが常にサニーを凌駕し、サニーの雪辱はならなかった。

排気量アップ勝負のSC対決第2ラウンド!初代の巻き返しを図った2代目「サニー」 vs. レビンも登場した2代目「カローラ」【歴史を飾ったライバル対決010】

排気量アップ勝負のSC対決第2ラウンド!初代の巻き返しを図った2代目「サニー」 vs. レビンも登場した2代目「カローラ」【歴史を飾ったライバル対決010】

自動車の長い歴史の中で、ライバル車の存在が技術革新を加速させ、競争が技術の飛躍的な進化を実現してきた。本稿では、そんなライバル車を取り上げて紹介する。 初代のSC(「サニー1000」 vs. 「カローラ1100」)対決は、排気量が100cc大きいカローラが制して小型大衆車トップの座を射止めた。挽回を図りたい2代目サニーは、排気量を1.2Lおよび1.4Lにアップして対応、対するカローラも同様に排気量アップとバリエーション展開で迎え撃ち、SC対決は第2ラウンドを迎えることになった。 第10回は、1970年1月にデビューした2代目「サニー」 vs. 同年5月にデビューした2代目「カローラ」の小型大衆車による第2ラウンド対決である。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・カローラvs.サニーのすべて、国産名車のすべて、歴代カローラのすべて

そして、SC対決の舞台は第3ラウンドを迎えた。

大きく優美なスタイリングに変貌した3代目サニー

3代目「ダットサン サニーエクセレント 1400GL」

1973年5月、「サニー」は2度目のモデルチェンジで3代目に移行した。基本的なメカニズムは先代を継承したものの、北米市場を意識してボディサイズがひと回り大きくなり、スタイリングが一新された。

3代目「サニー」の上級バージョン、エクセレント

ボディタイプは、2ドア/4ドアセダンと3ドアクーペ、また2ドア/4ドアバンをラインナップ。スタイリングは、直線基調の先代から曲線基調のダイナミックなフォルムになり、またキャラクターラインが多用され華美な雰囲気となった。

3代目「サニー」のコクピット

パワートレーンは、先代から受け継いだ最高出力68ps/最大トルク9.7kgmを発揮する1.2L 直4 OHV、80ps/9.8kgmの同ツインキャブ仕様エンジンと、最高出力85ps/最大トルク11.8kgmの1.4L 直4 SOHC、95ps/12.4kgmの同ツインキャブ仕様エンジンの4機種と、4速MTおよび3速ATの組み合わせ、駆動方式はFRが踏襲された。なお1.4Lエンジン搭載モデルは、上級版「サニー・エクセレント」として棲み分けられた。

3代目「サニー」搭載の1.2Lエンジン

車両価格は49.0万~65.0万円(1.2L標準仕様)/62.0万~69.5万円(1.4Lエクセレント)に設定。当時の大卒初任給は、6.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約173万~230万円/219万~246万円に相当する。

3代目「サニー」のバン

ダイナミックなスタイリングとなって若々しいイメージが強調されたクーペは高い人気を得たが、保守的な層が多いセダンについてはスタイリングが斬新過ぎると映ったためか、販売は伸び悩んだ。

多様性に応えて豊富なバリエーションの3代目カローラ

3代目「カローラ」ファミリー!

3代目「サニー」の登場から約1年後の1974年4月に、カローラは3代目「カローラ(E30系)」に移行。3代目カローラも、さらにボディを大きくして上級車並みの快適性と安全性を追求した“大衆車の決定版”というキャッチコピーで登場した。

3代目「カローラ」のメカニズム

3代目カローラの特徴は、そのバリエーションの豊かさだった。ボディバリエーションは、発売当初の2/4ドアセダン、ハードトップ、バン、遅れて3ドアリフトバックと2ドアファストバッククーペも追加。エンジンとトランスミッションも多彩で、さらにはフロントグリルやテールランプ形状、ステアリング、シート地、インパネの仕様までもグレードによって変更された。

3代目「カローラ」のボディバリエーション

パワートレーンは、最高出力71ps/最大トルク9.7kgmの1.2L、86ps/12.0kgmの1.4L、100ps/13.7kgmの1.6L 直4 OHVエンジン、さらにそれぞれに最高出力を5ps程度向上させるツインキャブ仕様も設定。トランスミッションも、4速/5速MTおよび2速/3速ATの組み合わせと多彩だった。なお「カローラレビン」には、最高出力115ps/最大トルク14.5kgmおよび110ps/14.0kgmの1.6L 直4 DOHCエンジンが用意された。

1974年に登場した3代目「カローラ(ハードトップ)」のトップグレード1600GSL

車両価格は58.1万~88.2万円に設定。当時の大卒初任給は7.4万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約181万~274万円に相当する。

3代目「カローラ」のベースモデルに搭載された1.2L 3K-Hエンジン
3代目「カローラ」のコクピット

3代目カローラは、ユーザーの多様性に応えて豊富なバリエーションを用意して大ヒット、3代目によるSC対決もカローラが圧倒する結果となったのだ。

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高性能化と上級化で競った3代目サニーと3代目カローラだったが、両車の差を決定的にしたのは、バリエーションの豊富さだった。クルマが身近のものとなって家族で楽しむだけでなく、個性やステイタスを表現する手段となり、そんな多様性に応えることがポイントだったのだ。

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