CLK 320 AMG/ CLK 55 AMG
楕円4灯のファストバッククーペ

W202型「Cクラス」をベースとした「C36/43シリーズ」、W210型「Eクラス」をベースとした「E36/60シリーズ」で成功を収めたAMGは、そのラインナップを拡充していく。そんな彼らが、CLKの登場と共に用意したのが「CLK 320 AMG」である。そもそもCLKのルーツといえるのが、1993年のジュネーブ・ショーでお披露目された5.0リッターV8エンジンを積んだ「クーペコンセプト」だった。後のW210型「Eクラス」の登場を予期させる楕円4灯ヘッドライトをもつファストバッククーペは大いに注目を集め、1997年にCLKとして結実することになる。
そのスタイルはW210型Eクラスのクーペ版というもので、実際に多くの共通部品が使用されていたが、2690mmという短いホイールベースをもつプラットフォーム自体はEクラスではなく、W202型Cクラスをベースとしているのが特徴であった。当初のラインナップは2.0リッター直4の「CLK 200」、2.0リッター直4スーパーチャージャーの「CLK 200 コンプレッサー」、2.3リッター直4スーパーチャージャーの「CLK 230 コンプレッサー」、3.2リッターV6の「CLK 320」の4車類。デビューと同時にAMGは「CLK 320」をベースにエアロパーツや専用ホイールを装着した「AMG CLK 320」を用意するが、基本的にはコスメチューンに過ぎず、エンジンはスタンダードと同じものが搭載されていた。
ここで特筆すべきは、メルセデスとAMGがCLKのイメージ向上を狙い、1997〜98年シーズンのF1セーフティカーとして、市販車にはない5.4リッターV8を搭載したモデルを「CLK 55 AMG」として投入したことだ。
F1セーフティカーでの経験をもとに

それを受け、満を持して1999年に発売されたのが「AMG CLK 55」である。そのボディワークこそ前後のバンパースポイラーとサイドスポイラーのみと控えめだが、フロントノーズには1998年にデビューした「CLK 430」に搭載された4.3リッターV8 SOHC 24バルブM113型ユニットをベースにボア×ストロークを97mm×92mmとすることで排気量を5439ccへと拡大したM113.984型ユニットを搭載。その中身も他のM113型とは別物で鍛造スチール製クランクシャフト、鍛造重量マッチングされたコンロッドとピストン、軽量の専用カムシャフト、圧縮比を10.5:1に高めたツインスパークヘッドなどをすべて丁寧に手作業で組みつけたものであった。
またデュアルレゾナンス吸気マニホールドを採用することでパワーとトルクを最適化し、最高出力347PS、最大トルク510Nmを発生。強化された電子制御5速AT、強化デフ、強化ドライブシャフトを介し、0-100km/h加速5.4秒という俊足を誇ったのである。
加えてシャシーはF1セーフティカーでの経験をもとに、高レートのスプリング、大径のアンチロールバー、硬いサスペンションブッシュを装着。ABS付きのブレーキもCLKより厚いディスクを採用しているほか、リヤもベンチレーテッド式ディスクへと変更。またフロントが7.5J、リヤが8.5Jの17インチAMGモノブロックアロイホイールにはミシュラン・パイロットスポーツが標準で装着され、ハイパフォーマンスクーペに相応しいハンドリングを手に入れていた。
DTMへの参戦も

当初はクーペのみだったが、程なくカブリオレもラインナップ。また2000年からはDTMにCLKをベースとした「CLK DTM 2000」を投入。いきなりドライバーズとマニュファクチャラーズのチャンピオンを獲得するなど活躍したこともあり、2002年までにクーぺが3381台、カブリオレが1432台生産されるヒット作となった。

