パワーのカローラレビン、軽さのサニー1200GX-5
1966年に始まった日産「サニー(B10)」とトヨタ「カローラ(KE10)」の初代対決は、内外装の見栄えに優れ、総合的に評価が高かったカローラがサニーを圧倒した。2代目は、互いに排気量を拡大してバリエーション展開を図った。その目玉となったのが、走り好きの若者をターゲットにしたスポーツグレードだった。
2代目サニー(B110)が、1967年4月にセダン系にスポーツグレードを追加すれば、2代目カローラ(KE20)も1968年3月にSL(スポーツ&ラグジュアリー)グレードを設定。さらに日産は、日本初の“本格的なファストバック”を謳った「サニー・クーペ」を投入すると、その僅か2ヶ月後にはトヨタは、“スイフトバッック”と称したファストバックスタイルの「カローラ・スプリンター」で追走した。
そしてスポーツクーペの極め付けが、サーキットでも活躍できることを想定して開発されたホットモデルの、1972年3月に発売されたトヨタ「カローラレビン(TE27)」と、1972年8月に設定された日産「サニー1200GX-5(B110)」だった。
高性能を競い、レースでも活躍した2つのモデルだったが、決定的な違いはパワーのレビンに対して、サニー1200GX-5は軽量ボディで勝負したことだった。
カローラのホットモデルとして登場したレビン(TE27)
1966年11月に誕生して大ヒットした初代「カローラ(KE10)」に続いて、1970年5月には2代目カローラ(KE20)が登場。2代目は、豊富なバリエーションによってファミリーカーとして確固たる地位を築いた。

その2年後の1972年3月に、「カローラクーペ/スプリンタークーペ」よりもさらに高性能なホットモデルとして初代「カローラレビン/スプリンタートレノ(TE27)」がデビューした。レビンとトレノの違いはフロントグリルや内外装アクセサリーやエンブレムが異なるが、基本的には同一車種の兄弟車である。

レビンは、基本構造は2代目カローラと同じだが、オーバーフェンダーや専用グリル&ガーニッシュ、専用エンブレム、ワイドな専用ホイール&タイヤなどでスポーツモデルらしい精悍さが強調された。

エンジンは、国産車初のスペシャリティカー「セリカ」のためにヤハマ発動機と共同開発した最高出力115ps/最大トルク14.5kgmを発揮する1.6L 直4 DOHC(2T-G)に2連装ソレックスキャブレターを装着。トランスミッションも「セリカ1600GT」から移植した5速MTを搭載、駆動方式はFRである。

セリカより約100kg軽いカローラクーペボディに1.6L DOHCエンジンを搭載しているレビン/トレノは、モータースポーツでその力を見せつけた。国内ラリーでは無敵であり、1974年英国RACラリーでは総合4位に入賞。翌1975年には、フィンランド1000湖ラリーで総合優勝を飾った。

車両価格については確かな情報が得られなかったが、参考として1974年4月発売の1.6L DOHCエンジン搭載 「スプリンタートレノ(TE47)」は、102.9万円に設定されていた。
ポルシェタイプシンクロの5速MTを搭載したサニー1200GX-5(B110)
1970年1月、「サニー」は初のモデルチェンジで2代目(B110)に移行。そのキャッチコピーは、“隣りのクルマが小さく見えます”、まさに初代カローラの“プラス100ccの余裕”のお返しだった。

2代目サニーは、初代より大きく直線基調の豪華なイメージに変身し、クラス最大級の室内スペースを誇った。また、空調にはヒーターファンを利用したクラス初のオートベンチレーションシステム、インパネには前面衝撃吸収のパッドが装備されるなど上級化も図られた。
パワートレーンは、新設計の最高出力68ps/最大トルク9.7kgmを発揮する1.2L 直4 OHVと4速MTおよび3速ATの組み合わせ。同年4月には、スポーティさをアピールする、チューンナップした最高出力83ps/最大トルク10.0kgmの高性能エンジンを搭載したスポーティグレード「1200GX」が追加され、軽くて良く走る1200GXは走り好きから支持され、人気モデルとなった。


1200GXは、1972年8月にはさらに進化して、5速トランスミッションを組み込んだ「1200GX-5」のクーペ/セダンが市場に放たれた。5速MTは、スカイライン2000GT-RやフェアレディZなどに搭載されているサーボシンクロ(ポルシェタイプシンクロ)を使った素早い変速が可能なクロスレシオの新型ミッションだった。

車両価格は、67万円(クーペ)/65万円(セダン)に設定された。当時の大卒初任給は6.6万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約233万円/226万円に相当する。
パワーでは、カローラレビンに大きく劣った1200GX-5だったが、強みはその車体の軽さだった。レビンの約850kgに対して、1200GX-5は約750kgと100kg程度軽量だった。まっすぐ走るだけだったらレビンには到底敵わなかったが、軽快な走りとクイックな操安性などでは1200GX-5は決して劣ることはなかった。
サニー1200GX-5は、扱いやすい5速MTと軽量ボディで走りの性能を高め、市販車ベースで行われるツーリンカーレースでその実力を遺憾なく発揮。サニーは、1973年5月にやや重くなった3代目(B210)にモデルチェンジしたが、2代目の1200GX-5は1982年まで長くサーキットで活躍したのだ。

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クルマが速いかどうかは、パワーだけでなく、車両重量、空力、操安性能、タイヤ性能などで総合的に決まる。レビンはパワーで勝ち、サニーGX‑5は軽さで勝負する。クルマの特性の違いがあるからこそ、走る舞台によって勝負の結果は変わるのだ。


