米国で成功を収めたフェアレディZとセリカ

本格的なスポーツGTカーとして1967年5月にデビューした「トヨタ2000GT」は、当時の最新技術が惜しみなく投入され、日本車として初めてその技術が世界的に注目を集めた。ただし、トヨタにとってはイメージリーダーカーであり、わずか3年の販売でハンドメイドの部分が多いため台数は337台と少なく、しかも現在の価値で約2000万円という高額で、量産モデルというよりも希少なスーパーカー的な存在だった。
一方日産は、1969年10月に「フェアレディZ(S30型)」をデビューさせた。それまでのマニアのためのオープンスポーツ「ダットサン・フェアレディ2000」から、クローズドボディで居住性を高め、誰でも運転を楽しめるGTカーの要素を取り入れたスポーツGTへと変貌した。

フェアレディZは、スポーツカーらしいロングノーズ&ショートデッキの美しいフォルムで、“ポルシェの半値で同等の性能”と評され、北米で爆発的なヒットを記録した。

その約1年後の1970年12月にデビューしたのが、日本初のスペシャリティカーのトヨタ「セリカ」である。セリカもすぐに北米への輸出を開始し、米国におけるトヨタのブランドイメージを変える立役者となった。米国では、1970年代にスペシャリティカーの第二次ブームが訪れており、フォードの2代目「マスタング」やシボレー「カマロ」が高い人気を獲得していた。
そのような米国市場で、セリカは美しいスタイリングと運転のしやすさを両立させたコンパクトなスペシャリティカーとして大ヒットした。“壊れなくて頑丈だが、面白みに欠ける”というそれまでのトヨタのイメージを払拭するという重要な役目を果たしたのだ。
北米をターゲットに開発されたフェアレディZ

1969年10月にデビューした「フェアレディZ」は、マニアのためのスポーツカーでなく、誰でも運転を楽しむことができるGTカー的な要素を取り入れたスポーツカーだった。米国をメインとした海外市場をターゲットにして、スポーツカーらしいロングノーズ&ショートデッキの美しいフォルム。インテリアについても、コクピットの眼前に2つ、センターコンソールに3つのメーターを配置するという凝りようで、多くのファンを魅了した。

ボディサイズは、全長4115mm×全幅1630mm×全高1290mmで、「ポルシェ911」とほぼ同等で、当初は2人乗りのみ。車両重量は、軽量モノコックボディの採用によって975kg~1040kgと軽量で、サスペンションは4輪ストラットの独立懸架だった。

国内向けのグレードは、標準グレード「Z」と上級グレード「Z-L」、そしてトップグレード「Z432」の3種を設定。ZおよびZ-Lのパワートレーンは、最高出力130s/最大トルク17.0kgmを発揮するSUツインキャブの2.0L 直6 SOHC(L20型)エンジンと、4速MT(Z)および5速MT(Z-L)の組み合わせ。トップグレードZ432は、「スカイライン(ハコスカ)GT-R」に搭載された3連装ウェーバー製キャブレターを装着した160ps/18.0kgmの2.0L 直6 DOHC(S20型)と5速MTの組み合わせだった。
車両価格は、Zが84万円(Z)、Z-Lが105万円(Z-L)、Z432が185万円(Z432)。ちなみに当時の大卒初任給は3.4万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約568万円/710万円/1251万円に相当する。

同年末には北米に車名「ダットサン240Z」で輸出され、搭載されたエンジンは150ps/21.0kgmの2.4L 直6 SOHC(L24型)SUツインキャブ仕様だった。欧州のスポーツカーにも引けを取らない走りと流麗なフォルムを纏ったフェアレディZは、お買い得感を持って歓迎され、日本のみならず米国でも大ヒットしたのだ。
斬新なスタイリングが輝く日本初のスペシャリティカーのセリカ

「フェアレディZ」デビューの翌1970年12月に、トヨタは「セリカ」を発売した。トヨタは、“従来のいずれの区分にも該当しない、パーソナルユースを狙った全く新しい種類の乗用車、わが国初の本格的なスペシャリティカー“と謳った。
キャッチコピー“未来の国からやってきた”を具現化するように、ジェット機のイメージをクルマに導入。ボディと一体化した前後バンパー、ロングノーズに豊かなボディの張り、全体をジェット機の翼に採用されている層流翼を意識した断面形状をベースにしたピラーレス・ハードトップのスタイルは、これまでの日本車にはない新鮮さに溢れていた。


パワートレーンは、最高出力86ps/最大トルク11.7kgmを発揮する1.4L 直4 OHV、100ps/13.7kgmの1.6L 直4 OHV、105ps/14.0kgmの同1.6Lツインキャブ仕様、115ps/14.5kgmの1.6Lツインキャブ仕様DOHCの4種エンジンと、4速/5速MTおよび3速ATの組み合わせ。
基本グレードは、下から「ET」、「LT」、「ST」、「GT」の4種類。なかでも、1.6Lツインキャブ仕様のDOHC+5速MTを搭載した最強モデル「1600GT」は、最高速190km/hという圧倒的な速さを誇り、多くの若者から支持された。

またクルマの魅力をさらに加速させたのが、日本車として初めて採用された“フルチョイスシステム”である。これは、エンジンやトランスミッション、ドアハンドルからシフトノブといった用品まで、ユーザーが自由に選ぶことができるのだ。ちなみに、フルチョイスシステムは1964年に登場したフォード「マスタング」が初めて採用した。
車両価格は、57.2万~87.5万円(1600GT)。現在の価値では、約356万~544万円(1600GT)に相当する。
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「フェアレディZ」と「セリカ」は、若者から人気を集めたスポーツモデルではあるが、性格も車格も違うことから、直接的なライバル関係ではないかもしれない。しかし、「トヨタ2000GT」とは異なり、量産モデルとして海外、特に本場の米国で認められ、日産とトヨタのブランドイメージを高めたという意味でライバルとして取り上げてみた。





