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今日は何の日?■ホンダが新型FCEV「クラリティ・フューエルセル」のリース販売開始

2016(平成28)年3月10日、ホンダは新型FCEV「クラリティ・フューエルセル」の自治体、企業向けのリース販売を始めた。ホンダのFCEVリース販売としては「FCX(2002年12月~)」、「FCXクラリティ(2008年11月~)」に続く第3弾になる。
ホンダFCX誕生から、FCクラリティへ進化

ホンダは、1990年代からFCEVの開発を本格的に始め、1999年には「ホンダFCX」のベースとなる「FCX-V1」と「FCX-V2」を開発し、米国と日本で公道試験を始めた。そして、2002年にホンダFCXが初めて米国政府認可および国土交通省大臣認定を取得。2002年末にFCXはカリフォルニア州のロサンゼルス市庁と日本の内閣府に納車、2003年にはFCXが世界で初めて民間企業(岩谷産業)へ納車された。

そして、新開発の小型・高効率“V Flow FCスタック”搭載の次世代FCEV「FCXクラリティ」を開発、2008年7月から米国、11月から日本でリース販売を始めた。FCXを進化させた「FCXクラリティ」は、次世代自動車にふさわしいスマートな流線形のスタイリングが注目された。

FCXクラリティは、FCスタックの改良に加えて、モーターの最高出力を78kWから100kWに向上させ、パワープラント全体の重量出力密度2倍、容積出力密度2.2倍によって大幅な軽量コンパクト化と高出力化を達成した。さらに当時課題であった低温始動性についても、マイナス30度まで問題なく始動できるようになった。

これらの改良と優れた空力性能によって燃費は20%向上。また、高圧水素タンク(圧力35MPa)容量は、156.6Lから171Lに増大させ、効率向上と相まって航続距離620km(10・15モード)が達成された。

FCXクラリティの日本でのリース販売は、官公庁および一部の限定された企業で、リース料は80万円/月だった。
FCXクラリティから、さらにクラリティ・フューエルセルへ進化

2016年3月には、ホンダは「FCXクラリティ」をさらに進化させた「クラリティ・フューエルセル」の自治体や一部企業へのリース販売を始めた。

クラリティ・フューエルセルは、FCXクラリティの流麗なフォルムからスポーティなスタイリングに変貌。さらにパワーユニットの省スペース化による優れたパッケージングを特長としており、4人乗りだったFCXクラリティに対して、セダンタイプのFCEVとして初の5人乗りが実現された。
機能面では、高圧水素タンク圧力を70MPa(←35MPa)に上げ、パワートレーンの高効率化や走行エネルギーの低減により、一充填走行距離を従来比で約30%延ばして750km(JC08モード)を達成。さらに約3分という水素充填時間の短縮によって、ガソリン車と同等の使い勝手の良さをアピールした。
リース販売だが、車両価格は当初は766万円、その後改良されて2020年6月には個人向けのリース販売が始まった時点では783.64万円に設定。取り扱いは水素ステーションのある都道府県の一部店舗で、同日時点で35法人が対象だった。
ただし、クラリティ・フューエルセルは、2021年8月に生産を終了してリース販売も中止した。
3年後にCR-V e:FCEVで復活

クラリティ・フューエルセルの生産終了から約3年、ホンダは2024年7月に新たなFCEV「CR-V e:FCEV」を投入した。

人気のSUV「CR-V」の6代目をベースに、日本車初のプラグイン(外部充電)機能付のFCEVで、近距離はEVとして走り、長距離は水素で走るという、水素と電気のハイブリッド的な使い方ができる優れモノだ。EV走行距離は約61km、全体の航続距離は621kmにおよぶ。

燃料電池スタックは、ホンダとGMが共同開発した最新型であり、従来比でコスト1/3、耐久性2倍、低温始動性もさらに改善された。外部充電とともに外部への給電機能(V2L)も有し、満充電時には一般家庭(前提10kWh/日)の4日分の電力を供給でき、災害時には威力を発揮する。
また、ミドルサイズのSUVであるCR-Vをベースにすることで、広い室内と荷室スペースが確保され、日常からレジャーまでマルチユースができ、実用性の高さも魅力である。さらに、先進の安全運転支援システム“ホンダセンシング”が標準装備された。
車両価格は、809.4万円。販売は、FCEVの普及促進に協力した自治体や企業、ならびに一般のお客様へのリース販売だ。
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燃料電池車は、将来パワートレーンとして20年以上注目を集めているが、実際にはまだ私たちの手の届くクルマとはなっていない。技術的な課題やコスも徐々に解消されつつあるが、水素インフラの整備が進まないので、一般ユーザーが入手することは現実的でないのだ。インフラ整備を推進するためには、環境面のメリットだけでなく、実際に使うユーザーのメリットをもう少し追求する必要があるのではないだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。










